
焼酎はなぜ無色透明が多いお酒なのか
焼酎は、無色透明であることが特徴の蒸留酒です。
木樽焼酎といった、着色した焼酎もありますが、無色透明であることを基本としてきました。
「水のように澄んだ酒」といってもいいほど。
焼酎らしさを語るうえで、この無色透明という性質は欠かすことのできない重要な要素です。
今回は、”焼酎はなぜ無色透明が多いお酒なのか”について深堀りしたいと思います。
蒸留酒本来の姿は「透明な酒」
世界の蒸留酒を見渡してみると、実は無色透明な酒は決して珍しくありません。
むしろ、多くの蒸留酒の本来の姿は、色のない透明。
蒸留という製法は、色を生み出すものではなく、蒸留直後の酒は基本的に透明なのです。
醪(もろみ)というアルコールを含んだ発酵液を温めて蒸気にした後、冷却して液体に戻す。
そのため、その液体は、水に近いような無色透明なのです。
蒸留酒が着色するのは、蒸留後の熟成方法によるのが理由なのです。
中国の蒸留酒「白酒」が透明な理由
紹興酒のイメージの強い中国のお酒事情ですが、実は、蒸留酒大国です。
中国においては昔から、蒸留酒は総称して「白酒(ぱいちゅう)」と呼ばれ、食中酒としても活躍しています。
これは白い酒という意味ではなく、”水のように澄んでいる”ことから名づけられたからといいます。
中国では蒸留酒は、陶製の甕で長期間貯蔵。
そのため、容器から色素が溶け出すことがなく、酒は無色透明のままなのです。
色の違いを生むのは「樽熟成」
着色してしいる蒸留酒といえば、ウイスキーやブランデーが有名です。
ウイスキーやブランデーが琥珀色をしているのは、蒸留後に木樽で熟成させるからです。
長い時間をかけて熟成した結果、木樽から成分が溶け出し、色と香味が酒に加わるのです。
逆に、樽熟成を行わなければ、ウイスキーやブランデーであっても無色透明のままです。
実際に、タンク熟成によるホワイトウイスキーやホワイトブランデーも存在します。
世界各地に存在する無色透明の蒸留酒
南米ペルーの代表的な蒸留酒であるピスコは、素焼きの壺で貯蔵されるため、色がつかないホワイトブランデーです。
また、東欧から中欧にかけて造られる果実の蒸留酒も、甕や金属タンクで保存されることが多く、無色透明なものが一般的。
これらの地域では、古くから蒸留酒の貯蔵に甕が使われてきました。
ラム酒やラテン語圏の蒸留酒にも多い透明タイプ
ラム酒といえば、ブランデーやウイスキーと同じく琥珀色のイメージがあります。
しかし、実際にはホワイトラムやシルバーラムと呼ばれる無色透明のタイプが数多く存在します。
これらは軽快な酒質を重視したお酒で、主に”モヒート”や”ダイキリ”といったカクテルのベース酒として活躍します。
同じラテン語圏のスペイン、ポルトガル、ひいて南米ではアルコールの強い蒸留酒を「アグワルデント」と総称します。
アグワルデントは「燃える水」の意。
そのため、水のごとく無色透明であるものか多く存在します。
「水のような酒」を意味するウォッカ
無色透明な蒸留酒の代表格といえば、ウォッカ。
ウォッカという名称は、「ウオダ」すなわち、ウォーターに由来します。
製造工程の最終段階で炭による濾過を行うことで、極限まで透明度を高め、水のように澄んだ外観を実現しています。
また、北欧では穀物やじゃがいもを原料とした蒸留酒が親しまれています。
これらも基本は無色透明で、香りづけによって個性を表現しています。
色のある蒸留酒は例外的存在
このように世界の蒸留酒を俯瞰すると、色のついた蒸留酒はむしろ少数派であることがわかります。
ウイスキーやブランデー、一部のラムが琥珀色をしているのは、樽熟成という後天的な工程によるもの。
しかも現代では、自然な熟成を待たず、カラメル色素によって色合いを調整する例も少なくないのが現状です。
熟成にかかる長い時間と広大な保管場所といった、コスト的な負担が、人工的な着色によって軽減できるからです。
焼酎が守り続けてきた「透明」という価値
無色透明の蒸留酒は、「火の酒」「燃える水」「生命の水」とも呼ばれてきました。
焼酎が大切にしてきた透明性は、日本独自の美意識であると同時に、世界各地の蒸留酒とつながる要素でもあったのです。
焼酎は単なる国産のお酒ではなく、蒸留酒本来の姿を守り続けてきた存在といっていいでしょう。
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SHOCHU PRESS編集部
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