焼酎?ウイスキー?ハイボールとは
ハイボールといえば、ウイスキーを炭酸水で割ったカクテルという認識が、一般的。では、焼酎を炭酸水で割った場合は、何というのでしょうか?
チューハイと焼酎ハイボールの違いは?
そのあたりの、ハイボールにまつわる話をご紹介したいと思います。
ハイボールの名前の由来
ハイボールの名前の由来は,諸説あります。
有力なのは、
イギリスのゴルフ場のカウンターでウイスキーを飲んでいた人が、急に自分の打つ順が来たことを知らされ、慌ててそばにあったチェイサーにウイスキーをあけ飲んだところ非常においしかった。そこに、たまたまハイ・ボール(高く打ち上がったゴルフボール)が飛んできたから、という説です。
出典:wikipedia
その他に説はいくつかありますが、いづれにしても、当初はハイボールに使用されるベースのお酒は、ウイスキーが定番だったようです。
チューハイの正式な呼び名
当初は、ウイスキーがベースのお酒でしたが、時間の経過と共に、いろいろなお酒で楽しまれるようになったようです。
・スピリッツを炭酸水で薄め、氷を入れたロングドリンク
・スピリッツをジンジャーエールやジュースで割ったカクテル
も、ハイボールと呼ばれるようになります。
日本にもハイボールが入ってきます。
ただ、日本では、ウイスキーの代わりに焼酎を使ったハイボールが、戦後の大衆酒場で登場し、親しまれるようになりました。
それが、チューハイです。
「チュー」とは、焼酎の「酎(ちゅう)」、「ハイ」は「ハイボール」の「ハイ」のことです。つまり正式な呼び名は、焼酎ハイポ一ル。
チューハイは、焼酎ハイボールを略した呼び名だったのです。
あえて、ウイスキーハイボール
日本、特に東京の下町である隅田川以東の人々にとって、ウイスキーより焼酎の方が、馴染みがあったようです。
チューハイの発祥は、諸説ありますが、東京の下町であるである説が有力です。
その理由に、今でも、当地域ではウイスキーベースのものをあえて「ウイスキーハイボール」と呼んで区別しているそうです。
(「千ベロの聖地「立石」物語」谷口栄著:新泉社2021年03月)
焼酎ハイボールとサワーの違い
焼酎ハイボールと似た飲み物として、サワーがありますが、違いはほとんどないといわれています。
ただ、こだわりのあるお店では、サワーにはウォッカやジンなどの蒸留酒が使用されているようです。
ウォッカやジンのほうが、アルコール度数が高く、冷凍庫に入れて冷やしても凍らない。レモンサワーは、酸味が命なので冷やしが甘いと、レモンのエグミが出てしまうので、原料であるお酒もキンキンに冷やす必要があるからだとか。
缶チューハイ
「チューハイ」の名前を全国区にしたのは、東洋醸造株式会社という会社が1983年(昭和58年)に発売した「ハイリッキー(現:ハイリキ)」という商品がきっかけと言われています。その翌年は,大手酒造メーカーのサントリーが缶入りのチューハイ「タコハイ」を発売。その後も続々の大手酒造メーカーが追随します。
焼酎の飲み方のひとつだったチューハイは、「缶チューハイ」として「缶ビール」と同様、飲料のジャンルとして定番化したのでした。
ちなみに缶のチューハイの酒税法の分類は、「リキュール類」となります。
焼酎ではないのでした。
実際、缶チューハイのなかには、ウォッカを使っているものもあります。缶に原材料が記載されていますので、確認してみたら面白いと思います。
本格焼酎を使った、焼酎ハイボール
かつて高級といわれるウイスキーは、ストレートかロックが主流で、炭酸水など割材で飲む機会は稀でした。
しかし、昨今のハイボール(ウイスキー)の爆発的なブームを経て、「山崎(サントリー)」のような高級ウイスキーもハイボールで楽しむ機会が広がります。
そんな中、本格焼酎を使った、焼酎ハイボールが広がりを見せ始めています。
本格焼酎の飲み方は、ロック、お湯割り、水割り、ストレートが主流で、炭酸水割りはポピュラーなものではありません。
しかし、本格焼酎を炭酸水割りにすることによって、
・焼酎の香りが炭酸水によって味が際立つ
