大分は焼酎ブームの火付け役! 〜その特徴から入門オススメ5選まで〜
大分の焼酎といえば、ライトさが魅力。
今ではどこのコンビニや酒屋でも見かける、有名な焼酎です。
そんな大分の焼酎ですが、実は歴史が浅く、あるブランドの大ヒットがきっかけで、全国区になったのでした。
そんな大分の焼酎をご紹介したいと思います。
大分の焼酎造りのきっかけ
大分は,北部地区の中津平野や宇佐平野をはじめ、比較的規模の大きい平野がいくつもあります。
そのため、米や麦などの多くの作物が豊かに実る国として有名で、古来より「豊の国」と呼ばれていました。
酒造りに関しては、歴史的にも風土的にも焼酎ではなく、清酒が親しまれており、江戸時代には清酒の酒蔵も多く生産も盛んでした。
焼酎造りといえば、他エリアの清酒蔵同様、酒粕を二次使用した粕取り焼酎が主流。鹿児島や宮崎のように、焼酎造りの産地というわけではなく、焼酎専門の酒蔵はほとんどありませんでした。
明治時代の半ばになると、焼酎造りが盛んであった鹿児島から、有名な杜氏集団である「黒瀬杜氏」が鹿児島県より北上するようになります。
遠くは、広島にまで進出する彼らは、九州全土の焼酎造りに携わります。
大分においても清酒蔵が焼酎造りを始めたのは、黒瀬杜氏指導があったため、といわれています。
宇佐平野などで栽培されていた大麦を使用して、麦焼酎を製造するようになります。
その後、1951年(昭和26年)に麦の統制撤廃がなされてから、大分では麦麹の開発が始まります。
当時、麦焼酎の本家といえば長崎・壱岐でしたが、麹は米。
後発の大分では、「主原料も麹もすべて麦」という製法の研究を進めることになりました。
これが、その後のブームの足元固めとなったのでした。
大分の焼酎の魅力&強みはライトさ
昭和50年代に入ると最初に、甲類焼酎が爆発的なブームを起こします。
当時のお酒は、ウイスキーや日本酒、ビールが主流で、若者が気軽に親しめるお酒は少ない時代。
そんな中、甲類焼酎が突如、「ニュー・スピリッツ」として再登場したのです。
すると、炭酸で割ったり、レモンなどの柑橘果汁を加えたカクテルベースのお酒として爆発的なブームに。ライトでお洒落であるといって、もてはやされたのです。
1973年(昭和48年)に二階堂酒造が「主原料も麹もすべて麦」の開発に成功し、翌年「吉四六」を発売。
「ニュー・スピリッツ」ブームの追い風もあって大ヒットします。
原料がウイスキーと同じ麦というのは、ウイスキー愛好者にも受け入れやすいものでした。
また、技術的にも、
・減圧蒸留
・イオン交換濾過
という、2つの革新によって、都会人の嗜好に合うようなクセのないライトな焼酎造りが実現します。
その後、1976年(昭和51年)には三和酒類が「いいちこ」を発売。
「下町のナポレオン」というコピーで大ヒットして、大分の麦焼酎はついに、全国区ブランドに。
大分の焼酎の魅力&強みはライトさが、「焼酎はクセの強い酒」というイメージを覆し、その後の焼酎ブームの火付け役となったのでした。
麦焼酎に使用される「二条大麦」とは?
