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【イベントレポート】「第1回酒屋が選ぶ焼酎大賞発表および授賞式」に伺いました!

「酒屋が選ぶ焼酎大賞」は、酒販店の皆様が、その年に最も飲んでほしい本格焼酎を決めるイベントです。
全国の139店の酒販店の皆様が一堂に会し、芋、麦、米、黒糖、泡盛の5部門から273銘柄をブラインド・テイスティング。

前回は、テイスティング会場に伺い、リポートをさせていただきました。
参加した酒販店の皆様が、それぞれのお酒の評価をマークシートに熱心に記入していたのが印象的でしたよね。

その後、大量のマークシートは実行委員の方々によって集計され、各部門の大賞1銘柄と優秀賞2銘柄が選出。
発表される運びとなりました。
今回は、その「第1回酒屋が選ぶ焼酎大賞発表および授賞式」の表彰会場のリポートをお届けします。

各部門の受賞銘柄をご紹介

早速ですが、2022年7月に酒販店の皆様によって選出された、各5部門の大賞・1銘柄、優秀賞・2銘柄をご紹介します。

【芋焼酎部門】
■大賞
GLOW EP05(若潮酒造/鹿児島県志布志市志布志町安楽215番地)

■優秀賞
もぐら群青(さつま無双/鹿児島県鹿児島市七ツ島1丁目1番17)
KAGOSHIMA 20(鹿児島酒造/鹿児島市名山町11-25)

【麦焼酎部門】
■大賞
麦汁(豊永酒造/熊本県球磨郡湯前町1873)
■優秀賞
無一物 五年熟成(壱岐の蔵酒造/長崎県壱岐市芦辺町湯岳本村触520)
屋久島大自然林 麦(本坊酒造 屋久島伝承蔵/鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2384)

【米焼酎部門】
■大賞
常圧豊永蔵(豊永酒造/熊本県球磨郡湯前町1873)
■優秀賞
豊永蔵 無濾過 自我田/熊本県球磨郡湯前町1873)
武の井 樫樽熟成(武の井酒造/山梨)

【黒糖焼酎部門】
■大賞
紅さんご(奄美大島開運酒造/鹿児島県大島郡宇検村湯湾2924-2)

■優秀賞
あまみ長雲 40度(山田酒造/鹿児島県大島郡龍郷町大勝1373-ハ)
壱乃醸朝日(朝日酒造/鹿児島県大島郡喜界町湾41-1)

【泡盛部門】
■大賞
星の灯(米島酒造/沖縄県島尻郡久米島町字大田499)

■優秀賞
直火請福(請福酒造/沖縄県石垣市字宮良959番地)
春雨マイルド(宮里酒造所/沖縄県那覇市字小禄645)

大賞受賞者のスピーチご紹介

それでは、大賞を受賞された蔵元の方々のスピーチをご紹介します。

芋焼酎部門大賞 若潮酒造株式会社 上村 曜介 経営戦略室室長の画像

上村室長

芋焼酎部門大賞 若潮酒造株式会社 上村 曜介 経営戦略室室長
「今回大賞をいただいた、”EP05(エピソード5)”というものは今年作られた焼酎です。実は、サツマイモの基腐(もとぐされ)病という病気が流行ってために、当初予定していたサツマイモの入荷できなくなりました。急遽、違う種類のサツマイモで仕込んだ焼酎なのです。そのせいなのか、仕込みの段階から、今まで嗅いだことのないブドウの香りがしたんですけど、すごい香りがして。焼酎の可能性というものを改めて自分たちも、感じさせられました。これからも、皆さんにワクワクを届けられるような、お酒を作っていきたいと思います。」

