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【原酒 】原酒 三岳(げんしゅ みたけ) | 三岳酒造(鹿児島県熊毛郡屋久島町)

屋久島は洋上のアルプス

屋久島は、鹿児島市の南の約135kmに浮かぶ周囲132km、面積500 k㎡のほぼ円形をした島です。標高1936mの九州最高峰である宮之浦岳をはじめとして、1000mを超す高嶺45が鎮座。ほかにはない山岳美、渓谷美が見られる山岳地帯が島の大半を占めていることから、洋上のアルプスと呼ばれています。

屋久島は洋上のアルプスの画像

平成5年には、世界自然遺産に登録。樹齢1000年を越える屋久杉が並ぶ、巨大屋久杉地帯が島全体に広がります。ジブリ映画「もののけ姫」の舞台とされている「白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)」などもあり、島の90%は大自然に覆われています。そして、海岸周辺は亜熱帯、山頂付近は冷温帯という混在環境は、様々な特色のある生き物を育んでいます。

日本名水百選に選ばれた清冽な天然水の画像

日本名水百選に選ばれた清冽な天然水

屋久島は「1カ月に35日雨が降る」といわれるほど雨が多いところ。年間平均降水量は平地で約4,500mm、山間部では8,000~10,000mm。その量は日本の年間平均降水量の2倍をはるかに超えるほどです。

その雨は、宮之浦岳をはじめとする大自然の中に流れ落ち、屋久杉の原生林で濾過され豊富な水資源として島に還元されます。極めて急峻な山岳地帯はすぐ海にせまっているために、人為的な影響や汚染を受けにくいといわれています。
その清冽な天然水は、日本名水百選にも選ばれています。

屋久島の焼酎酒蔵の画像

屋久島の焼酎酒蔵

屋久島には焼酎酒蔵が2場あります。鹿児島の島の焼酎といえば奄美黒糖焼酎が有名ですが、屋久島で作られている焼酎は黒糖ではありません。ほかの鹿児島のエリアと同じ芋焼酎が作られています。島の平地では、サツマイモが栽培されているのです。

三岳酒造は、屋久島の焼酎酒蔵の1つ。創業は1958年(昭和33年)で、南九州の中では新しい酒蔵といえます。島の蔵元を買収したのが創業のきっかけです。

三岳酒造は、名水百選の中でも屈指の名水と評判の屋久島の天然水を使用して焼酎を作っています。焼酎は、米と芋や麦など原料としますが実は、水も大事な原料のひとつ。

一次仕込みや二次仕込み、加水などが主ですが、そのほかにも、原料の米の浸漬、芋の洗浄、芋の蒸し、蒸留時のボイラー用、蒸気の冷却用、甕やタンクなどの道具の洗浄などなど、焼酎造りのほとんどの工程に水は関与しています。
そして、質も大切です。米を洗って浸漬する工程では、水の成分が米や芋にも吸収されます。ボイラー用の水は蒸気となり、原材料を蒸すときには原料に、また蒸留のときはもろみに触れるので、良質な水が焼酎の品質に影響するのです。

銘柄は「三岳」と「愛子」が有名な蔵

三岳酒造の名前の由来は、九州最高峰である宮之浦岳と永田岳、黒味岳の名峰三座からです。
銘柄はレギュラー酒である「三岳」とその原酒である「三岳 原酒」の他に、減圧蒸留で仕上げた「愛子」を作っています。愛子という名前は、屋久島にある「愛子岳」が由来でしたが、愛子様が御誕生された際に注目を集めたのがきっかけで、今ではプレミアム焼酎として人気の芋焼酎。
どの銘柄も、屋久島産のサツマイモと、屋久島の天然水を使用した島の恵みが100%詰まった芋焼酎です。

三岳は今では大手酒店でも取り扱いがあるほど、全国で安定した人気の芋焼酎です。
屋久島の天然水を使用して造られる三岳はさわやかかつクリアな味で、この焼酎をきっかけにして焼酎ファンになったという人も多いです。

原酒 三岳の画像

三岳 原酒

今回ご紹介する銘柄は、「原酒 三岳」。年間の生産量が少ないため、希少な焼酎です。
レギュラー酒である「三岳」のラベルは黄色を基調としていますが、「原酒 三岳」はモノクロのシックで落ち着いたラベル。

原酒とは

焼酎は、貯蔵熟成が終わり瓶詰めする前、蒸留したままの焼酎に水を加えて、アルコール度数を調整します。その工程を割水または加水といいますが、原酒は割水をしないで瓶詰めをした焼酎のことです。割水をしないため、焼酎本来の味わいを感じることができます。

飲み方はストレトの画像

原酒の飲み方はストレート

「原酒 三岳」のおすすめの飲み方はストレートです。ストレートは焼酎そのままの味わいを楽しめる飲み方。脚付のグラスで、ゆっくり味わってください。原酒は35度以上とアルコール度数が高く、酔いの回りが早いので、ショットグラスのような勢いがつくグラスは、避けるようにしてください。

原酒 三岳の味わい

グラスに「原酒 三岳」を注ぐとサツマイモの甘い香りが漂います。
アルコール度数は39度と迫力のある度数ですがツンとしたアルコール臭は感じません。
口に含むと、ふくよかな黄金千貫の味わい。まるでサツマイモを齧ったよう。
屋久島の大自然の中で生まれた、名水が由来のまろやかな酒質です。
水は大切な焼酎の原料だと実感します。飲み口が良く、さわやかな酔い心地へと誘います。
また、肥沃な大地の湿ったような土の香りも印象的。
スーッと口の中を通り過ぎたあと、余韻の心地よさは喉の奥で感じます。

「原酒 三岳」と「〆さば」のペアリングの画像

「原酒 三岳」と「〆さば」のペアリング

鹿児島県屋久島は鯖が有名です。「原酒 三岳」にはお酢を使った「〆さば」とのペアリングがよさそうです。
お酢を使用した料理は、日本酒やワインとのペアリングは難しい。お酢の酸味は、日本酒やワインの「酸化」を想起させるためです。
その点、蒸留酒である焼酎のクリアなシャープさとは相性が良いのです。
皆さんも是非、試してみてください。

〈銘柄データ〉
【原酒 三岳(げんしゅ みたけ)】
三岳酒造/鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2625-19
主原料/芋(黄金千貫)
麹菌/白麹
度数/39度
蒸留/常圧蒸留

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