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焼酎に使用する種麹とは

焼酎に使用する種麹とは

2022-12-25

焼酎には、黒麹・白麹・黄麹といった種麹や蒸留法、製法による違いがあります。
それぞれの違いは、焼酎の個性を形作る上で、とても大切なもの。
今回は、その中でも使用する種麹の違いに注目して焼酎をご紹介したいと思います。

焼酎に使用する種麹の違いとは

焼酎の一次仕込みで使用する種麹には、黒麹・白麹・黄麹の3種類があります。
黒麹はクエン酸を生成するために、温暖な九州で焼酎造りをするのに欠かせない麹でした。しかし、白麹が発見されると、主流ではなくなります。それまでは、臭いと表現された焼酎のコクが薄められて、白麹特有のスッキリした味わいと香りが受け入れられたのでした。

一方、焼酎の普及が全国的に広がるにつれ、伝統的なコクのある焼酎が注目されるようになります。白麹のようなスッキリした飲みやすい焼酎ではなく、焼酎本来のコクのある味わいや香りが求められたのです。
そこで注目されたのが黒麹だったわけです。
黒麹を復活させた事で、愛好家を唸らせる銘柄が誕生。本格焼酎ブームの牽引役を果たしたといわれています。

黒麹のおすすめの焼酎

黒麹の銘柄といえば、「佐藤 黒」(佐藤酒造)や「村尾」(村尾酒造)などが有名です。
中でも「佐藤 黒」は、黒麹らしい味わいが魅力。サツマイモ独特の甘みがあり、しっかりした酒質が評価を得ています。非常に洗練されているので、地元の鹿児島はもちろんのこと、全国的な人気があります。黒麹の入門酒としてお勧めの銘柄。
この「佐藤 黒」には、白麹を使用した「佐藤 白」という銘柄があるので、黒麹と白麹の違いを飲み比べてみるのも良いと思います。

村尾酒造は一次も二次も甕で仕込むという昔ながらの製法にこだわり年に500石程度(一升瓶で約5万本)しか造れません。需要に供給が追いつかないため品薄の状態が続き、プレミアム化します。プレミアム焼酎として、定価とは10倍ほどの価格で出回っています。

また、村尾酒造には「薩摩茶屋」という銘柄も製造しています。麹にタイ米を使うという昔ながらの製法で、味わいお香りもとても個性的。村尾より価格は手頃かつ、流通も安定しているので、酒屋で見かけたら是非購入してみてください。いろいろな蔵元の銘柄を選んで飲むのも楽しいですが、同じ蔵元のお酒を飲み比べてみるのもおすすめです。「村尾」は特別な日のお酒として、「薩摩茶屋」は日常酒としてみてはいかがでしょうか。

白麹のおすすめの焼酎

しっかりとした味わいやお香りがあり、スッキリした酒質が白麹で造られた焼酎の特徴です。個性が強すぎないので、料理との相性も良く飽きずに飲めます。白麹は今でも芋焼酎の主流といわれ、一番銘柄が多い人気のタイプといっていいでしょう。

白麹といえば、プレミアム焼酎として名高い「森伊蔵」(森伊蔵酒造)が人気です。蔵元である森伊蔵酒造は、この銘柄一本で勝負しているだけあって、きめ細かに、ていねいに造り上げられています。やわらかい口あたりと奥ゆきの深さが人気の秘訣。
小泉元首相がフランスを訪れたとき、シラク大統領が夕食の席に出したのが「森伊蔵」だったというエピソードもあり、話題にはこと欠きません。
なかなか入手できないので、どこかで見かけた時には、ぜひ味わってみたい一本です。

「川越」(川越酒造場)も手造りに徹したこだわりを感じさせる本格派の焼酎です。家族でまかなう小さな蔵元で、機械もほとんど使用せず、朝ドレのサツマイモをその日に仕込むという製法を守っています。代表銘柄は「日向 金の露」ですが、「川越」は都会で飲まれることを意識して造られたといいます。米焼酎を少しブレンドすることで、本格派でありながら、すっきりした飲み口に仕上げています。平成10年に発売されるとすぐに人気銘柄の仲間入りに。供給量が少ないので、こちらも見かけたら是非購入してみてください。