麦焼酎部門大賞 合名会社豊永酒造 豊永 遥常務の画像
豊永常務

麦焼酎部門大賞 合名会社豊永酒造 豊永 遥常務
「麦汁は、もともと我々の契約米農家から、「裏作で余っていた麦を使用して、焼酎を作ってくれないか」という依頼から始まった麦焼酎です。後発だったので、味について社内でディスカッションを重ね、米焼酎の作りの経験を活かして、インパクトがある焼酎にしようということになりました。最初は、酒販店から賛否両論の評価がありました。ただ、その中でも、もっと濃く、個性のあるものにしてほしいという声をいただきました。今後は、個性をさらに強くする、味わいをさらに強くするという方向でバージョンアップしています。米焼酎とならぶ柱として皆様に愛していただけたらと思っています」

麦焼酎部門大賞 合名会社豊永酒造 豊永 遥常務の画像
豊永常務

米焼酎部門大賞 合名会社豊永酒造 豊永遥常務
「今回大賞に選ばれた常圧豊永蔵というのは、我々のテーマの一つである球磨の風土、テロワールを焼酎として表現するということを目標に作った米焼酎です。お米は全て契約農家の有機のお米を100%作っております。この米の魅力を皆様に伝えるために、香りも味わいも昔ながらの作りを実践しております。香ばしさと米の甘みのある味わいを表現しております。本当に素晴らしい土地を、米焼酎として表現することで、球磨の魅力を皆様に知っていただけるように努めていきたいと思っています」

黒糖焼酎部門大賞 株式会社奄美大島開運酒造 高妻 淑三部長の画像
真ん中が高妻部長

黒糖焼酎部門大賞 株式会社奄美大島開運酒造 高妻 淑三部長
「蔵人達が一丸となって品質を磨き上げ、お客様の手に届きますように今後もお酒造りに精進してきたいと思います」

泡盛部門大賞 米島酒造の田場俊之代表の画像
田場代表

泡盛部門大賞 米島酒造の田場俊之代表
「蔵のある久米島は、星空が綺麗です。星を見て元気になる、そして人の幸せ増やしていけるような泡盛を作っていきたいなと精進してまいります」

まとめ
芋焼酎部門大賞のGLOW EP05は、代替用のサツマイモを使用して作られたとは驚きです。上村氏のスピーチの通り、芋焼酎には秘めたる可能性がまだまだ
あるのです。
豊永酒造の麦・米焼酎の2部門の受賞は快挙ですよね。
球磨の土地を米焼酎で表現するとのお考えが、とても印象的。
美大島開運酒造 高妻氏、米島酒造の田場氏のお二方ともお人柄が溢れた受賞スピーチも素敵でした。

評価コメントをご紹介

銘柄を評価するためのマークシートには、コメント欄がありました。日頃から焼酎と向き合っている酒販店の皆様ならではの、コメントばかり。まとめてご紹介します。

【芋焼酎部門】
■大賞 GLOW EP05/若潮酒造
「透明感のあるキリッとした食中酒として最適である」
「派手すぎず、ナイスなバランスだった」
「華やかで、フルーティーな香り系焼酎にありがちな香りだけではない。十分に芋のうまみも表現できており、非常に美味しかった。アンチ香り系として悔しいほどの出来栄えを感じた」

■優秀賞 もぐら群青/さつま無双
「余韻に色気を感じた。飲み口が爽やかで非常に綺麗な焼酎だった」
「熟成芋由来の香りがした。フローラル香が素晴らしい」

■優秀賞 KAGOSHIMA 20/鹿児島酒造
「余韻が非常に長く楽しめた。甘い香ばしさがあり、麦にも近いような穀物感を感じた」
「口当たりが柔らかく、ストレートでも美味しいだろうと感じた」
「透明な酒質、優しい口当たりが好感度だった」

【麦焼酎部門】
■大賞 麦汁/豊永酒造
「芳醇でしっかりしたうまみがあった」
「米のポン菓子のような甘みの後に、麦の味わいがふわりと香った」
「香り、味わいとともにローストした麦の感じがずっと余韻として残った。またダイナミックな味わい」

