【芋焼酎】さつま げんち | オガタマ酒造(鹿児島県薩摩川内市)
目次
酒質を適切に設計・管理した高品質の焼酎造り
オガタマ酒造は、鹿児島県薩摩川内市にある焼酎蔵です。仕込みや貯蔵において地中に埋められた甕を使った「甕仕込み」が有名で、伝統製法にこだわった蔵元として多くのファンに親しまれています。
銘柄ごとに、サツマイモの品種や熟成方法などにこだわっており、商品開発にも余念がありません。それぞれの特色を活かした焼酎づくりは唯一無二の味わいを引き出すべく、酒質を適切に設計・管理した高品質の焼酎造りを続けています。
薩摩川内の自然
薩摩川内市は鹿児島県の北西に位置しています。 鹿児島県内の中でも一番大きな市で、北薩摩地区の中心都市。九州三大河川のひとつである川内川が中心部を流れ、水の町として親しまれています。古の時代より水の国と呼ばれるほど、豊かな水源がいたるところにあることで有名です。
オガタマ酒造が蔵を構える永利(ながとし)町は、薩摩川内市の中央部、平佐川の中流域にある人口4,000人ほどの町。緑と水資源豊かな環境のもと、オガタマ醸造の焼酎は育まれています。
蔵元が仕込み水や割り水に用いているのは、冠獄山を水源とする清らかな軟水。「野登路の水」を地下200メートルから汲み上げています。
オガタマ酒造のテーマ
オガタマ酒造の焼酎は、味わいや香りが個性的。クセが少なく、クリアな酒質な芋焼酎が増える中、濃厚なサツマイモ特有の甘みや香りが豊か。麹や仕込み水といった原料が調和する、飲みごたえのある焼酎を多く製造しています。
蔵元のテーマは 「温故知新」。古きをたずね、新しきを知るという心を大切にしています。時代にあわせた商品を造るのではなく、過去の歴史の中から新しいものを発見して、商品に活かすことを実践しています。素材と対話し、長年の経験と五感を働かせながら、原料由来の風味や香り、旨味を素直に引き出していくのだといいます。
オガタマ酒造の歴史
オガタマ酒造の創業は明治27年。名前は、蔵を構える永利町にある石神神社の神木「オガタマ」の木が由来です。オガタマは木蓮科の樹木で、昔から神社にゆかりの深い樹木。玉串として用いられるなど、神社には欠かせないものとされてきました。
石神神社境内のオガタマは,アマテラスオオミカミの天の岩戸隠れの神話に由来する伝説の木で、胸高周囲6.7m,高さ約22m,推定樹齢は約800年といわれています。
蔵は一旦休業して、平成5年に再興しています。再興したのは現会長である山元浩義氏の尽力があったといいます。当時、山元氏は同じ地区内に蔵をもつ山元酒造の蔵元。いくつもの小さい蔵が閉じていく中、この土地の酒を絶やしてはいけないという想いで、平成5年にオガタマ酒造の代表に就任しました。
山元氏のもと、生産量を増やさず、この土地で守られてきた方法で酒を仕込む。オガタマ酒造は土地に根ざした蔵として復活したのです。
地杜氏とは、この蔵の最大の特徴
蔵元の代表銘柄は「鉄幹」。大正末期に建てられたレンガ造りの蔵で、焼酎造り70年の地杜氏・杉園道男氏が開発しました。かめ仕込み特有のソフトで甘い香りと深い味わい。まさに、伝統的な鹿児島の芋焼酎です。名前は、かつて川内を訪ねた文人・与謝野鉄幹が由来です。
開発を担当した杉園道男氏は、オガタマ酒造の地杜氏です。地杜氏というのは蔵付きの専属杜氏のこと。かつて、多くの蔵の焼酎づくりは黒瀬杜氏に代表される一般的な杜氏が担当していました。一般的な杜氏は、焼酎製造の始まりにやって来て、終わると帰っていく職能集団ですが、地杜氏はその蔵に居続ける蔵の全てを熟知した蔵の達人。地杜氏が焼酎づくりを担当するのは、この蔵元の特徴のひとつ。
先人たちの知恵を生かしながら、新しい焼酎を実践
オガタマ酒造のこだわりは何といっても甕仕込み。大正年間に建てられた「鉄幹蔵」で甕貯蔵が行われています。最近では、木樽を使った貯蔵熟成が多い中、蔵元では甕を使った伝統製法を守っています。
「蛮酒の杯」は、その甕で三年以上貯蔵した焼酎です。
蔵元では、ほかにも伝統的な蒸留機である木樽蒸溜器も設置して焼酎を醸しています。
「鉄馬」という芋焼酎では、シェリー樽と樫樽を使って3年以上貯蔵熟成しています。シェリー樽の華やかさ・果実香、樫樽のスモーキーな香りと芋の甘味が調和し、コクと丸みのあるスッキリとした味わいが特徴として人気を博しています。
蔵元では、先人たちの偉大な知恵を生かしながら、新しい焼酎の形を開発し実践しています。その姿勢はまさに、蔵のテーマ「温故知新」であるといってもよいでしょう。
今回ご紹介するのは「さつまげんち」
今回ご紹介するのは「さつまげんち」です。「さつまげんち」は戦前に鹿児島県でつくられていたサツマイモの品種である「げんち」を自社で栽培したものを使っています。
蔵元では、黄金千貫以外のサツマイモの品種を使用した焼酎に「紅鉄幹」があります。関東ではポピュラーな青果用品種ですが、鹿児島ではあまり栽培されていない品種のベニアズマというサツマイモを使用。
このサツマイモの品種を代表銘柄「鉄幹」ブランドとしてではなく、「さつま げんち」ブランドで発売したのは、蔵元の期待を感じさせます。
種麹には黒麹を使い、甕で仕込んでいます。「げんち」が持つやわらかな香りがコク。過去の歴史の中から新しいものを発見して、商品に活かした新しい芋焼酎そのものです。すっきりとした口あたりが特徴。
飲み方はロックがオススメです。クリアな酒質とロックの爽快感が心地よく感じられます。
〈銘柄データ〉
【さつま げんち】
オガタマ酒造/鹿児島県薩摩川内市永利町2088
主原料/芋(げんち)
麹/黒麹(米)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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