焼酎とウォッカの違いは何?
焼酎とウォッカは、どちらも蒸留酒の仲間。
ただ、酒税法ではウォッカは「スピリッツ」、焼酎は「焼酎甲類」か「焼酎乙類」に分類されます。焼酎とウォッカは一体何が違うのでしょう?
両者を比較しながら、その特徴から楽しみ方までご紹介します。
目次
ウォッカの歴史
まずは、ウォッカの歴史や製造方法を踏まえて、ウォッカの特徴を見ていきましょう。
ウォッカは蒸留酒
ウォッカは、原料を糖化・発酵させてアルコールを発生させ、さらに蒸留によってアルコール度数を高めた蒸留酒。
主な生産地は、旧ソ連圏、北欧圏、中欧圏。主原料は、大麦、小麦、ライムギ、じゃがいもなどさまざまです。
ウォッカの歴史
ウォッカの歴史は、11~12世紀頃まで遡ります。
発祥地をめぐってはロシア説とポーランド説で争いがあり、公式な記録としては、モスクワ公国の記録に12世紀頃にウォッカが飲まれていたことを示す記録が残されています。
一方で、11世紀頃にはポーランドで造られていたという説もあります。
ウォッカは、ロシア革命後に西欧諸国に広まりました。
1930年代には禁酒法解禁後のアメリカにも広がり、1970年代にはバーボンをしのぐほどの人気を博しました。
日本には、第二次世界大戦後に伝わったといわれています。
ウォッカの製造方法
ウォッカは、主原料を糖化・発酵させて、連続蒸留機で何度も蒸留を繰り返し、アルコール度数を85~96度まで高めます。
その後、通常は加水して度数を調整し、白樺炭でろ過。
白樺炭によるろ過は、蒸留後のウォッカの刺激成分を取り除き、軽やかな香りを生む作用があります。
白樺炭でろ過された透明感は、ウォッカの最大の特徴といえるでしょう。
ウォッカの度数
●アルコール度数
ウォッカのアルコール度数は平均40~60度。
世界一度数の高いスピリッツとして知られるウォッカ「スピリタス」は、なんと96度。
アルコール度数が高めなことも、ウォッカの特徴のひとつです。
焼酎のアルコール度数と比較してみましょう。
甲類焼酎のアルコール度数は、酒税法では36度未満とされています。
実際の商品では、ポピュラーな20度、25度のものから上限35度のものまで、さまざまな度数のものがあります。
乙類焼酎のアルコール度数は、酒税法では45度以下。乙類焼酎も、20度、25度をはじめ、12度のものか45度近い原酒まで、多様な商品があります。
●製造方法
焼酎の製造方法は、大きく「単式蒸留」と「連続式蒸留」に分けられます。
これに応じて、焼酎は大きく分けて「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」と「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」の2種類があります。
単式蒸留焼酎は、単式蒸留機で1~2回蒸留された焼酎。
原料の香味がよく溶け込んだ焼酎が多く、本格焼酎と呼ばれる焼酎は単式蒸留焼酎です。
乙類焼酎とも呼ばれます。
連続式蒸留焼酎は、連続式蒸留機で何度も蒸留を繰り返し、アルコールの純度を高めた焼酎。
甲類焼酎とも呼ばれ、一般的にすっきりした透明感があります。
ウォッカも、連続式蒸留で製造します。
どちらも透明感のあるお酒に仕上がるため、チューハイやサワーのベースに適しています。
●原料
乙類焼酎の代表的な原料は、芋、米、麦。他にも、そば、サトウキビ、酒粕などが挙げられます。
一方、甲類焼酎の原料には、サトウキビの搾りかすである廃糖蜜や、清酒の酒粕などが使われます。
ウォッカの原料も大麦、小麦、ライムギ、じゃがいもなどさまざまですので、原料においては乙類焼酎とより類似性があるかもしれませんね。
ウォッカの飲み方
