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  • おすすめの麦焼酎10選

    本当に美味しい麦焼酎おすすめ10選

    香ばしい香りとやさしい甘みは、麦焼酎ならではの魅力。
    大麦を原料に造られる麦焼酎は、「王道人気」のすっきりとした飲み口から「香ばし系」といわれるコクのあるタイプまで、幅広い味わいが楽しめます。
    また、麹の種類や蒸留方法、熟成の違いによって個性もさまざま。
    今回は、焼酎ファンから高い評価を集める「本当に美味しい麦焼酎」を厳選してご紹介します。
    それぞれの個性を飲み比べながら、自分好みの一杯を見つけてみてください。

    王道人気

    黒木本店 「中々」

    中々|百年の孤独の原酒としても知られる黒木本店の麦焼酎
    宮崎県・黒木本店が造る麦焼酎「中々」は、すっきりとした飲みやすさの中に、しっかりとしたコクを感じられる一本です。
    減圧蒸留と常圧蒸留の原酒をブレンドすることで、青々とした麦の香りとやわらかな甘み、奥行きのある味わいが生まれます。
    長期熟成焼酎「百年の孤独」の原酒としても知られ、ロックやソーダ割りでそのバランスの良さが際立ちます。
    料理にも合わせやすく、食中酒としても楽しめる麦焼酎です。
    中々

    アルコール度数25度
    原材料名ハルシズク・ニシノホシ(九州産)
    麹菌米麹(白麹)
    蒸留法減圧蒸留
    おすすめの飲み方
    ロック、ソーダ割り

    佐藤酒造 「佐藤 麦」

    佐藤 麦|名門「佐藤」が造る濃醇で香ばしい本格麦焼酎
    芋焼酎の名門として知られる佐藤酒造が、2007年に満を持して発売した麦焼酎です。
    芋焼酎の仕込みが落ち着く時期に、同じく本当に旨い麦焼酎を造りたいという思いから誕生しました。
    焼きたてのライ麦パンを思わせる香ばしさとやさしい甘み、そしてしっかりとしたコクが魅力。
    厚みのある味わいで飲み応えがあり、お湯割りや濃いめの水割りでゆったり楽しむのがおすすめです。
    佐藤 麦(さとう むぎ)

    アルコール度数25度
    原材料名大麦/オーストラリア産
    麹菌麦麹(白)
    蒸留法常圧蒸留
    おすすめの飲み方お湯割り、水割り

    香ばし系

    四ッ谷酒造 「兼八」

    兼八|香ばし麦の魅力を極めた本格麦焼酎
    焼酎造りでは扱いが難しいとされるはだか麦を100%使用し、独自の技術で麦の魅力を引き出した本格麦焼酎です。
    香ばしく力強い香りと、奥行きのあるコク深い味わいが特徴。
    どこか懐かしさを感じさせる麦の風味が広がり、焼酎ファンから高い人気を集めています。
    ロックでは香ばしさが際立ち、お湯割りでは麦の旨みがより豊かに楽しめます。
    兼八

    アルコール度数25度
    原材料名イチバンボシ、トヨノカゼ(はだか麦)
    麹菌はだか麦麹(白)
    蒸留法常圧蒸留
    おすすめの飲み方ロック、お湯割り

    兼八とは?香ばしい麦焼酎の代表格

    柳田酒造 「青鹿毛 (あおかげ)」

    青鹿毛|香ばしさとカカオ香が広がる濃厚麦焼酎
    宮崎県都城市で最も古い焼酎蔵、柳田酒造が手がける本格麦焼酎です。
    霧島山系の恵みを受けた良質な水を用い、丁寧な手仕事で造られています。
    通常より高い酸で麹を育て、自然の流れを生かした発酵と独自の蒸留機によって、香ばしいコクとカカオを思わせる独特の香りを実現。ロックでは濃厚で長い余韻を、ぬるめのお湯割りではなめらかで奥行きのある味わいを楽しめます。
    青鹿毛

    アルコール度数25度
    原材料名ニシノホシ(二条大麦)/佐賀県産
    麹菌麦麹(白麹)
    蒸留法常圧蒸留
    おすすめの飲み方ロック、水割り、お湯割り

