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酒税法で見る焼酎の基礎知識|度数・原料・製法による分類の仕組み

酒税法で見る焼酎の基礎知識|度数・原料・製法による分類の仕組み

焼酎は、日本を代表する蒸留酒ですが、酒税法上では明確な定義と細かな分類が定められています。
本記事では、酒税法における焼酎と他の蒸留酒との境界線について整理します。

焼酎の分類が始まった背景

昭和15年の甲類・乙類区分
酒税法上で「焼酎甲類」「焼酎乙類」という分類が設けられたのは昭和15年です。
その後、昭和18年の改正で、甲類焼酎の特徴を明確にする規定が追加されました。

当時はお米といったお酒に使用される食物の不作により、酒類の生産量が減少。
また、連続式蒸留機の導入によって、それ以前には見向きもされなかった食物が、焼酎の原料として使用が可能に。
そのため、砂糖製造の副産物である廃糖蜜や雑穀による「新式焼酎」作りが至る所て盛んになります。

当局は「新式焼酎」の対応に追われます。
その結果、本来焼酎の原料と認められていなかった食物から製造されたアルコールであっても、水で希釈し一定のアルコール度数に調整すれば「焼酎」とみなすと酒税法の改正に着手したのです。

実際、改正後の酒税法九条二項では、
「命令ノ定ムル所二依り政府ノ承認ヲ受ケ酒類製造ノ原料タルアルコールヲ水ニテ稀釈シタルモノ亦同ジ」
と明記されます。

当時の解説はこの改正を次のように説明しています。
「従来税法上看做焼酎として取り扱われて来つたものは、独り焼酎を蒸留したものに限られたのであるが、近年酒類の生産数量が漸次減少するに伴ひ、現在焼酎の原料として法律上認められて居る物品に属せざるもの例えば糖密の如き物品を原料として製造したるアルコールを単に水にて稀釈し其のアルコール分の低下を図ったものに対しても之を焼酎と看做すこと」

つまり、原料よりもアルコール度数や製法条件を基準とする方向へと制度が整理されていくことになり、現在に至ります。

焼酎とスピリッツの違いは「度数」で決まる

酒税法では、蒸留酒はまずアルコール度数によって「焼酎」か「スピリッツ」かに分けられます。
ポイントは、「焼酎」においても、甲類焼酎(連続式蒸留)と乙類焼酎(単式蒸留)とでは、分類の仕方が異なること。

分類焼酎として認められる度数基準を超えた場合
甲類焼酎(連続式蒸留)36度未満スピリッツ(ウオッカ等に近い扱い)
乙類焼酎(単式蒸留)45度以下スピリッツ

このため、米と米麹から造られた泡盛であっても、高度数の場合は酒税法上「スピリッツ」に分類されます。
実際、与那国島の銘柄「どなん」は原料が伝統的な泡盛でありながら、度数の関係でスピリッツ扱いとなっています。

このように蒸留酒はまず、アルコール度数によって、焼酎とスピリッツに分けられるのが特徴です。

焼酎から除外される主なケース

度数条件を満たしていても、一定の製法や原料によっては焼酎に該当しません。
4つの禁止事項として焼酎と他の蒸留は分けられます。

① 発芽穀類・果実を原料とするもの

発芽させた穀類を原料とした蒸留酒はウイスキー、そして果実を原料としたお酒はブランデーに分類されるため、焼酎から除外されます。

② しらかば炭などでろ過したもの

しらかば炭でろ過した蒸留酒は、ウオッカとの区別の観点からスピリッツに分類されます。
製法の一部だけでも該当すれば対象となるため、制度上の線引きが議論になることもあります。

③ 含糖物質を原料とする蒸留酒

糖蜜などを原料とし、蒸留時の留出アルコール分が95度未満の場合、ラム酒との区別の観点から焼酎から除外されます。
ただし、奄美群島で造られる黒糖焼酎については例外規定が設けられ、「焼酎」として認められています。

④ 蒸留時に香味成分を浸出させたもの

杜松の実(ジュニパーベリー)などで香味を付与したジンのような製法は、焼酎ではなくスピリッツに分類されます。

ちなみに、酒税法の「品目」という蒸留酒の分類では、

種類「品目」における呼称
ウイスキーウイスキー
ブランデーブランデー
ウォッカスピリッツ
ラムスピリッツ
ジンスピリッツ
テキーラスピリッツ

になり、焼酎とウイスキー、ブランデーを除く、すべての蒸留酒は「スピリッツ」と分類されています。

焼酎と混成酒・リキュールとの違い

その他にも、焼酎を他のお酒と分類する決まりがあります。
それは、焼酎に原料として添加される砂糖などの割合。

昭和43年から、焼酎への砂糖の添加が認められることとなりました。
しかし、割合についても厳しく規定されることとなります。
砂糖、その他の原料の添加は、2%未満のもののみが「焼酎」とされ、2%以上になると混成酒・リキュールに分類されます。

この規定により、焼酎と混成酒・リキュールの境界が明確化されることになりました。

まとめ

酒税法上の「焼酎」と「その他の蒸留酒」の差は、少し複雑かもしれませんね。

ただ、私たちが本当に美味しい、自分に合ったお酒を選ぶためには、「焼酎」「スピリッツ」といった名称ももちろん、裏ラベルに記載された内容もチェックすることが大切です。

一見複雑な酒税法の裏側を知ることで、焼酎選びがもっと楽しく、深いものになるはずです。

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