【芋焼酎】宝山 芋麹全量 | 西酒造(鹿児島県日置市)
目次
西酒造の歴史とこだわり
西酒造は、鹿児島県日置市にある焼酎蔵。8代目当主の西陽一郎氏が25歳の時に開発した「富乃宝山」は、ロックで楽しむ本格焼酎として多くのファンに親しまれています。
創業は1845年(弘化2年)。鹿児島でも屈指の歴史を誇りますが、意欲的で新鮮な提案を発信し続けています。伝統製法とそれに裏付けされた技術はもちろんのこと、原料であるサツマイモへのこだわりがこの蔵の身上。「酒造りは、まず農業を知り尽くし、敬意を払うこと」という考えのもと、原料であるサツマイモ作りからこだわった高品質の焼酎造りを続けています。
西酒造の焼酎を育む鹿児島県日置市の自然
鹿児島県日置市には、日本三大砂丘のひとつとして知られる吹上浜があります。東シナに面し、薩摩半島の西岸に沿って伸びる南北47キロメートルの長さは日本一。「日本の渚百選」にも選ばれたその自然は雄大そのもの。
また、薩摩焼の里としても有名で、焼酎の燗酒には欠かせない「黒ぢょか」を求めて全国からファンが訪れています。
西酒造がある日置市吹上町は、吹上温泉があり良質の温泉として知られています。北から永吉川、小野川、伊作川、堀川が西に流れ海に注ぎ、焼酎作りに大切な水資源が豊富であることをうかがわせます。
蔵の付近を伊作(いざく)川が流れていますが、仕込み水や割り水に用いているのは、薩摩峰山の地下深くから汲み上げる天然ミネラルを豊富に含んだ地下水。西酒造では、この地下水をボトル詰めして、「宝銘水」として販売しています。
西酒造の酵母や麹へのこだわり
西酒造の芋焼酎は、個性派揃い。クリアでスッキリした焼酎からコクのある伝統的な焼酎へとトレンドが変化しているなか、洋梨やオレンジ、ローズマリーなど果物やハーブを思わせる香りといった、今までにない芋焼酎の個性に重点を置いた華やかな芋焼酎を多く製造しています。
製法・容器のこだわりなど個性化が進むなか、西酒造が提案するのは、伝統に忠実ながら柔軟性と熟練の技術を生かした酵母や麹へのこだわりです。素材に向き合い、確かな論理と五感を働かせながら、サツマイモ本来の味わいや香り、旨味を素直に引き出していくのだといいます。
鹿児島県日置市の自然と伝統と革新性と隣り合わせの香りへのこだわり。西酒造の芋焼酎には、伝統的ながら新鮮な魅力が詰まっています。
西酒造の焼酎造り
麹用のお米を開発して、香り豊かな焼酎を造る
焼酎の麹作りに使われるお米は輸入米が主流です。それも破砕米といって、主食にされないように破砕された麹専用のお米で、ほとんどがタイ産。価格と流通が安定していたため使われていたのですが、西酒造では、その麹用のお米に着目します。
西酒造の麹用のお米は、「たからまさり」というお米です。焼酎の麹用として鹿児島県農業開発総合センターと共同で開発。かつては、「五百万石」という日本酒の原料になる高価な酒造好適米を使ったそうです。しかも10~20%ほど削って精米していたといいます。
どの蔵元も着目しなかった麹用のお米にこだわることで、唯一無二の豊かな香りを引き出しているのです。
清酒用酵母で香り豊かな焼酎に
アルコール発酵が始まる2次仕込みでは、1次醪とサツマイモなどの原料、水に加えて酵母菌を入れます。アルコール発酵には酵母菌が不可欠だからです。麹菌と酵母菌が組み合わさって、はじめてアルコールが生成されますが、香り成分を造り出しお酒の香りに影響を与えるといいます。
一般的な焼酎酵母は、宮崎県酵母や鹿児島県酵母があります。「富乃宝山」では清酒用酵母の9号系を自家培養したものを2次仕込みで加えています。9号酵母は吟醸香が豊富なため大吟醸には欠かせず、多くの日本酒蔵が採用している酵母。蔵元は熟練の職人技で、香り豊かな焼酎造りに欠かせない酵母を2次仕込みで加えているのです。
西酒造では蒸溜機の「いいとこどり」でサツマイモの風味を引き出す
焼酎は数々の製造工程を経ますが、とりわけ重要なのが蒸溜工程。酒質を大きく左右するといわれています。
かつては、原料の味わいや香りを引き出すのは常圧蒸留、クリアな口当たりの良さに仕上げるのは減圧蒸留と使い分けられてきました。
しかし最近では、蔵元の中で減圧蒸留・常圧蒸留を使い分けて焼酎を作っています。銘柄ごとに蒸留法の特徴を活かして焼酎を作っているのですが、西酒造では、減圧蒸留・常圧蒸留を併用。
最初に常圧蒸留で原料の味わいや香りを引き出し、途中から減圧蒸留に変えて口当たりのよいクリアな焼酎に仕上げています。この技術が使われているのが「富乃宝山」です。
サツマイモ品種の魅力が詰まった「宝山蒸選」シリーズ
西酒造では「酒造りは、まず農業を知り尽くし、敬意を払うこと」という考えのもと、焼酎作りをしています。原料のサツマイモへの思い入れは強く、早い時期から契約農家から直接購入したといいます。
その思いが結実したのが、「宝山蒸選シリーズ」。
このシリーズは、サツマイモ品種の魅力が詰まっています。芋の品種以外、種麹や蒸留法などの条件はすべて同じで、それぞれの品種の個性を感じることができます。
製菓などに使われる紫色の芋のアヤムラサキで造った「宝山綾紫」。ビタミンが多く含まれ、石焼き芋などで使われる青果用のベニアヅマの「宝山紅東」。でんぶん価が高く、鹿児島県内で一番の収量を誇るシロユタカを使用した「宝山白豊」がラインナップされています。
農業とサツマイモの生産者への確かな思いを焼酎作りに込めています。
今回ご紹介するのは「宝山 芋麹全量」
「宝山 麹芋全量」は、麹にお米ではなく芋を使った芋100%焼酎です。お米以外の麹を使った焼酎としては大分の麦焼酎が有名ですが、芋焼酎の期待を背負って1998年(平成10年)に開発されたのでした。
宝山 芋麹全量は原酒
「宝山 麹芋全量」は、オレンジや白い花を豊かに感じます。ほかの芋焼酎にはなかなかお目にかかれないほど。全量芋の甘いサツマイモの味わいは、コクがあるのにすっきりとした余韻が感じられます。
飲み方は、ロックがおすすめ。割水をしていない分、アルコールのツンとした辛さを感じます。しかし時間の経過とともに溶けた氷が、味わいの変化を楽しませてくれます。
〈銘柄データ〉
【宝山 麹芋全量 (ほうざん いもこうじぜんりょう)】
西酒造/鹿児島県日置市吹上町与倉4970-17
主原料/芋(黄金千貫)
麹/黒麹(芋)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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