    藤居醸造 「特蒸 泰明」

    特蒸 泰明|焼酎好きが唸る香ばし系麦焼酎
    大分県の藤居醸造は、木桶で原料を蒸し、石室で麹を造るなど、創業以来の手仕事を守り続ける蔵です。
    独自に改良を重ねた蒸留機から生まれる「特蒸 泰明」は、麦茶を思わせる香ばしさとスモーキーな香りが重なり合う一本。
    重厚な旨みと飲み応えがありながら、ほのかな甘みの余韻が心地よく広がります。
    食中酒としてはもちろん、ゆっくり楽しむ食後酒としてもおすすめです。
    特蒸泰明(とくじようたたいめい)

    アルコール度数25度
    原材料名二条大麦
    麹菌麦麹(白)
    蒸留法常圧蒸留
    おすすめの飲み方水割り、お湯割り

    特蒸泰明とは?麦チョコ系焼酎として注目の麦焼酎

    食中酒系

    佐藤焼酎製造場 「天の刻印」

    天の刻印|料理を引き立てる“食中酒”の麦焼酎
    宮崎県北部の自然豊かな地に蔵を構える佐藤焼酎製造場が造る麦焼酎「天の刻印」。
    仕込み水には祝子川水系の天然深層水を使用し、原料の麦は地元農家と連携した「自創自園」の考え方のもとで厳選されています。
    減圧蒸留によるすっきりとしたキレのある味わいと、麦のやさしい風味が特徴です。
    上品で飲み飽きない味わいは食中酒としても優れ、ロックやお湯割りで幅広い料理とともに楽しめます。
    天の刻印

    アルコール度数25度
    原材料名大麦
    麹菌麦麹(白麹)
    蒸留法減圧蒸留
    おすすめの飲み方ロック、水割り、お湯割り

    重家酒造 「ちんぐ 黒麹」

    ちんぐ 黒麹|壱岐で生まれた甕壺仕込みの本格麦焼酎
    長崎県・壱岐の蔵元、重家酒造が造る麦焼酎「ちんぐ 黒麹」。
    仕込みには地下水を使用し、甕壺仕込みで丁寧に醸されています。「ちんぐ」とは壱岐の方言で“親友”を意味する言葉。
    熟成酒をベースにした丸みのある味わいが特徴で、米麹由来のやさしい甘みと穀物の香ばしい香りが広がります。
    口当たりはやわらかく、ほのかな苦みと甘みが調和した奥行きのある風味。
    飲み飽きしない余韻が楽しめる一本です。
    ちんぐ 黒麹

    アルコール度数25度
    原材料名二条大麦/壱岐産、六条大麦/長崎県産
    麹菌米麹(黒)
    蒸留法減圧蒸留、常圧蒸留
    おすすめの飲み方水割り、お湯割り

    個性派

    岩倉酒造場「三段じこみ」

    三段じこみ|三段仕込みと3年熟成が生む濃厚麦焼酎
    明治23年創業の岩倉酒造場が守り続ける伝統製法で造られる麦焼酎です。
    米麹、麦麹、米麹と三段階で仕込む独自の「三段仕込み」により、麦の力強い旨みに米麹のやさしい甘みが重なります。
    さらに3年の熟成を経て、どっしりとしたコクとまろやかな味わいに仕上がっています。
    ロックではまろやかさを、お湯割りでは豊かな香りと旨みをより一層楽しめます。

    岩倉酒造場「三段じこみ」

    アルコール度数25度
    原材料名国産麦
    麹菌米麹(白)
    蒸留法常圧蒸留
    おすすめの飲み方ロック、お湯割り

    ゑびす酒造 「けいこうとなるも」

    けいこうとなるも|3年熟成が生む香ばし系麦焼酎
    九州産の大麦のみを使用し、常圧蒸留と3年以上の熟成で仕上げた麦焼酎です。
    麦由来の甘く上品な香りと、熟成による香ばしさ、丸みのある旨みが調和した味わいが魅力。
    ロックでは甘く香ばしい香りが際立ち、お湯割りでは麦の旨みがより豊かに広がります。
    銘柄名は中国の故事「鶏口となるも牛後となるなかれ」に由来し、小さな蔵でも独自の焼酎を極めたいという想いが込められています。
    けいこうとなるも

