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焼酎の黒麹とは? その特徴と歴史をご紹介します
鹿児島の酒造場にとって長い間の悩み
清酒造りで有名なエリアは寒冷地に多いですよね。
そして清酒造りは主に冬に仕込みます。
それには理由があって、冬は微生物が活動を静かにしている時期だから。
微生物が活動しやすい温度帯である20℃以上に、醪が上がるのを避けてるのです。
一方、九州、特に鹿児島県(薩摩)は温暖エリア。
真冬でも12℃くらいまでは気温が上がります。
ですので、微生物の活動が活発になり、結果、醪(もろみ)を腐らせてしまいます。
醪の腐敗は、鹿児島の酒造場にとって長い間の悩みでした。
それに加えて、シラス台地のおかげで稲作に不向きで慢性的な原材料コメ不足。
ここでスーパーマンが登場します。
河内源一郎氏の赴任
名前は、河内源一郎(かわち げんいちろう)氏。
1883年(明治16年) 広島県福山生まれで、実家は醤油製造業。幼い時分より麹に囲まれて育ちます。
醸造家の子弟の多くが進む、大阪高工醸造科(現、阪大発酵学科)にて醸造学を習得。
その後は、酒の鑑定官となり、明治43年の24歳の時、鹿児島税務監督局技師として鹿児島県に赴任します。
泡盛からのヒント
赴任後、酒造場から醪の腐敗について、相談を受けます。
氏は、なんでだろー、と悩みます。
微生物が活発なのは、気候条件が問題。
そもそも温暖なのですから、、、と思い、ハッとするわけです。
それは、沖縄における酒造り、つまり泡盛についてです。
黒麹の発見
泡盛には、醪が腐敗するという問題はない。
しかし、沖縄は、鹿児島より温暖で、且、雨量も多い。
微生物が繁殖する条件が鹿児島より良いにもかかわらず、です。
何か理由があるに違いない、、、と思い、更にハッとするわけです。
以前、沖縄の泡盛の酒造場をみて回ったときのこと。
そこで使われていた種麹が別種のものであったことに考えおびます。
その麹は、黒麹。
一方、鹿児島県の焼酎造りにおいては、日本全国の清酒造りで使用されている黄麹(きこうじ)です。
黒麹には微生物の発生を防ぐクエン酸が大量に含まれいて、それが腐敗を防ぐ効果があったのでした。
河内氏は、泡盛に使う種麹菌を取り寄せ、研究に研究を重ねました。
そして、ついに、泡盛の麹から種麹を採収することに成功。
さらに、分離された黒麹菌のうち、鹿児島の焼酎の醪を仕込むのに適性があるものを
入念に選り出しました。
その後、鹿児島県では「河内麹」のおかげで一切、腐敗はなくなりました。
そればかりか、製品の香りも味わいもすぐれて感じられるものになったのです。
黒麹の採用は、九州の焼酎が近代化へと至る、イノベーションのはじまりでした。
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SHOCHU PRESS編集部
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