宮崎県の焼酎 の特徴とは?
宮崎県は、九州7県のうちの一つで、温暖な気候で知られています。
かつての古称が「日向国」という、いかにも暖かそうな旧国名からも窺えます。
黒潮の影響で、県中部・南部は四季を通して温暖。
そのため、野球やJリーグなどプロスポーツチームが、レギュラーシーズン前のキャンプを行うことでも有名です。
この温暖な気候がさつまいもの栽培に向くこと、また江戸時代には県南の一部が薩摩藩領であったこともあって、焼酎の製造法が伝わり、一般的に愛飲されるようになりました。
宮崎県の焼酎には様々な特徴がありますが、今回は3つの特徴をご紹介していきたいと思います。
目次
宮崎焼酎の特徴その①
原材料の多様性
宮崎県の焼酎の特徴のひとつは、使用する原材料に多様性があることです。
宮崎県は宮崎県酒造組合において、7地区になっています。
7地区とは、
・高千穂地区
・延岡・日向地区
・西都・高鍋地区
・えびの・小林地区
・都城地区
・宮崎地区
・日南・串間地区
となっていて、それぞれ個性的な焼酎を製造しています。
鹿児島県と接する県南部2地区(日南・串間、都城地区)では、おもに芋を原材料とした焼酎が造られており、熊本県に接する西部2地区(西都・高鍋地、えびの・小林地区)では芋・米が、中央部(西都・高鍋地区)では芋・米を原材料とする焼酎、大分県と接する北部2地区(高千穂、延岡・日向地区)では麦、米です。
地区ごとによって、使用される原材料が一様ではありません。
また、同じ酒造場でも、様々な原材料で焼酎が造られています。
その中でも、北部の高千穂地区が、1973年(昭和48年)に日本初の蕎麦焼酎をリリースしたことで、一気に宮崎焼酎の原材料の多様性が開花します。
もともと原材料の多様さは、焼酎の素晴らしさ・強みでしたが、麦・芋・米以外は、黍、稗、粟などの雑穀類が使用されてきました。
つまり、それは、麦・芋・米の代用だったわけです。
しかし、昭和中期に技術革新によって、麦・芋・米を含む農作物の収用が安定します。
すると、古くから蕎麦の特産地として有名だった高千穂地区の雲海酒造が、蕎麦を原材料にした焼酎造りに着手。全国的な好評を博し、大成功をおさめます。
その後、全国各地で、ご当地のトウモロコシや栗、かぼちや、大豆などの原材料を使用した焼酎造りが活発に。
結果的に、焼酎には原材料の多様性があるという特徴を全国に広めたのでした。
ちなみに、蕎麦焼酎を最初に注目したのは、当時、宮崎県をキャンプ地にしていた、首都をフランチャイズとする野球チーム関係者と、それを取材するために訪れたマスコミだといわれています。
宮崎焼酎の特徴その②
アルコール度数は20度
一般的に焼酎のアルコール度数は、25度です。
しかし、宮崎県内では20度の焼酎が多く飲まれています。
もちろん、県内で販売される焼酎は、ほとんどが20度です。
これには理由があります。
バクダン・カストリで紹介したように、戦後の混乱期には、密造焼酎が横行しました。
宮崎県でも同様で、多くの県内酒造所が密造酒に悩まされました。
その密造焼酎の対抗策が、20度だったのです。
それは、アルコール濃度25度より20度の方が、酒税が低いために、低価格で販売することが可能だったのでした。
そして、混乱期が過ぎ去った後も、口当たりの良さなどがあって、宮崎では20度のままで定着したのでした。
習慣というのは、興味深いものです。
ただ、これだけ宮崎焼酎が全国で愛飲されるようになると、20度だけ製造するわけにもいかず、県外用は25度、県内用は20度と分けて製造しています。
割り水のしない、原酒を販売するのは、焼酎はもとより、日本酒でもありますが、割り水に変化をつけて販売するのは、焼酎の多様性を象徴しています。
宮崎焼酎の特徴その③
伝統への挑戦 〜サツマイモ新種(ジョイホワイト)の登場〜
伝統的な芋焼酎では、芋のふくよかな香りと、濃厚なコクを引き出すことが指向されてきました。
しかし、1994年(平成6年)に宮崎県都城市の農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターのサツマイモ育種研究室が、「農林43号」を開発します。
「ジョイホワイト」と命名され、鹿児島県の農家が栽培。
宮崎県日南市の古澤醸造が原材料として使用し、「ひとり歩き」をリリースしました。
その後も、「山ねこ」(尾鈴山蒸留所)、「鰐塚」(すき酒造)などが造られました。
ジョイホワイトは当初から、焼酎にしたときに美味しくなる品種を目指して開発。
このため、蒸しても焼いても甘くならず、食用には向かないです。
しかし,焼酎用品種としてはデンプン質を多量に含み、病害虫に強いとあって、大変優秀。
焼酎にすると、端麗でフルーティ、爽快な味わいが特徴。
ジョイホワイトに続けと、以降も、新しい品種を使った芋焼酎は続々と誕生しています。
宮崎焼酎は、商品開発においても一歩先んじているのでした。
宮崎県の焼酎の特徴まとめ
今回は、宮崎県の焼酎の3つの特徴をご紹介しました。
どれも、進取の気性に富んでいます。
宮崎県は、チキン南蛮や宮崎牛、ブリなど焼酎との相性の良い料理・食材も豊富。
その上、温暖な気候は観光に行く人も多く、新婚旅行で選ばれることも多いとか。
ぜひ皆さんも、宮崎焼酎を堪能しに遊びに行ってはいかがですか?
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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