    アルコール度数25度
    原材料名ハルシズク/九州産
    麹菌
    蒸留法麦麹(白)
    おすすめの飲み方ロック、ソーダ割り

    ぶんご銘醸 「杜谷 黒むぎ(もりや くろむぎ)」

    杜谷 黒むぎ|はだか麦の香ばしさと濃厚な旨みを楽しむ本格麦焼酎

    大分県の蔵元・ぶんご銘醸が造る本格麦焼酎「杜谷 黒むぎ」は、大麦の一種「はだか麦」を原料にした個性派の一本です。
    九州屈指の清流・番匠川の伏流水を仕込み水に、50%まで精麦したはだか麦を使用。
    黒麹と伝統の常圧蒸留によって、香ばしい麦の香りと濃厚な旨みが引き出されています。
    ロックや水割り、お湯割りでも味わいの芯が崩れず、幅広い飲み方で楽しめる麦焼酎です。

    アルコール度数25度
    原材料名はだか麦(六条大麦)
    麹菌麦麹(黒)
    蒸留法常圧蒸留
    おすすめの飲み方ロック、水割り、お湯割り

    香ばしさや甘み、コクの深さなど、銘柄ごとに異なる表情を見せる麦焼酎。
    シンプルな原料だからこそ、蔵ごとの造りの違いが味わいにはっきりと表れます。
    ロックや水割り、お湯割りなど、飲み方を変えることで新たな魅力に出会えるのも楽しみのひとつ。
    気になる銘柄をいくつか試しながら、ぜひお気に入りの麦焼酎を見つけてみてください。

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  • 本格焼酎の仕込みとは?多様な原料を活かす「二次仕込み」の仕組み

    本格焼酎の仕込みとは?多様な原料を活かす「二次仕込み」の仕組み

    本格焼酎は、サツマイモや麦、米だけでなく、そばや黒糖など、実に多様な原料から造ることができるお酒。
    その理由には、仕込み方法の開発が関わっているのです。
    この記事では、多様な原料で焼酎が作られるようになった、仕込みとその役割をわかりやすく解説します。

    風土と原料が酒造りの方法を決める

    お酒は、その土地の農産物を原料として生まれ、地域の風土の影響を受けながら発展してきました。
    たとえば、ウイスキーやビールは発芽した大麦を原料とする製法に適し、ワインやブランデーはブドウ、そして日本酒は米を原料とする醸造法によって発展しています。

    このように、酒造りの方法は原料と密接に結びついています。
    しかし、本格焼酎は少し事情が異なります。

    本格焼酎の原料は非常に幅広く、大麦、サツマイモ、米、そばなどのでんぷん質原料に加え、カボチャやニンジン、トマトなどの野菜類、さらには黒糖や海藻、お茶など多様な素材が使われています。

    これほど多様な原料を用いながら、基本的な製造方法は共通しています。
    この点は、特定の原料に最適化された製法を持つ他のお酒と比べると、非常に特徴的な点といえるでしょう。

    では、なぜ焼酎はこのように幅広い原料に対応できるのでしょうか。

    焼酎造りの核心「二次仕込み」

    その秘密は、ズバリ、焼酎独自の製造方法である二次仕込み(にじしこみ)にあります。

    伝統的に焼酎造りは、温暖な鹿児島県や宮崎県といった南九州が盛ん。
    このような温暖な地域で行われる焼酎造りは、古くから腐造(発酵中の腐敗)との戦いでもありました。
    焼酎は蒸留酒のため、蒸留後に腐敗することはありませんが、発酵段階で品質が損なわれると、質の良い焼酎は生まれません。

    ところで、一般的に発酵は、次のようなバランスで行われます。
    ・長期間発酵させる場合 → 低温で行う
    ・高温で発酵させる場合 → 短期間で終了させる

    清酒やビールは低温長期発酵の代表例であり、ウイスキーは比較的短期間の発酵です。
    しかし焼酎の場合、温暖な地域で比較的高温かつ長期間の発酵が行われるため、腐造を防ぐ特別な工夫が必要になります。
    そこで開発されたのが、二次仕込みという仕込み法です。

    一次仕込みと二次仕込みについて

    ここで、焼酎独自の二次仕込みにいたる工程をご紹介します。

    一次仕込み:酵母を育てる「酒母」の工程

    焼酎造りは、まず一次仕込みから始まります。
    一次仕込みの目的には、もろみを生成すること。
    もろみとは、麹・水・酵母からなる酒母のことです。
    この段階で重要な役割を果たすのが、麹菌が生み出すクエン酸。

