【黒糖焼酎】あまみ六調 白ラベル・20度 | 奄美大島開運酒造(鹿児島県大島郡宇検村湯湾)
目次
奄美黒糖焼酎
鹿児島県の南方の約380~580 キロメートルの海域には、奄美群島と呼ばれる美しい島々が点在しています。人が生活する島は8島あり、そのうち、喜界島(きかいじま)、奄美大島(あまみおおしま)、徳之島(とくのしま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)、与論島(よろんじま)の5島で、焼酎が作られています。
鹿児島県に属していますが、原料はサツマイモではなく、サトウキビから作られる黒糖です。そして、黒糖を原料にした焼酎造りはこの地域だけに認められているものです。
サトウキビは16世紀頃に中国から伝わったとされています。焼酎造りも早くから伝わっていましたが、当初の原料はサトウキビではなかったようです。サトウキビを原料にしたのは、昭和に入ってから。戦後の混乱で、奄美には米の配給がなくなり慢性的な米不足から、広い地域で栽培されていたサトウキビを代用したといわれています。
奄美大島の焼酎酒蔵
奄美群島には黒糖焼酎の酒蔵は25蔵あります。
それぞれ個性豊かな黒糖焼酎を造っていますが、数が一番多いのは奄美大島です。
奄美大島は、日本の有人離島では2番目の大きさがあり東京23区がすっぽりと入るほど。
66.6%が森林で、世界自然遺産にもなっている深い山々には、天然記念物のアマミノクロウサギを代表とした貴重な動植物がたくさん生息しています。島の中南部には、日本で2番目に広大なマングローブの群生地もあります。
酒蔵の大半は中心地の奄美市にあり、残りは島の北部と南西部に散在しています。奄美大島の酒蔵は、一次仕込みを甕で、二次仕込みをタンクで仕込むところが多いです。また、主原料の黒糖の量が、ほかの島に比べると少なめで、平均すると麹に使用する米の約1.5倍しかありません。そのため、米麹の風味が酒質に反映された、コクのあるやわらかな仕上がりとなる傾向があります。5島の中でも喜界島と酒質が近いといわれています。
水にも特徴があり、ほかの島がすべて硬水に対して、奄美大島は軟水。
奄美大島開運酒造
奄美大島開運酒造は、奄美大島の西南部にあります。
創業は1996年(平成8年)。前身は1954年(昭和29年)創業の戸田酒造所といいます。「東富士」「紅さんご」などを製造していた名瀬市(現:奄美市)の酒蔵。
戸田酒造所は後継者が不在で、事業の継続に問題を抱えていたところ、お酒を納入していたホテルの経営者である渡博文氏が、譲り受けたのがきっかけ。
名瀬市にあった酒蔵を、豊富な水に恵まれた渡博文氏の故郷である宇検村(うけんそん)に移設。酒蔵の名前を奄美大島開運酒造に変更し、譲り受けた戸田酒造所の酒類製造免許をもとに焼酎造りを開始したのでした。
宇検村に移設した理由は、過疎が進む故郷に産業を興して村に携わる人を増やしたいという強い思いもあったようです。
1997年(平成9年)、宇検村湯湾(ゆわん)に製造工場を開き、その後、株式会社に組織変更して今に至ります。
奄美黒糖焼酎「れんと」
奄美大島開運酒造の代表銘柄といえば「れんと」。初代の杜氏だった渡悦美氏が中心となって開発した黒糖焼酎です。女性でも酒店で手に取りやすいようにデザインされた明るいブルーのボトルが特徴です。銘柄名は、イタリア語で「ゆっくりと」という意味をもつ「Lento(れんと)」が由来。
蒸留直後の焼酎は、酒質が荒々しく風味や香りが不安定だったり、油分が剌激臭を感じさせたりします。そのため酒蔵では一定期間、お酒をタンクや甕の中で熟成させ酒質を安定させます。
れんとの熟成中には、モーツァルトやベートーベン、ビバルディなどのクラシック音楽を流します。貯蔵タンクに一定の音響振動を与えるためです。その振動によって熟成を促すのが目的で、この熟成方法は「音響熟成」と呼ばれています。
れんとは音響熟成を代表する焼酎です。
