焼酎の原酒とは? 〜オススメの飲み方や銘柄をご紹介〜
皆さんは、酒屋さんに並んでいる焼酎のラベル「原酒」の文字をご覧になったことはありますか?
日本酒にも「原酒」はありますが、そもそも「原酒」とはどのような種類のお酒なのでしょうか。
そこで今回は、「原酒」の飲み方やオススメの銘柄などをまとめてご紹介します。
目次
焼酎の原酒について
焼酎は蒸留したあと、貯蔵熟成します。その後、仕上げに水を加えますが、この工程を「割り水」と呼びます。「割り水」をして、アルコール度数を25度前後に調整するのです。
そして、この割り水を省き、元のまま「まじりっけなし」の度数で出荷したものを「原酒」といいます。アルコール度数が35〜45度と高いのが特徴。
原酒はこうしてできる
原料である醪(もろみ)を蒸留器に入れると、約90度で沸騰し、アルコール蒸気が発生します。そして、蒸留が進むと醪(もろみ)の温度が上昇し、約98度で蒸留を終えます。
このアルコール蒸気を冷やして集めたのが焼酎の原酒です。
蒸留されて出てくる最初の部分は、アルコール度数60%以上で終了時は約10%。アルコールと水では、アルコールのほうが先に蒸発するので、初垂れが最もアルコール度数が高く、その後、徐々にアルコール度数は低くなります。
その順番には名前が付けられていて、「初垂れ」「本垂れ」「末垂れ」と呼ばれます。
そして、これらが合わさって、アルコール度数が35〜45度の焼酎の原酒ができあがるのです。
ちなみに、「初垂れ」のみを贅沢に使った焼酎を「初溜取り」といって販売する蔵もあり、有名な銘柄もあるほど。
ただ、こちらは原酒のままではアルコール度数60%近くあるので、割り水をして調整します。少し逆説的ですが。
混じりけのないピュアな味わいと、果実酒のような華やかな香りで人気です。
原酒のターゲット層
蒸留酒には、ウイスキーやブランデーなどの「琥珀系」と、ジンやウォッカなどの「スピリッツ系」と呼ばれる2つのファン層があるといわれています。
「スピリッツ系」は、ジンやウオッカといったアルコール度数が40度以上ある強いものを好み、ロックやストレートで飲むことに慣れている人たちです。
原酒も度数が高く、割り水をしていない分、酒の個性がダイレクトに出ますので、ロックやストレートで味わうのに最適。
原酒が狙っているターゲット層は、ウイスキーやブランデーなどの「琥珀系」よりも、「スピリッツ系」ファンだという見立てもあります。
原酒の美味しい飲み方
〈ストレート〉
原酒は通常の焼酎と比較して、アルコール度数は35~45%と10%以上も高いです。なので、スピリッツ同様、チェイサーを用意してストレートで飲むのがおすすめ。焼酎は食中酒というイメージが強いですが、原酒はむしろ食後酒として楽しみたいです。
〈ロック〉
蒸留酒のオールマイティーな飲み方は、ロックです。
ただ、人間の舌は冷たくすると味を感じにくくなってしまいます。なので、どんなに個性の強い焼酎でも、すっきりと飲みやすく感じてしまうのが特徴。
実は、軽やかな淡麗タイプの蒸留酒よりは、しっかりとした存在感のある原酒のようなお酒がよく合うのです。
〈カクテル〉
35〜45度のお酒をストレートやロックで飲むのは、スピリッツ・ファン以外の方にはなかなかハードルが高いと思います。そこで、スピリッツの多くと同様にカクテルのベースのお酒として楽しむというのも、オススメ。
・モヒート
ミントとライムを使用した、ロングドリンクに分類されるカクテル。
キューバのハバナが発祥の地であるといわれています。
本来はラムをベースとしますが、果実酒のような華やかな原酒で作るのもオススメ。
・トニック割り
トニックは、炭酸水に各種の香草類や柑橘類の果皮のエキス、及び糖分を加えて調製した清涼飲料水。炭酸水より、甘みがあるのが特徴。
ジントニックやウォッカトニックが有名ですが、豊かなアルコール度数の原酒にライムを添えて、スッキリ楽しむのもオススメです。
原酒のアルコール度数は高い?