    クエン酸は、梅干しやレモンの酸味のもととなる成分で、焼酎造りでは次のような働きをします。
    ・もろみを強い酸性状態にする
    ・雑菌の繁殖を抑える
    ・酸に強い焼酎酵母だけが増殖できる環境をつくる

    つまり、クエン酸によって発酵環境が守られ、焼酎酵母が安定して増殖するのです。

    二次仕込み:主原料を加えて本格発酵

    次に行われるのが、二次仕込みの工程です。

    一次仕込みで生成したもろみに、水と主原料(サツマイモ・米・麦など)を加えて発酵を進めます。
    すでに一次仕込みで大量に増えた酵母が存在するため、発酵はすぐに活発に始まります。

    主原料に含まれる糖分は、酵母の働きによってアルコールへと変換されます。
    さらに、一次仕込みで生成したもろみから持ち込まれたクエン酸と、発酵によって生まれるアルコールの働きにより、腐造することなく安全に発酵が進んでいきます。

    こうして完成した二次仕込みで生成したもろみを蒸留すると、焼酎の原酒が生まれます。
    なお、クエン酸は蒸発しない性質を持つため、蒸留された焼酎に酸味が残ることはありません。

    明治時代に確立した画期的な製造技術

    この二次仕込みの製法は、明治時代末期に芋焼酎の製造方法を改良する過程で確立されたとされています。
    それ以前は、ドンブリ製法といわれる一次仕込みのみで製造されていました。

    この方法には次のような利点がありました。
    ・酒質が優れている
    ・品質が安定する
    ・生産性が高い

    そのため、この製法は芋焼酎だけでなく、米焼酎や麦焼酎などにも急速に広がっていきました。
    特に芋焼酎の原料であるサツマイモは、でんぷん質原料でありながら、蒸すと糖分が生まれるという果実的な性質も持っています。
    この特性が、二次仕込みという製法の応用範囲を広げることにつながりました。

    焼酎ブームを支えた製造技術

    1970年代の焼酎ブームでは、実に多様な原料を使った焼酎が市場を賑やかしました。
    従来の芋焼酎一辺倒だったところに、大分の麦焼酎ブームのほか、ごま焼酎や蕎麦焼酎が誕生。
    その背景には、どんな原料でも焼酎にできる二次仕込みの技術があります。
    この製法があったからこそ、焼酎はさまざまな素材を活かした酒として発展することができました。

    焼酎市場の拡大を支えたのは、まさにこの仕込み技術だったといえるでしょう。

    伝統発酵と蒸留が生んだ日本独自の技術

    二次仕込みは、日本伝統の麹発酵に、クエン酸を生み出す特殊な麹菌を組み合わせた技術です。
    この技術の特徴は、クエン酸でもろみの腐造を防ぎ、酸に強い焼酎酵母を増殖させること。

    ちなみに、クエン酸は、梅干しやレモンの酸味のもととなる成分ですが、蒸留されないためお酒に影響することはありません。

    この発酵と蒸留の組み合わせによって、温暖な地域でも安全で安定した酒造りが可能になりました。
    本格焼酎特有の豊かな味わいは、原料の個性と、この製造技術が融合することで生まれているのです。

    まとめ

    本格焼酎の製造は、麹・酵母・蒸留という日本独自の技術によって支えられています。
    その中心にあるのが、一次醪と二次醪を段階的に発酵させる二次仕込みという方法だったのでした。

    多様な原料の個性を引き出しながら、安定した品質の焼酎を生み出す。
    まさにこの製法は、日本の発酵文化が生み出した知恵の結晶といえるでしょう。
    今日私たちが楽しんでいる本格焼酎の豊かな世界は、こうした仕込み技術の積み重ねの上に成り立っているのです。

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  • 焼酎の熟成入門|香り・味・まろやかさを生む貯蔵の役割

    焼酎の熟成入門|香り・味・まろやかさを生む貯蔵の役割

    蒸留したての焼酎を飲んだことはありますか?
    実は、蒸留直後の原酒は香りが刺激的で、味わいも荒々しく、そのままでは少し飲みにくいものです。

    私たちが普段楽しんでいる「まろやかで深い味わい」の焼酎は、「熟成」や「貯蔵」という時間を経て完成します。
    今回は、焼酎が美味しくなる貯蔵のメカニズムを科学的な視点から解説します。

