そば焼酎とは? そば焼酎の特徴から、おすすめ銘柄をご紹介
目次
そば焼酎とは
そば(蕎麦)焼酎は、日本から古くから知られる食物である「そば」を原材料にした焼酎です。
魅力は、そば特有の香りやさわやかな味わい。
そば焼酎は、今では麦焼酎、芋焼酎、米焼酎に次いで4番目の生産量を誇っており、全国のコンビニやスーパーで購入が可能です。
そば焼酎は、クリアでさわやかな香りを楽しむのがポイント。
ロックはもちろん、お湯割りやそば湯割りなど、バリエーション豊富な飲み方が楽しめます。
”変わり種焼酎”から今では定番焼酎へ
そば焼酎は、ご当地”変わり種焼酎”からスタートして、今では芋や麦、米といった定番焼酎の仲間入りを果たしたといっていいでしょう。
焼酎の原材料は、芋や麦、米、黒糖などが一般的に知られていますが、 それ以外にも49品目の食物が原材料として認められています。
49品目の中には胡麻や栗、トウモロコシから、ワカメや牛乳いったお酒の原材料としては馴染みのない食物も含まれています。
そのため、49品目に含まれる食物が特産品の自治体は、それらを原材料にしたご当地”変わり種焼酎”として開発・販売するように。
そば焼酎も当初は、各地で産声を上げた「わかめ焼酎」や「牛乳焼酎」といった”変わり種焼酎”の一種でしたが、そばの持つまろやかな飲み口と馴染みのある風味は全国的に知られるようになり、定番焼酎として広まっていったのです。
そば焼酎の歴史
そば焼酎の誕生は1973年。
芋焼酎や米焼酎は古くは江戸時代から飲まれていたのに対して、意外なほど歴史の浅い焼酎なのです。
そばは米や麦といった穀物と同じように、日本に古くある食物ですが、焼酎の原材料として使われることはありませんでした。
その理由は、お酒を生成するための発酵力が弱いためといわれています。
宮崎県高千穂地方に創業した「雲海酒造」(本社・宮崎市)が、日本で初めてそばを焼酎の原材料として使ったのが、そば焼酎の始まりです。
宮崎県五ヶ瀬(ごかせ)地方山間部の特産品であるそばを原料に、五ヶ瀬の蔵において「そば焼酎雲海」が誕生。
「そば焼酎雲海」の販売をきっかけに、そばを特産品とする宮崎県や長野県の蔵元が追随して、そば焼酎が定番焼酎としてのステータスを確立したのでした。
そば焼酎の特徴
そば焼酎の特徴はなんといっても、そば特有の香りやさわやかな味わい。
濃厚な味わいの焼酎が苦手な初心者の方にも、おすすめの焼酎です。
一方、焼酎の愛飲者にとっても芋や麦、米にはない、そば特有のコクに新鮮さを感じるはずです。
そばは、日本固有の食物と思われがちですが、古くから世界各国で食されています。
世界で一番の生産、消費国は、ロシア。
また、美食の国のフランスでもガレットの原材料としても知られています。
しかし、そばを原材料としたお酒は世界広しといえど、そば焼酎だけなのです。
そば焼酎の効能
そば焼酎には、健康酒としての効能が期待される焼酎です。
原材料である蕎麦の中には「ルチン」というポリフェノールが豊富に含まれています。
ルチンには血管を活性化する作用があるといわれているので、高血圧の人や動脈硬化を心配する人にとっては、効能が期待されています。
ただし飲み過ぎにはくれぐれもご注意を。
蕎麦焼酎の選び方
焼酎には蒸留方法や麹の種類、貯蔵法など、様々な分類がるので、ご紹介します。
産地
そば焼酎のメジャーな生産地は、宮崎県と長野県です。
生産地ごとに特徴があるので、選ぶときの参考にしてみてください
◆宮崎県
宮崎県はそば焼酎の元祖「雲海」が生まれた土地です。