麦焼酎に使用される原料の麦は、「二条大麦」といいます。
大麦は、穀粒が二列に並んでいる二条大麦、四列に並んでいる四条大麦、六列に並んでいる六条大麦に分けられます。
ただ、日本国内で栽培されている麦は、二条大麦か六条大麦かのどちらかになります。
六条大麦は、古くから日本で栽培されていた品種で、食用や麦茶に使用。
対して、二条大麦は、明治初頭にビールの原料用としてヨーロッパから持ち込まれた比較的新しい品種です。
粒が大きく均一で、でんぷん含有量が多いので、糖化するのに効率が良い。
なので、粒が小さい六条大麦よりも、醸造特性に優れており、酒造りに向いているとされています。
焼酎にすると、味わいが淡麗でクセのないのが特徴です。
大分焼酎にはカボスがあう
大分の名産品はカボスです。全国一の生産高を誇るようです。
爽やかな芳香と強い酸味は、焼き魚や刺身にギュッとしぼったり、鍋料理のポン酢に利用したり。
味噌汁にもいれるようです。
旬を迎える夏になると、「旬入り宣言」をして全国にその味を届けています。
ちなみに、緑のカボスが一般的ですが、黄色に熟れたカボスもまた、まろやかな味わい深さがあって絶品、だそうです。
もちろん、そんなカボスは、焼酎にも入れて楽しむようです。
ロックでも水割りでも、どんな飲み方でもカボスが登場。
もともとすっきりした口当たりの麦焼酎ですが、カボスにより一層すっきり感が増します。
飲食店では四つ切りやスライスが付いてきますが、家飲みの場合は大胆に2つ切りで使用することも多いようです。
大分の焼酎 入門オススメ5選
ライトで口当たりの良い大分の焼酎は、全国で購入可能です。
入門オススメの5本をご紹介したいと思います。
【大分むぎ焼酎 二階堂(おおいたむぎしょうちゅう にかいどう)】
江戸時代より、独特のにごり酒「麻地酒」の製法を受け継いできた老舗。
1951年(昭和26年)に当時の6代目社長が麦焼酎を手がけるようになったのが、焼酎造りのきっかけ。裸麦100%の焼酎は、当蔵が開発。
大分のソフトタイプの麦焼酎のパイオニア的存在。味わいは、全体にエレガント。余韻は軽快感とフレッシュ感が特徴。
カボス入りの炭酸割りで飲みたいです。
大分むぎ焼酎 二階堂(おおいたむぎしょうちゅう にかいどう)
二階堂酒造/大分県速見郡日出町2849主原料/麦
麹/白麹(麦)
度数/20、25度
蒸留/常圧蒸留
【いいちこ】
「三和酒類」は、清酒の蔵元3社が合併したのが、創業のきっかけ。
清酒、焼酎、ワイン、リキュールを扱う、全国屈指の総合醸造メーカーです。
いいちことは、大分県の方言で「いいですよ」という意味。
そして有名なコピー「下町のナポレオン」値段は下町レベルだけど、味わいは高級ブランデーのナポレオンに匹敵、という意味だそう。
焼酎業界の不朽のブランド。
いいちこ
三和酒類/大分県宇佐市大字山本2231番地の1
主原料/麦
麹/白麹(麦)
度数/20、25度
蒸留/常圧蒸留
【焼酎屋 兼八(しょうちゅうや かねはち)】
1919年(大正8年)に創業。銘柄名は、初代の名前である四ッ谷兼八氏からつけられています。創業当時から焼酎をつくり、4代目の時代から本格的に麦焼酎に取り組み始めたようです。
こだわりは「友一粒一粒を大事し、自家製常圧蒸留機を用い、過度な精製は行わない」こと。ほかの麦焼酎とは違い、麦の香りと深みある味を追求しているのが特徴。
麦チョコという別名で親しまれています。
焼酎屋 兼八(しょうちゅうや かねはち)
四ッ谷酒造/大分県宇佐市長洲4130
主原料/麦
麹菌/白麹(麦)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
【常徳屋 道中(じょうとくや どうちゅう)】
常徳屋酒造場は、1984年まで清酒蔵として営業されていました。創業は1907年。常徳酒造場の「常徳屋」ブランドの限定商品です。
道中というのは、むぎの別名です。そして、サブネームが宇佐ぼうず。
この銘柄は常圧蒸留し、麦の香りを濃厚に感じさせてくれます。
2年間貯蔵しており、熟成由来の焼き栗のような香り。
飲む1時間くらい前に開栓して飲むと、オススメです。
常徳屋 道中(じょうとくや どうちゅう)
主原料/麦(六条大麦)
麹菌/白麹(麦)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
【銀座のすずめ(ぎんざのすずめ)】
名前の由来は、かつて銀座の街を時を忘れ友人らと枠に酔い、かつ語らい夜を明かした枠人を”すずめ”になぞらえて、だそう。
麦焼酎は、宮崎県の「百年の孤独」で樽熟成が有名になりましたが、この銘柄も、バーボンウィスキーの慳樽で約3年間じっくりと熟成貯蔵。
こだわりは、わざわざ米国ケンタッキー州から取り寄せているところ。
スモーキーと、とろみのある舌触りは炭酸割りにして飲みたいです。
銀座のすずめ(ぎんざのすずめ)
主原料/麦
麹菌/白麹(麦)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
まとめ
大分焼酎は、材料である麦と、減圧蒸留という技術革新によって大ヒットしたのでした。
皆さんも今晩は、大分の焼酎のカボス割りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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