1970年代のアメリカで、国民的人気のブラウンスピリッツ・バーボンの消費量が、ホワイトスピリッツのウォッカに抜かれるという出来事がありました。
これは、「ホワイト革命」と呼ばれるほど画期的な出来事。
そのホワイト革命をけん引したのが、ウォッカだったのです。
ホワイト革命が起きた大きな理由のひとつが、無色透明のホワイトスピリッツがカクテルベースに適していたから。
カクテルとして飲まれるようになり、多くの若い女性が楽しむようになったことから、飲酒人口がぐっと広がりを見せたのです。
ウォッカの代表的なカクテル
●ソルティドッグ
ソルティドッグは、飲み口にスノースタイルの塩を付けた、ウォッカベースのロングカクテル。
ウォッカ、グレープフルーツ、塩というシンプルな材料でできています。
●スクリュードライバー
スクリュードライバーは、ウォッカとオレンジジュースを混ぜたシンプルなロングカクテルです。
口当たりのよいウォッカに、オレンジジュースの甘みと香りが加わって、つい飲み過ぎてしまいます。
オレンジジュースの割合で度数を適度に調整して楽しむのがよいでしょう。
●モスコミュール
モスコミュールも、ウォッカベースのシンプルなカクテル。
氷を入れたタンブラーグラスにウォッカを注ぎ、ライムジュースを搾り、ジンジャーエールを注いでステアするだけで完成します。
焼酎とウォッカの違いは?
人気のレモンサワーや缶チューハイ。
これらはいずれも、ベースのお酒に果汁や炭酸を混ぜたものですが、ベースのお酒には何が使われているのでしょう。
レモンサワー
ここ数年大人気のレモンサワー。
甲類焼酎をベースにした宝酒造の「タカラcanチューハイ レモン」「極上レモンサワー」シリーズ、ウォッカをベースにしたキリンの「氷結」、サントリーの「-196℃ ストロングゼロ」など、多種多様な商品があります。
缶チューハイ
缶チューハイは、「缶酎ハイ」と書くわりに、意外と多いのはウォッカベースのもの。
代表的な缶チューハイについて見ていきましょう。
●ウォッカ
キリンの「氷結」シリーズ、サントリーの「-196℃ ストロングゼロ」は、どれもウォッカベースの缶チューハイです。
●スピリッツ
コカ・コーラの「檸檬堂」、サッポロビールの「男梅サワー」も、人気の缶チューハイですね。
これらの原料表示を見ると、「ウォッカ」「焼酎」などの分類は明示されていないようです。
もっとも、「スピリッツ」との表記があるので蒸留酒がベースになっていることは明らかです。
●>焼酎(甲類)
甲類焼酎をベースにした缶チューハイの代表といえば、「タカラcanチューハイ」。
ウォッカベースの缶チューハイと比べてフルーティさが控えめで、焼酎のアルコール感が強く感じられます。
宝酒造は「タカラcanチューハイ」以外にも、「お茶割り」シリーズや「緑茶割り」など、甲類焼酎ベースの缶チューハイのバラエティが豊富ですね。
●焼酎(乙類)
乙類焼酎を気軽に飲んでもらおうと、乙類焼酎ベースの缶チューハイも登場しています。
セブンイレブンでは、「ご当地ハイボール」シリーズとして、「さつま島美人ハイボール」「黒伊佐錦ハイボール」「白岳しろハイボール」の3商品を販売。
薩摩酒造も、本格芋焼酎ベースの「さつま白波ハイボール」「さくら白波ハイボール」や本格麦焼酎ベースの「神の河ハイボール」をコンビニ限定で発売しています。
まとめ
ウォッカでホワイト革命が巻き起こったように、焼酎の炭酸割りで焼酎ブームが訪れることも!?
まずは焼酎ベースの缶チューハイ、そして焼酎ベースのカクテルにも、挑戦してみてくださいね。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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