    焼酎の熟成・貯蔵とは何か

    焼酎に限らず、蒸留直後の蒸留酒は刺激的な香りと荒々しい味わいを持ち、一般的には飲みにくい状態にあります。
    焼酎の熟成・貯蔵とは、こうした蒸留直後のオフフレーバーを除去し、酒本来の性格を損なうことなく、複雑さや円熟味、そして滑らかさを付与するための重要な工程です。
    熟成は主に、穏やかな酸化反応と還元反応によって進行し、焼酎の欠点となりやすい成分を抑制・排除する働きを担います。

    焼酎熟成の科学的定義と基本原理

    フランスの科学者 ルイ・パスツール は、酒の熟成を「酒中に微量の酸素が取り込まれ、有機酸とアルコールの反応によるエステル生成や、酸化による重合・分解によって味わいが変化する現象」と定義しています。

    焼酎の熟成も同様に、香味成分の変化と再構成によって進行し、刺激が和らぎ、全体の調和が高まっていきます。

    貯蔵容器による熟成の違い

    タンク熟成とかめ熟成の特性

    焼酎の熟成は、主に以下の3つの系に分けられます。

    ステンレスタンク・ホーロータンク熟成
    この場合、容器からの溶出物はほとんどなく、熟成変化は原酒由来の香味成分の変化に限定されます。
    比較的クリーンで、酒質の変化をコントロールしやすいのが特徴です。

    素焼きかめ熟成
    一方、伝統的な素焼きかめでは、かめの微細孔を通して空気が取り込まれ、緩やかな酸化が進みます。
    さらに、陶土由来の無機成分が溶出し、香味成分そのものにはならないものの、熟成反応を触媒的に促進します。

    木樽熟成
    ウイスキーにならって、主にオーク材を使用して、熟成させます。
    そのため、バニラのような芳香が、お酒に着香します。

    かめ熟成や木樽熟成の焼酎は淡く色づき、より複雑で奥行きのある酒質になる傾向があります。

    水とアルコールが生む「物理的熟成」

    焼酎の熟成は化学反応だけではありません。
    長期間の貯蔵によって、水分子とアルコール分子が会合し、クラスターと呼ばれる安定した分子構造を形成する「物理的熟成」も重要です。

    水分子の隙間にアルコール分子が入り込むことで、自由に動くアルコール分子が減少し、舌への刺激が弱まります。
    これにより、まろやかで角の取れた口当たりが生まれると考えられています。

    焼酎熟成の三段階変化

    焼酎の熟成は、概ね以下の三段階で進行します。

    第一段階|刺激成分の消失

    低沸点の硫黄化合物やカルボニル化合物が揮発・分解し、刺激的な香味が減少します。

    第二段階|丸みの形成

    カルボニル化合物や不飽和脂肪酸が酸化・縮合し、酒質に柔らかさと丸みが加わります。

    第三段階|香味の完成

    不揮発成分の濃縮、アルコールと酸のエステル化が進み、旨みと固有の香味が形成されます。

    貯蔵前処理の重要性

    蒸留直後の焼酎をそのまま割り水して瓶詰すると、白濁や油臭が生じやすくなります。
    これはフーゼル油や高級脂肪酸エステル類、そして割り水の水質が原因です。

    フーゼル油とは、発酵中に生成される高級アルコール類の総称で、香りの重要な要素である一方、過剰になると酒質を損ないます。

    原酒を一度冷却し、析出した油性成分を除去してから貯蔵することで、安定した熟成が可能になります。
    炭素濾過は香気成分まで除去してしまうため、慎重な判断が必要です。

    焼酎熟成のこれから

    近年、ウイスキーのように木樽で長期貯蔵する焼酎が増えています。
    トンネルや鍾乳洞を貯蔵庫として活用するユニークな蔵元も存在します。

    ただし、日本の酒税法では、焼酎はウイスキーと区別するために「色度(色の濃さ)」に厳しい制限があります。
    あまりに色が濃すぎると「焼酎」として出荷できないため、各蔵元は高度な技術でこの美しい琥珀色をコントロールしています。

    まとめ

    焼酎の熟成は、単なる放置ではなく、目に見えないミクロの世界で繰り広げられる複雑な化学反応の結晶です。

    次に焼酎を飲むときは、その「まろやかさ」の裏側にある、数ヶ月、あるいは数年にわたる貯蔵の物語をぜひ思い出してみてください。

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