伊良コーラ・コーラ小林さんと、大山甚七商店・大山陽平専務に「コーラ酎」開発について伺いました【後編】
【前編より続く】
コーラ酎のブランド力と値付け
SHOCHU PRESS編集部(以下、編集部) : 広告代理店ご出身ということもあって、ブランディングがしっかりされているように思うのですが。
伊良コーラ代表・コーラ小林さん(以下、コーラ小林さん):実は、それはあまり関係なくて。広告代理店出身なんですけど、イベントの部署出身で、イベント屋のような感じでした。トランシーバーかき集めたりとか、屋台作ったりしていました。そういう(ブランディングに関わる)部署にはいったことなくて。それよりも、小学生時代からアイデアマン小林と呼ばれて、人とは違ったアイデアがある子供だったようです。
編集部:コーラ酎は300mlで3,500円(税別)。5合(900ml)換算すると、10,500円です。ただ、ブランド力が強いので、高くは感じさせないと思います。値付けについてはいかがですか。
コーラ小林さん:それはむしろ、私が素人だったので、というのもあるかなと思っていて。
大山甚七商店 専務取締役・大山陽平さん(以下、大山さん):正直にいうと、値付けの時には、「高くないですか?」というのが最初の印象でした。
編集部:どちらが最初に値付けの提案をしたのですか?
コーラ小林さん:私が「これくらいじゃないですか?」と言って。
大山さん:最初、もうちょっと高かったんです。たしか、5000円くらいじゃなかったかな。300mlで5000円は個人的には・・3500円でも高いんではないかと・・・
でも、発売した今、個人的には適正だと。我々もしっかり適正な利益もお互いにいただけて。お客様も喜んで買っていただける、良い値付けにはなったのかなと。
コーラ小林さん:個人的にはちょっと安いかな?と思っていて。知識がないので。自分がお客さんだと思って考えたりする時に、この金額だと全然いいなと思いました。人にプレゼントしたりしたとか、自分に買ったりとかにいいなと。それで、これくらいでいいんじゃないかなって思ったら、大山さんから、これは高すぎますよって。私は、ちょっと安いくらいだと思いますよって(笑)
編集部:薩摩の誉(※)は1,040円(900ml/税別)ですからね。
※【薩摩の誉(さつまのほまれ)】大山甚七商店の代表銘柄
コーラ小林さん:それはびっくりしましたね。鹿児島県指宿に行った時に、こんな大きい焼酎が1100円とかで売られていて。えっ、こんなに安いんですか?みたいな。
伊良コーラ代表・コーラ小林さん(左)と大山甚七商店 専務取締役・大山陽平さん(右)
日本のモノ作りの素晴らしさ
コーラ小林さん:日本の産業は無くなってしまうような業種が出てくる気がします。反面、インバウンドとモノ作りは残ると思っています。日本のモノ作りの素晴らしさは、世界に誇るべきものだと思っています。大山さんの焼酎とか伊良コーラを世界に出して、世界の人を呼んでこれるものになっていけるものになっていけばいいと思っていて。頑張っていきたいなという気持ちはあります。
外国人の日本を見る目が変わっている気がしています。海外に行っても外国人が日本に対するイメージが変わっていると思うし、日本に来る外国人の方の目も安い国、みたいな。安いから日本に来ている、って感じているんです。どんどんこれは加速していくと思います。
そんな中、日本のモノ作りを知ってもらい、その矜持というものを世界に知らしめたいみたいな気持ちはありますね。
大山さん:発酵とまたその蒸留の長年培って来たいろんなノウハウもありますし、文化もあるので、これを日本に止めるだけでなく、世界に発信していきたいですね。
伊良コーラ代表・コーラ小林さん
コーラ小林さんから焼酎への提言
コーラ小林さん:一方で、世界的にタバコの喫煙者が減少しているように健康志向が浸透してきているので、アルコールも考え方、付き合い方が変わっていくと思うんですよ。ワインなどお酒には文化的な文脈があるので、消えることはないと思いますが、今後はアルコールの消費量は減っていくと思っています。そういった時に、焼酎も新しいトランスフォームする必要があると思います。