・焼酎の甘味が炭酸水のシャープと調和して、バランスが良くなる
・焼酎の味わいが炭酸水の泡が弾けと同時に膨らむ
といわれ注目されているのです。
そこで、焼酎ハイボールにオススメの焼酎を紹介したいと思います。
【刀 飛焼(かたな とびやき)】
「晴耕雨讀(せいこううどく)」や「不二才(ぶにせ)」を生んだ、佐多宗二商店が放つ、ニュー芋焼酎。今までの芋焼酎とは一線を画すような、挑戦的なシャープさが、炭酸水と見事に調和します。また、バランスの良さが信条ですが、ハイボールにすることによって、ベニアヅマ、黄金千貫の持つ甘さが引き立ちます。穏やかにゆっくり続く余韻も、素晴らしい逸品です。
刀 飛焼(かたな とびやき)
佐多宗二商店/鹿児島県南九州市頴娃町別府4910
主原料/芋(黄金千貫、ベニアヅマ)
麹/白麹(米)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
【一尚 シルバー(いっしょう)】
この銘柄は、小牧醸造の創業100周年を記念して発売されました。
100年前から培養分離された黒麹菌と江戸酵母菌を使用。
名前の由来は、長男一徳、二男尚徳と小牧兄弟の名前から一文字ずつとったもの、だそうです。炭酸水が、芋の甘さとスモーキーな香りを。
一尚 シルバー(いっしょう)
小牧醸造/鹿児島県薩摩郡
主原料/芋(黄金千貫)
麹/黒麹(米)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
【烏天狗 しゅわしゅわ(からすてんぐ)】
とうとう登場した、焼酎ハイボール用の焼酎です。
原料のさつまいもは「安納芋」を使用し「オーク樽」で熟成。
アルコール度数が36度であるのも、ハイボール目線で製造された証左。
トロピカルフルーツや紅茶のような風味で、炭酸水によってさらに甘さを感じます。
烏天狗 しゅわしゅわ(からすてんぐ)
さつま無双/鹿児島県鹿児島市七ツ島1丁目1番17
主原料/芋(シロユタカ)
麹菌/白麹
度数/35度
蒸留/常圧蒸留
ハイボールを美味しく作るには
ハイボールの命は炭酸
焼酎ハイボールは、焼酎と炭酸を入れれば完成です。
これほどシンプルなレシピでは、だれがつくっても味わいに違いなんて生まれないと思うかもしれません。
ただ、単純だからこそこだわりたいのは、炭酸水です。
呼び方は? ソーダ?タンザン?
ちなみにですが、世界では炭酸水は「SODA(ソーダ)」と呼ばれています。しかし、日本では、「ウィルキンソンタンサン」の商品名が広く知られるようになり、いつの間にか「TANSAN(タンサン)」がソーダ水を示す一般名詞のように使われるようになったようです。「TANSAN」はウィルキンソンタンサンが商標登録しているので、他社は「TANSAN」という名前をつけることはできません。
左 : ウィルキンソンタンサン
キレのよいすっきりした味で、しっかりした泡立ちが続く。1889年、イギリス人のクリフォード・ウィルキンソンが狩猟の途中、兵庫県で炭酸鉱泉を発見したのがはじまりとか。
中央 :ペリエ
南フランス生まれの歴史あるペリエ。カルシウムを多く含む硬水で、さわやかな口あたり。おしゃれなボトルは、気分が上がります。
右 : 7プレミアム 強炭酸水
時間が経過しても泡が衰えないので、ハイボールの割材としては最適。
また、手に入りやすいのが、一番のストロングポイントです。
まとめ
ハイボールの爆発的なブームから、従来は甲類焼酎のマーケットである「チューハイ」に、本格焼酎が参入したことで、「焼酎ハイボール」は広がり始めています。
コンビニでは、缶入り「焼酎ハイボール」も見かけるようになりました。
ただ、「チューハイ」も「焼酎ハイボール」も、由緒正しい日本を代表する「ハイボール」。
これからも、楽しんでいけたら良いですね。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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