世界には様々な蒸溜酒がありますが、一様にアルコール度数が高いのが特徴です。一方、焼酎のアルコール度数はこれらより15%程度低いですが、割り水をしていない原酒であれば、ほかの蒸留酒と遜色がありません。
蒸留酒のアルコール度数を見てみましょう。
〈蒸留酒〉
・ウイスキー・・・40%〜55%
・ブランデー・・・37%〜50%
・ラム・・・40%〜80%
・テキーラ・・・35%~55%
・ウォッカ・・・37%〜96%
ちなみに醸造酒のアルコール度数は以下です。
〈醸造酒〉
・ビール・・・5%前後
・日本酒・・・15%前後
・ワイン・・・15%前後
オススメの原酒5選
【たちばな 原酒 (たちばな げんしゅ)】
黒木本店といえば、数々のヒット銘柄を持っている有名な蔵元です。
その蔵元が「焼酎が本来もっている独特の風味を味わってもらいたい」ということで造り出した。濃厚ではあるが、ピュアでクリアな味わいをもつ。アルコール度数は37%と、原酒の中では低いほうで飲みやすいです。
〈銘柄データ〉
たちばな 原酒 (たちばな げんしゅ)
黒木本店/宮崎県児湯郡高鍋町北高鍋776
主原料/芋(黄金千貫)
麹/白麹(米)
度数/37度
蒸留/常圧蒸留
【原酒 三岳(げんしゅ みたけ)】
屋久島は九州最高峰の宮之浦岳をはじめ1000mを越す山々が連座。
そのため洋上アルプスと呼ばれています。この銘柄に使用する仕込み水は、日本名水百選に選ばれた清冽な屋久島の天然水を使用しています。
しっかりとした旨みがあり余韻が長いのが特徴。味崩れがなく最後までおいしくいただけるのが嬉しい芋焼酎の原酒です。
〈銘柄データ〉
原酒 三岳(げんしゅ みたけ)
三岳酒造/鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2625-19
主原料/芋(黄金千貫)
麹菌/白麹
度数/39度
蒸留/常圧蒸留
【かねさん 兼八 原酒 (かねさん かねはち げんしゅ)】
レギュラー酒は、麦チョコという味わい表現の代名詞的な麦焼酎。原酒はさらに麦の香りが濃厚です。まるで、麦を焦がしたような香ばしい香りがします。
42度で麦の旨みたっぷりで、白麹仕込みのすっきりした辛目の味わいといい、ジンなどの「スピリッツ系」ファン納得の銘柄です。
〈銘柄データ〉
かねさん 兼八原酒 (かねさん かねはち げんしゅ)
四ッ谷酒造/
主原料/麦(ジョイホワイト)
麹/白麹(麦)
度数/42度
蒸留/常圧蒸留
【風憚 原酒 (ふうたん げんしゅ)】
デリケートな性質で収量が少なく「幻の芋」といわれる「栗黄金」を使用。ほ
かの焼酎にはない、華やかで芳醇な香りとトロリとした濃厚な甘みが特徴でふわりとしたマイルド感があります。アルコール度数が適度で、食後酒として味わってもいいですが、やさしい飲み口は料理のじゃまをしないので、食中酒としても楽しめそうです。
〈銘柄データ〉
風憚 原酒 (ふうたん げんしゅ)
吹上焼酎/鹿児島県南さつま市加世田宮原1806
主原料/芋(栗黄金)
麹/白麹(米)
度数/36度
蒸留/常圧蒸留
【さつま小鶴 原酒 (さつまこづる げんしゅ)】
貯蔵熟成で有名な小正酒造の意味焼酎の原酒です。
地元産の黄金千貫と仕込み水には清冽な天然地下水を使用。
蔵独自の蒸留法で造った原酒を2〜3年貯蔵。原酒特有のふくよかな香りと、深みのある味わいが楽しめます。
〈銘柄データ〉
さつま小鶴 原酒 (さつまこづる げんしゅ)
小正酒造/鹿児島県日置市日吉町日置
主原料/芋(黄金千貫)
麹/黒麹(米)
度数/38度
蒸留/常圧蒸留
まとめ
原酒は、割り水のしない「まじりっけなし」の焼酎です。
他のウォッカやジンのような蒸留酒と同様に、ロックやストレート、カクテルにして楽しめます。
皆さんもぜひ「原酒」を飲んで、焼酎本来の果実酒のような華やかな旨味や香りを味わってみてくださいね!
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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