元来は、芋や麦焼酎の生産が盛んでしたが、「雲海」の誕生とともに各蔵元が競って、そば焼酎の開発を始めます。
風味が豊かでコクのある味わいが特徴です。
◆長野県
長野県は、佐久市を中心にそば焼酎に力を入れています。
佐久はもともと、浅間山系の伏流水にめぐまれた酒造りで有名なエリア。
そのため、長野のそば焼酎の多くは、日本酒の蔵元が造っています。
日本酒造りの確かな技術を活かした、きめ細やかなシャープな味わいのそば焼酎を生み出しています。
蒸留方法
焼酎には常圧蒸留と減圧蒸留の2種類の蒸留方法があります。
常圧蒸留とは、昔ながらの方法で、通常の気圧のもとで蒸留します。
原料である醪(もろみ)が、90~100℃で加熱しするため、原材料の持つ風味や香りが濃厚に抽出される蒸留法といわれています。
減圧蒸留は、蒸留器の中の気圧を10分の1ぐらいまで下げて、40~50℃といった低温で蒸留します。
気圧が低くいと沸点が低くなるため、雑味成分が抽出されないうちに蒸留が終わります。
そのため、マイルドでクリアな仕上がりになるといわれています。
麹
飲みやすさを重視するなら、米麹や麦麹を使ったそば焼酎がおすすめです。
昔ながらの焼酎に使用される米麹は、やわらかな甘みとやさしい口あたりが特徴。
麦麹は、近年になって開発された麹で、一般的には麦焼酎に使用されます。
香ばしさの残る麦麹を掛け合わることによって、そば焼酎の味わいのバリエーションが楽しめます。
また、麹菌の種類によってもそば焼酎の個性が違ってきます。
クセの少ないクリアな味わいなら「白麹」、豊かなコクを楽しむなら「黒麹」、華やかな香りを感じるなら「黄麹」で仕込んだものがおすすめです。
一般的な麹菌は「白麹」が使用されますが、「黒麹」や「黄麹」仕込みの焼酎は、銘柄名の中に記載があるので、ぜひ注目してみてください。
貯蔵法
そば焼酎は、貯蔵による違いがあります。
製造過程において蒸留した後、お酒を落ち着かせるため3ヶ月〜6ヶ月の間、貯蔵されます。
貯蔵は、ステンレスタンクや甕などでされるため、焼酎は無色に仕上がります。
ほとんどのそば焼酎は、この短期貯蔵の後に瓶詰し出荷されます。
一方、短期貯蔵の後、さらに木樽で寝かせて長期熟成される焼酎があります。
それらの焼酎は、長期熟成焼酎と呼ばれ、木樽で寝かせるために木の成分が溶出して焼酎の色がウイスキーのような琥珀色に仕上がります。
長期貯蔵されたそば焼酎は、そばの豊かな味わいに加えてバニラやナッツのような芳醇な香りが特徴です。
蕎麦焼酎のおすすめの飲み方
一般的なそば焼酎のアルコール度数は25度で、ほのかなそばの香りとすっきりとした味わいが特徴。
ロック、お湯割りから蕎麦湯割りまで、どんな飲み方でもおいしくたのしめるうえ、食中酒としても魅力を発揮します。
ロック
そば焼酎のクリアな酒質は、ロックとの相性が抜群。
そばのコクのある香りが、よりシャープに感じる飲み方です。
ロックの氷が溶けはじめると、時間の経過とともに味わいが変化。
溶け出した氷が、そば焼酎の風味を一層引き立てます。
ロック専用の氷を用意して楽しみたいです。
お湯割り
そば焼酎の香ばしい味わいが、お湯によって一層引き立ちます。
味も丸くなりアルコール度数も下がって、グッと飲みやすくなるのが特徴。
お湯割りの割り方は焼酎6に対してお湯4が最適といわれています。
アルコール度数が25度のそば焼酎は、6:4で割ると15度になり、日本酒やワインと同程度になるため、飲みやすくなるからです。
そば湯割り