また、れんとは、一升瓶や紙パック、900ml(5合瓶)、720ml(4合瓶)まで、サイズの種類が豊富。お酒を飲むシーンに合わせて使い分けが可能。
黒糖焼酎とラム
奄美大島開連酒造では、ラム酒とよく似た「紅さんご」という黒糖焼酎も作っています。
長期樫樽熟成の琥珀色をした、アルコール度数40度の「和製ラム酒」という呼び名がふさわしい黒糖焼酎。
黒糖焼酎はラム酒と同じサトウキビを利用した蒸留酒です。では違いは何でしょうか? その違いは発酵にあります。黒糖焼酎の発酵は米から造った麹を利用しますが、ラム酒は糖蜜をそのまま発酵させて蒸留します。また、酒税法において黒糖焼酎は焼酎に分類されますが、ラム酒はスピリッツまたはリキュールに分類されているのも大きな違い。
「紅さんご」は黒糖焼酎に分類されますが、ラム酒のようなお洒落なボトルは、新しい黒糖焼酎の可能性を感じさせてくれます。2021年には、TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)焼酎部門で最高金賞&ベスト・オブ・ザ・ベストに選ばれています。
黒糖焼酎「あまみ六調 白ラベル・20度」
今回、ご紹介する銘柄は「あまみ六調 白ラベル・20度」です。伝統的なかめ仕込み・常圧蒸留にこだわった黒糖焼酎。奄美の黒糖焼酎も減圧蒸留での蒸留が増えてきています。クリアでシャープな味わいに仕上がるので飲み安いのが特徴ですが、黒糖焼酎のコクのある味わいには、やはり常圧蒸留がよく似合います。
アルコール度数は20度です。黒糖焼酎の多くは、アルコール度数が30度と高いのが特徴ですが、10度低くして仕上げています。ほかの焼酎の一般的な度数は25度なので、ほかの焼酎と比較しても5度ほど低いことになります。
蒸溜後の原酒のアルコール度数は約37〜45度です。貯蔵熟成した後に原酒は、水を加える「加水(かすい)」によってアルコール度数が調整されます。加水の割合によって、30度や25度、20度の焼酎が生まれるのです。
20度の焼酎はロックがおすすめ
「あまみ六調 白ラベル・20度」は度数が20度なので、飲み方はロックがおすすめです。
黒糖焼酎をすっきりと飲みやすく、かつ独特の風味も楽しみたいなら、ロックがおすすめです。氷で冷やすと甘味が締まるとともに、とろりとした質感になり、口のなかに長く留めて味わうには最適な飲み方。ストレートに近い飲み始めから、永が解けて水割り状になるまでの、香味の変化も楽しめます。
また、「あまみ六調 白ラベル・20度」には度数が違う「あまみ六調 黒ラベル・30度」もあります。「あまみ六調 黒ラベル・30度」はお湯割りがおすすめです。
度数に違いがある銘柄は、度数に合った飲み方を使い分けてもよいかもしれません。
「あまみ六調 白ラベル・20度」の味わい
香りは、華やかな黒糖や黒飴の香りがはっきりとしています。白い花の香りや蒸したての米の香りが印象的。きな粉やロースト香も感じられます。サトウキビ由来のミネラル香。味わいは、まろやかでふくよかな印象から、広がりにはドライさを感じる味わいがあります。仕込水に使用した、奄美最高峰の湯湾岳(ゆわんだけ)が育む伏流水が頬をぽってり膨らませます。余韻は長く、白胡椒のようなスパイシーさを残します。度数が20度なので、飲み心地がすっきりしているのも特徴。
黒糖焼酎と「ブリの照り焼き」のペアリング
黒糖焼酎は、黒糖由来の砂糖を焦がしたカラメルのような香りがあるので、甘辛く煮た「ブリの照り焼き」のペアリングがおすすめです。ブリの持つミネラル香は「あまみ六調 白ラベル・20度」との相性も良さそうです。
〈銘柄データ〉
【あまみ六調 白ラベル・20度】
奄美大島開運酒造/鹿児島県大島郡宇検村湯湾2924-2
主原料/黒糖
麹菌/白麹(米)
度数/20%
蒸留/常圧蒸留
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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