「佐藤 白」(佐藤酒造)は、「佐藤 黒」同様に、どっしりとした中に繊細さがある人気の高い銘柄です。黒麹より白麹のほうが香りも味も淡麗で軽快さが特徴。それでいて本格的な芋焼酎らしさがあるので、芋焼酎の初級者にもおすすめの焼酎です。

「月の中」(岩倉酒造場)は、常圧蒸溜で焼酎本来の味わいを残しながら、飲みやすさをも追求した人気の酒。口当たりのよさから女性ファンも多く、芋焼酎を敬遠している向きにはぜひ試してほしい焼酎です。飲みやすいだけではなく、芋焼酎らしいしっかりとした甘みがあり、愛好家からも評価の高い焼酎です。人気がある上に、少人数で切り盛りしている蔵元なので、品不足状態が続いています。

「八幡」(高良酒造)は、飲み口はさっぱりとおとなしいのに、ボディがしっかりしていて、豊かかな旨みと飲みごたえがあります。焼酎造りに良水は欠かせないですが、高良酒造は名水の里といわれる鹿児島・川辺にあります。原料や水のよさ、伝統的な甕壺仕込みへのこだわりが味に反映されています。

地元・鹿児島で[ダレヤメ]の定番ともいわれているのが、白麹仕込みの「伊佐錦」(大口酒)です。『西郷隆盛』や「天と地と」などで名高い直木賞作家、観音寺潮五郎は鹿児島県大口の出身で、「伊佐錦」をこよなく愛していたといいます。「薩摩の焼酎は、日本一…いな世界一である…。その薩摩焼酎の中で伊佐郡の焼酎を最上とするは、鹿児島県内の定評である…。僕のふるさとの焼酎なのである」という賛辞を送っていて、ラベルにある「伊佐錦」の文字も海音寺潮五郎によるもの。その「伊佐錦」を黒麹で仕込んだ「黒伊佐錦」(同)は華やかでコクがあり、全国的な人気酒となっています。

黄麹のおすすめの焼酎

黄麹は一般的に日本酒造りで使用される麹です。かつては焼酎造りにも使用されていましたが、温暖な南九州では腐敗することが多い種麹でした。明治に入って沖縄から黒麹が伝来すると、黄麹の使用は下火になります。

近年になり、機械化された蔵の温度管理が安定すると、黄麹を使用した焼酎造りも復活。本格焼酎の定着によって黄麹を使用した焼酎も人気を集めるようになります。

黄麹仕込みの銘柄として定評があるのが「富乃宝山」(西酒造)です。
黄麹を最初に復活させたのが西酒造といわれ、その画期的な味わいと香りはて一夜にして評判になったといいます。それまでの焼酎にはなかった、フルーティでさわやかな酒質が最大の魅力。今までの芋焼酎にはないまるみや柔らかさがあり、ロックで味わい、繊細さと華やかさを堪能することをおすすめします。

「山小舎の蔵 萬膳庵」(万膳酒造)も、黄麹を代表する銘柄です。万膳酒造にはプレミアム焼酎として有名な「山小舎の蔵 萬膳」がありますが、こちらは黒麹を使用。水桶蒸溜をしているので、ほのかな木の香があり、やわらかでさわやかな味わいが特徴です。ロックか、燗で味わうのがオススメです。

すっきりとしたクセのない味わいなのが「海」(大海酒造)です。芋焼酎では珍しい減圧蒸溜法で造られていて、仕込み水には垂水温泉水の「寿鶴」を使用。女性にも抵抗なく飲んでもらえるよう意識して造ったといいます。ボトルもブルーでとても印象的です。

まとめ

いかがでしたか。
焼酎の種麹は、銘柄の個性を形作る上で大切なもの。
時代のトレンドによって、使用する種麹の移り変わりがあったのです。
種麹の歴史は、焼酎の歴史そのものといってもいいでしょう。

これからは種麹に注目して焼酎を選んでみてくださいね。

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