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【焼酎と健康】アルコールの分解と排泄

2022-02-20

お酒の成分はアルコールの画像

お酒の成分はアルコール

お酒の成分の中で大切なのは、エチルアルコールすなわちアルコールです。
そしてこのアルコールは、何の消化される必要もなく、そのまますぐに、胃や小腸から吸収される特徴を持っています。
このような特徴は、ちょうどブドウ糖が示すのと全く同じですが、アルコールは口以外からも体内に入ることがあります。

たとえば、蒸気の形で吸入して肺の中へ取り入れても、直接注射器を用いて皮下注射しても、血液中に入っていきます。
また、そればかりでなく、実験的に直腸や膀胱の中へ入れても、たやすく体の中に吸収されます。
アルコールは、皮膚を除いて、人体のどの部分からでも入り込むことが可能なのです。

アルコールの分解と排泄

最初に吸収されるのは胃。その後、腸への画像

最初に吸収されるのは胃。その後、腸へ

アルコールというのは、たいへん吸収されやすい物質です。
例えば、でんぷんの場合は、唾液や胃液中の糖化酵素によって分解されなければ吸収されません。
また、たんぱく質も脂肪もそれぞれの酵素によって分解されます。
しかし、アルコールはそうではありません。

アルコールを飲んで、体の中で最初に吸収されるのは胃です。

ただ、その吸収度の全体に占める割合は、わずか5%程度。

残りの95%はその後、小腸で吸収されます。
小腸の内壁には腸絨毛(ちょうじゅょうもう)と呼ばれる突起があって、
表面積を計算すると、平均的な体形の成人男性の場合、テニスコート一面とほぼ同じとも言われています。
その巨大な器官が吸収するわけです。

体中のどこにでも到達の画像

体中のどこにでも到達

アルコールが腸に送られれば、一気に吸収され血液にはいります。
その後、脳、肝臓、腎臓、肺臓、髄液、唾液、尿など、あらゆる組織および体液中にひろがっていきます。
例外は、骨や筋肉だけ。

まるで、免罪符をもっているかのように、体中のどこにでも到達します。

体内におけるアルコールの消失の画像

体内におけるアルコールの消失

胃から腸、そして血液中から入ったアルコールが消失するには、2つの道筋があります。
1つ目は尿や肺、汗からの排泄。2つ目は代謝による分解です。

尿や肺、汗からの排泄

飲んだアルコールの2〜5%が尿や、呼気、唾液、汗を通じて体から出て行きます。

飲んでいる時、トイレに行く回数が増える方がいますよね。
その尿の中に、分解されないアルコールが含まれています(全てではありませんが)。
また、酒くさい息の原因は、大部分は酒のなかのアルコール以外の物質によると考えらていますが、アルコールが含まれていることは疑いない事実です。

ドライバーの酩酊度を測定しているのがその確たる証拠。
呼吸中にふくまれているアルコール量は、血液1ml中のアルコールに匹敵するという事実を利用しているのです。

ちなみに、体重1キロ当たり2グラム程度の大酒飲みになると、この経路を通じての排泄が7〜10%にも達します。

残りの90%前後のアルコールが体内代謝されて分解することになります。

代謝による分解

その砦が、肝臓
全身を回った後は、肝臓で代謝されて分解されるのです。

主に、アルコール脱水素酵素と呼ばれる酵素によって分解されます。
その作用には2パターンがあります。
一般的には、アルコールからアセトアルデヒドを生ずる反応によるといわれています。

エタノールはアルコール脱水酵素とニコチン酸アミドジヌクレオチドという補酵素によってアセトアルデヒドができます。
アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素とニコチン酸アミドジヌクレオチドによって酢酸になります。
酢酸は、さらにアセチルコエンチームAという物質になり、クエン酸回路という分解経路を通りながら、水と二酸化炭素に分解。
これが、1パータン目です。

2パータン目は、普段からお酒を飲んでいる人。
お酒が強いと言われている人の作用です。
肝細胞のミクロソームという組織にあるミクロソームエタノール酸化系と呼ばれる酵素系で、アセトアルデヒドになる反応です。
この酵素系は、体内にはいってきた種々の薬品類の分解にも作用しています。

お酒の強い人はこのミクロソーム酸化酵素系が豊富にあるというワケです。
お酒を普段から飲んでいるうちに、酒に対する抵抗性が増して、だんだんこの酵素系が体内で蓄積されるのでしょう。

以上のプロセスを経て、最終的には水と二酸化炭素(炭酸ガス)になり、体内から消えていきます。

最後にの画像

最後に

お酒の適量は、だいたい平均して純粋なアルコール量に換算して1日に30ml未満と考えられています。
つまり,焼酎にすると120ml(5対5でお湯割するならコップI杯と1/3)で,これは体調によっても異なりますが、普通の人は充分の量と言えます。
くれぐれも適量に留意して、お酒を楽しんでください。

-参考 : 田多井吉之介「健康と治療に有益なお酒の効用」「日本釀造協會雜誌」,1976年,第71巻第1号
-参考 : 田多井吉之介「酒飲みの医学」創元社, 1969年2月
-参考 : 葉石かおり「酒好き医師が教える最高の飲み方」,日経BP社,2017年11月

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