焼酎に最適な黄金千貫(コガネセンガン)とは?
日本全国で、サツマイモは40品種ほど栽培されていると言われてます。
その中でも黄金千貫は、芋焼酎用の原料として、広く普及している品種。
焼酎好きとしては、生い立ちや特徴を押さえていたいサツマイモ。
今回はそんな黄金千貫(コガネセンガン)についてご紹介します。
目次
黄金千貫は、昭和40年に開発された「農林31号」
黄金千貫は、日本のサツマイモの品種である「鹿系7-20」とアメリカのサツマイモの品種である「L -4-5」のあいだで品種改良して生まれました。
当初は、でんぷん用にと期待されたサツマイモ。
何年もかけて、栽培試験が行われ、1966年(昭和40年)に「農林31号」として農水省に品種登録されました。
黄金千貫というネーミングは、皮が美しい色をしている=「黄金」、1株から収穫できる個数が多いことを=「千貫」が由来だそうです。
ここで少し分かりづらいのですが、黄金千貫という名称は、稲苗法に基づく登録名なのです。
戦後に開発された品種は、このように2つ名称を持つものが多いようですが、黄金千貫の場合は、名前の格好良さも手伝って、稲苗法による登録名が世に知られるようになりました。
その後、芋焼酎用の品種として栽培が定着したのは、昭和50年代のことです。
実は、それ以前には、芋焼酎用の品種というものが存在していませんでした。
サツマイモは蒸して食用にされる「青果用」と、工業などに使用される「でんぷん用」のみが栽培されているだけでったのです。
焼酎用としては主に「農林2号」というサツマイモが使用されていたのした。
黄金千貫の特徴
黄金千貫を芋焼酎の原料として使用するようになると、芋焼酎用サツマイモとしての2つの適性が明らかになります。
それは、
1.たくさん収穫できる(「農林2号」に比較し、重量にして1.3倍の収穫量)
2.豊富なデンプン量(デンプン含有量/約25%)
特に、2の豊富なデンプン量は注目です。
それは、豊富なデンプン量のサツマイモは、多量のアルコールを生み、蒸留量が多くなるからです。
また、その他として、
・生育が良い
・「つるボケ」しにくい
・蒸してもべ夕つかない加工適正
も焼酎用サツマイモとして受け入れられました。
黄金千貫の収穫時期と芋焼酎の仕込み時期
黄金千貫は、収穫した後の貯蔵が難しいといわれています。
何日もそのままにしておくと、成分が損耗を起こしてしまう。
具体的には、低温障害を起こし、ショ糖に変じたり、病害に侵されやすくなります。
そして、病害に侵されたまま商品化すると、焼酎は苦味のある粗悪なものになり、ときには、イポメアマロンと呼ばれる苦味物質が焼酎へと移ってしまいます。
貯蔵するうえでの適正温度は13度〜15度、そして適正湿度は80%から90%といわれ、とてもデリケート。
なので、黄金千貫の収穫時期と芋焼酎の仕込み時期は、ほぼ同じなのです。
何日もそのままにしておく事なく、畑から収穫したばかりの黄金千貫をすぐに蒸しあげて、仕込みに入ることが必須であるからです。
黄金千貫の収穫時期の8月末から11月にかけて、1年分の焼酎を製造することになるため、酒蔵は大変な忙しさになります。
少し話は逸れますが、焼酎が他の蒸留酒と比較して、長期貯蔵した商品が少ないのは、このあたりが所以なのかもしれません。
黄金千貫は芋焼酎用サツマイモの王者として君臨
黄金千貫は、前述の芋焼酎用サツマイモとしての適性もさることながら、味わいもとてもよい。
クセが少なく、上品な甘さが特徴。
原料として、この上もなく芋焼酎に最適だったのです。
黄金千貫が登場する以前の芋焼酎はといえば、他の焼酎の中でも特に香りが強いので、「臭くて飲みづらい」と言われることも多かったそうです。
ただ、登場して以降は、「このサツマイモの登場がなければ、芋焼酎の全国的普及はどれだけ遅れただろう」と酒造関係者が感謝することもあったそうです。
芋焼酎の歴史においては画期的な品種でした。
今では、市場に出回る芋焼酎の原料の過半を占めているとも言われています。
まさに、黄金千貫は芋焼酎用サツマイモの王者として君臨し続けています。
麦焼酎が、減圧蒸留とイオン交換という技術革新によって飛躍したように、芋焼酎においては、クセが少なく、上品な甘さが特徴の黄金千貫の登場によって、全国的な人気の広まりの一因となったことは間違いないようです。
黄金千貫は購入可能?
黄金千貫は、蒸すと甘い香りがただよい、そのまま食べてもホクホクします。
カリントウなど製菓の原料としても使われることもあるようです。
ただ、残念ながら日持ちが短いため、全国的には出回ることは少ないようですが、まとまった量でなら、通販などで購入が可能なようです。
黄金千貫以外の焼酎用サツマイモとは
黄金千貫の登場以来、効率良くアルコールを造り出せるようにと、改良が重ねられています。
でんぷん含有量の多いさつまいもが続々と登場しています。
ジョイホワイト、シロユタカ、アヤムラサキ、サツマヒカリなどが頑張っています。
ちなみに、日本には、サツマイモの品種改良を進めている研究機関が二ヵ所あります。
・茨城県つくば市の農業研究センター甘しょ育種研究室
・宮崎県都城市の九州農業試験場畑地利用部甘しよ育種研究室
です。
これらの研究室では、青果用、加工用、デンプン用など利用目的に応じたサツマイモの改良を行っています。
今後の新しい品種の登場にも期待したいところです。
まとめ
いかがでしたか。
芋焼酎用サツマイモの王者として君臨し続ける、黄金千貫。
芋焼酎の近代化の一翼を担っていたのでした。
甘くてほっこりするあの香りは、黄金千貫だからこそ、だったんですね!
これからも、黄金千貫に注目していきたいトコロです。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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