■優秀賞 無一物 五年熟成/壱岐の蔵酒造
「甘みとコクのバランスが良かった」
「樽香があるも、軽快に楽しめた」
「柔らかく、嫌味のない樽の風味で綺麗な味わいだった」

■優秀賞 屋久島大自然林 麦/本坊酒造 屋久島伝承蔵
「麦の香りが強く腰回りの強さが印象的であった」
「透明感があり、鼻に抜ける香ばしさもあった」
「苦みが心地よかった」

【米焼酎部門】
■大賞 常圧豊永蔵/豊永酒造
「燻した麦のような香り、そしてお米のコクがあり、キレも良かった」
「しっかりとした重心が感じられた」
「複雑で面白い味わいだった」

■優秀賞 豊永蔵 無濾過 自我田/豊永酒造
「無濾過のパンチ力があった」
「泡盛かのように感じられるくらいたっぷりとした麹感があった」
「余韻も非常に上品だった。また、香ばしくてオイリーでスパイシーさも感じた」

■優秀賞 武の井 樫樽熟成/武の井酒造
「骨格とともに重心も構えており、ほどよい酸味も心地よい」
「樽香に負けない、しっかりとしたうまみを感じた」
「独特なのに、万人受けしそうな非常に独特な旨味を感じた」

【黒糖焼酎部門】
■大賞 紅さんご/奄美大島開運酒造
「天然のシロップのような香り、そしてハーブ香と甘みと切れ味があった」
「旨味が凝縮してラムレーズンのような甘さが、滑らかに口の中で滞留した」
「ラム感が強く、面白い焼酎だった」

■優秀賞 あまみ長雲 40度/山田酒造
「綺麗な甘みだった。力強い甘みだった。香り高い甘みだった」
「味わいが甘酸っぱくて、キレが良かった」
「液体としてのバランスが非常に良かった」

■優秀賞 壱乃醸朝日/朝日酒造
「米麹感の強い、すっきりとした黒糖感が楽しめた」
「ふくよかな香り、でも飲み口は意外に軽めだった」
「はちみつのニュアンスのある甘い香りと、クリーミーな感じが初めてのものだった」

【泡盛部門】
■大賞 星の灯/米島酒造
「米の旨味がしっかりしていた」
「深く滑らかでしっかりとした優しい口当たりだった」
「メロンのようなフルーティさがあった」

■優秀賞 直火請福/請福酒造
「超オイリーだったが、飲むと優しさを感じる一本だった」
「爽快な奥に香ばしさと、甘い香りを感じた」
「まるで出汁のような重厚な香りだった」

■優秀賞 春雨マイルド/宮里酒造所
「心地よい余韻が楽しめた」
「米の旨味に加え、甘みもあった」
「麹由来のスパイシーさを楽しめ軽い香ばしい味わいがあった」

まとめ
前回のレポートの中で、実行委員長の園部代表から「ただ、「美味しいな」、「不味いな」といった基準で飲むのではなく、「どういう香りがあるのか」、「どういう味わいがあるのか」、という評価が必要」というご意見がありました。
その通りに、コメントには銘柄を豊かに表現する言葉が多く、これから焼酎や泡盛を勉強するような業界関係者への最適な教材ではないでしょうか。
また、蔵元、消費者にとっても、酒販店の皆様の見識に裏付けられた確かなコメントは、大切にしたい生の情報といえます。

ふりかえって

今回の「第1回酒屋が選ぶ焼酎大賞発表および授賞式」は、受賞蔵元の方々をメインにしたイベントでした。

「酒屋が選ぶ焼酎大賞」の評価は、インターネットや書籍、テレビなどのメディアで取り上げられるものとは異質なもの。正真正銘の忖度なしのリアルな”ランキング”といっていいでしょう。

このコロナ禍で参加された酒販店の皆さん、実行委員会の皆さん本当にお疲れ様でした!

今回が第1回目の開催ですが、これからの発展に期待が膨らみます。
第2回も計画中とのこと。
今から待ち遠しいですね。

この記事を書いた人

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