ただ、一方で、焼酎は可能性があるんじゃないかと。というのは、日本酒とかワインは文脈がもうあるじゃないですか。で、リープフロッグ現象というものがあるんですけど、中国って現金文化がなかったので逆に、QRコード決済が流行った。日本は、逆に現金の基盤がしっかりしていたので、QRコード決済や電子マネーが流行らなかった。つまりそれは、古いものの基盤がないからそれを飛び越えるっていうのがリープフロッグ現象なんですけど、それがアルコール業界にもあるんじゃないかと思ってます。
今の現代社会では、ワインや日本酒の文脈が語られることが多いと思うんですよね。焼酎もいろんな歴史とか文化がありますが、醸造酒と比べるとそのような文脈が語られることが少ないと感じます。そんな中で、アルコール界の中でリープフロッグ現象が起きる。焼酎が新しい形で進化する可能性が大いにあるんじゃないかと。アメリカで発泡の低アルコールのハードセルツァー(※)が流行っていますが、そういった感じで焼酎もどんどん進化できるのではないかなと思っています。
※【ハードセルツァー】直訳すると「アルコール入り炭酸水」の意味。果実などのフレーバーや低アルコール、低糖、低カロリーが特徴
ハードコーラを作りたいんで、大山さんにカンニングマシンを導入してもらおうと思ってお願いしているんですけど(笑)なかなかそこはちょっと。
大山さん:やりたいですね。
IYOSHI CRAFT COLA
コーラ小林さん:これからは絶対、缶がきます。クラフトビールも瓶から完全に缶にシフトしていて。アメリカのマイクロカンニングというシステムが流行っていて、安くて手軽でコンパクトで簡単なカンニングマシンが流行っている。
その結果、どんどんアメリカでは広まったっていう経緯があるんですけど。その流れがアルコール業界全体に広がると思います。
焼酎を缶で、ハードセルツァー型でどんどん売り込むっていうのは、完全にリープフロッグ現象になると思っています。
ワインも缶になっていて。ヨーロッパのワインメーカーが、おしゃれなデザインで缶を発売して、かなり売れているみたいです。飲み切りサイズっていうのと、デザイン性、あと缶なので味が劣化しないとか、いろんなメリットがある。缶が安いっていうのは過去のイメージでしかないんです。
取材を終えて
「伊良コーラ」の強力なブランド力は価格決定力を持ち、日本経済を牽引するような存在でさえあります。
「日本の産業で残っていくのは、インバウンドと食に関わる輸出可能なモノ作り」と、コーラ小林さんは指摘します。そして、焼酎の新しい形として、「缶を容器にしたハードセルツァー(低アルコール商品)」と続けます。
また、ひとつの価値観を追いがちな業界の視点から、一息つくことで新しい価値を見出し、焼酎酒蔵の多様化のきっかけをつくった大山甚七商店。同社は、多様な蒸留酒を開発して、焼酎酒蔵の可能性を広げています。
大山甚七商店との出会いで誕生した「コーラ酎」。
焼酎酒蔵の商品の多様化の嚆矢となり、多くの造り手に刺激を与え続けていくことでしょう。
<伊良コーラ>
HP : https://iyoshicola.com
店舗情報
▶︎伊良コーラ総本店下落合 東京都新宿区高田馬場3-44-2
OPEN 11:00~17:00(営業日:土日祝のみ)
▶︎伊良コーラ渋谷店 東京都渋谷区神宮前5-29-12
OPEN 11:00~19:00(営業日:年中無休 ※年末年始を除く)
<大山甚七商店>
鹿児島県指宿市西方4657
HP : http://www.jin7.co.jp
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SHOCHU PRESS編集部
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