水は焼酎の大切な原料! | 「仕込み水」から「割り水」までを解説します
焼酎に限らず日本のお酒造りでは、水は大切な原料のひとつ。日本酒では「灘の宮水」が広く知られており、焼酎造りが盛んな南九州では、火山の噴出物で覆われたシラス台地が良質で豊富な水を生み出しています。
お酒造りと清冽な水資源は切っても切り離せない関係なのです。今回は、焼酎づくりに欠かせない水についてご紹介します。
目次
水は大切な焼酎の原料のひとつ
焼酎の仕込みになくてはならないのが水です。使われる水は予想以上に大量。水は焼酎の味わいを決める重要な素材のひとつなのです。
水質を生かして個性を追求する
焼酎の味わいを決めるのは、芋や米、麦といった主原料だけではありません。焼酎の成分の約7~8割は水。製造工程で使われる水は主要な原料のひとつといっていいでしょう。
球磨焼酎で有名な熊本県球磨地方には、清流で知られる球磨水系が存在するように、焼酎造りを行う蔵のある地域には必ずといっていいほど、水質の優れた河川、地下水系が存在しています。
厚生労働省が定める食品衛生法の基準をクリア
蔵で使用される水は、厚生労働省が定める食品衛生法の基準をクリアする必要があります。蔵は常に、徹底した水質管理を行わなくてはなりません。酒造りにおいて欠かすことのできないのは、良質で豊富な水資源。銘水の地には、酒造蔵が数多く存在しているのです。
焼酎の製造工程で使われる主な水
焼酎の製造工程において、様々に水は使用されます。ここでは、製造工程ごとに使用される水の用途をご紹介します。
●洗芋/洗米/洗麦
麹作りに使用する芋・米・麦などの原料を洗浄するために水を使います。さらに、米・麦は蒸しに入る前段階で原料に、水を吸わせるために浸漬を行う
●一次仕込み用
一次仕込みとして、タンクや甕といった容器入れた麹と酵母に、水を加えます。
●二次仕込み用水
一次仕込みで作った醪(もろみ)に、芋や麦、米などの主原料の中に、水を加えて、アルコール発酵させます
●割り水
蒸留して出来上がった原酒にアルコールの度数を調整するために水を加えます。
●洗瓶用水
容器などを洗浄するための水
焼酎の仕込みには軟水が一般的
水は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が多く含まれている硬水と少ない軟水に大別されます。
軟水は馴染みのある水
日本の天然水はほとんどが軟水。環境省による「名水百選の水」も、9割近くにおいて軟水が選ばれています。私たち日本人にとって、軟水は馴染みのある水なのです。必然的に、焼酎造りに使われている水も、ほとんどが軟水となっています。
ミネラル成分には鉄分やマンガン、カルシウムがあり、その中でも鉄分やマンガンは焼酎の風味を損なうといわれています。一方、麹や酵母の育成には、リン酸やカリウムなどのミネラル成分が必要になることかがあります。
焼酎に向いているのは一般的に軟水といわれますが、仕込み水には硬水、仕込み水は軟水など、臨機応変に使われている場合もあるようです。
軟水・硬水それぞれの特徴
【軟水】
軟水はミネラル分が少なく、クセがないため、コーヒー、お茶など、香りを楽しむ飲料に最適といわれます。ちなみに、日本の水道水は、硬度80前後の軟水。軟水で仕込んだ焼酎は、まろやかで口当たりソフトなものになる傾向に。
【硬水】
ヨーロッパや欧米の水のほとんどが硬水。ミネラル分が多く、クセが強いため、肉や魚など、素材の臭みを除去する効果があるといわれています。硬水を使って仕込んだ焼酎はキレが良く、淡麗な味わいになる傾向に。
焼酎の酒質に影響をあたえる「仕込み水」と「割り水」
焼酎は蒸溜させてしまうので、肝心の酒質に影響することはないと思われがちです。ところが、水の品質は大変重要なのです。
焼酎の場合、仕込みのときに加えられる「仕込み水」と、原酒のアルコール度数を調整するために加えられる「割り水」が焼酎の酒質に大きな影響を与えます。
焼酎造りの工程では、醪をつくる際の「仕込み水」、できあがった原酒のアルコール度数を調整する「割り水(わりみず)」が使われます。酒質に大きく影響しますから、蔵元選りすぐりの水が使われるのは言うまでもありません。特に瓶詰めの直前に加える割り水は焼酎の風味を左右するので、どの蔵元もこだわりをもっています。
仕込み水
お酒の世界で水がどれだけ大事かということは、酒のラベルに書いてあるアルコール度を差し引いた残りが水であることからも容易にわかります。
焼酎の製造工程において醪を作る際に使用される仕込み水は、蒸留によって蒸留水になります。仕込み水に含まれるカルシウム、カリウムといったミネラル成分が、蒸留された最初のお酒である原酒の中に移行することはありません。
これに対し、日本酒のような醸造酒では、仕込みに使われた水の成分は、そのままお酒に移行します。
割り水
割り水とは、蒸留直後にできあがったお酒である原酒に加えられる水のことを言います。単式蒸留で蒸留された原酒は、40度前後のため一般的なアルコール度数の25度に調整するためです。
40度の原酒を25度に調整する場合、アルコール分は25%で、原酒に含まれる蒸留水が37.5%、割り水は37.5%と加えられることになります。割合的には焼酎の4割近くを占めているのです。水の味わいがダイレクトに焼酎の酒質の一部を構成するので、蔵元はその水質にこだわっているのです。
水進水の水質基準よりも巌しい基準を参考
水質は酒質を決める上でとても大切なものです。焼酎造りが盛んな九州では良質で水資源が豊富。ただ、日本醸造協会によって、醸造用水の水質基準が公表されています。この基準は、水進水の水質基準よりも巌しいもの。各蔵元では、この基準を参考にして、水資源を使用しています。
◾️醸造用水の水質基準
出典:日本醸造協会
まとめ
いかがでしたか。焼酎にとって水は大切な原料の一つだったのでした。特に仕込み水と割り水は、焼酎の酒質に影響をあたえるほど。また、九州で焼酎づくりが盛んなのは、良質で豊富な水資源があるから。
焼酎を口に含む時、ぼってりと頬が膨らむのは水の働き。
今度、ゆっくりと楽しんでみてください。
どこの蔵元も、高品質で豊富な水資源がある
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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