そば湯割りは、そば焼酎だからこその飲み方。
そばの香りが濃厚に立ち込め、そばの風味がより一層楽しめます。
そば湯は、そばを茹でた時のゆで汁で、一般的にはつゆで割って飲みます。
そば焼酎の広がりとともに、全国のそば屋で飲まれるようになったといいます。
また、栄養素がタップリ溶け出したそば湯は、健康志向派にとってもおすすめの飲み方といえそうです。
そば茶割り
そば茶割りは、そば本来の風味や味わいを補完する飲み方です。
そば茶は、そばの実を焙煎しているため、そばが持つ独特の風味や香りが溶け出した飲み物。
そば好きにはたまらないお酒といいでしょう。
焼酎は原材料が豊富なため、「牛乳焼酎+牛乳」、「ジャスミン焼酎+ジャスミン茶」というように”原材料割り”が可能なお酒。
「そば焼酎+そば茶」もそんな”原材料割り”のメニューです。
おすすめのそば焼酎
雲海
今では、大手焼酎メーカーとなった雲海酒造が、全国に認知度が広がるきっかけとなった銘柄です。
この「雲海」のヒットのおかげで、宮崎県はそば焼酎の本場に。
ほのかなそばの香りとクリアな味わいが特徴。
ロックやお湯割り、そば湯割りまで、おいしく楽しめます。
那由多の刻
そば焼酎の長期熟成酒を代表する銘柄です。
焼酎の長期熟成は、なかなか認知が広がりませんでしたが、同じ宮崎県の蔵元が成功して以降、様々な蔵元から販売されるようになりました。
厳選されたそばを原料に、九州山地の清冽な水で、宮崎・五ヶ瀬蔵の熟練の蔵人達により丁寧に仕込まれ、際立つそばの華やかな香りが特徴です。
吉兆雲海
厳選されたそばと、伝統的な黒麹菌を使用したそば焼酎です。
宮崎県日向灘から採取した雲海酒造のオリジナル酵母である「日向灘黒潮酵母」を使用。
ふんわりと香り立つそばの旨みと豊かな風味が特徴。
そば麹を使用して、“そば100%”を実現。
独自色が強い、そば焼酎の究極の形を模索した本格そば焼酎です。
十割
「十割」は、「そば全量」というのが最大のセールスポイント。
生産者で大手酒類メーカーである宝酒造が2004年にそば麹を開発。
吸水・蒸しの条件や、麹造りの温度・環境を見直すことで生み出された麹といいます。
そば100%のそば焼酎は米や麦の風味の影響を受けません。
そのため、そばのもつさわやかな味わい、甘み、香ばしさをいっそうストレートに楽しむことができます。
八重桜
八重桜は長期熟成されたそば焼酎ですが、木樽ではなく甕によって熟成されるため無色。
ほのかなそばの香りと熟成されたまろやかな味わいが特徴。
蔵
元の古澤醸造の歴史は古く、明治25年に創業しています。
今でも蔵は土蔵造りで、全工程は昔ながらの手作りで焼酎は造られます。
八重桜はという銘柄は、そばの他に、芋と麦を原材料の焼酎があります。
それぞれ飲み比べてみるのもいいかもしれません。
長期貯蔵 そば天照
澄んだ甘い香りをほのかに放ちながらも、軽やかにすっきりとした旨さのそば焼酎。
樫樽で長期間熟成させたため、琥珀色の豊かな香りと深いまろやかな味わいが特徴。
ロックがよく合います。
「天照」という銘柄名は、蔵元が所在する高千穂町は「神々の里」といわれ、伝記に登場する「天照大神」からこの名が付けられた天照が由来。
信濃の香り そば
長野県佐久市にある蔵元が造るそば焼酎。
本場のそば処のそば焼酎は、甘みがまろやかでクリアな味わい。
減圧蒸留で仕上げているため、雑味がなくクリアな酒質で、そば焼酎の入門編としてもおすすめ。
まとめ
いかがでしたか。
そば焼酎は、短い歴史ながら昭和後期、一気に全国に広まった焼酎だったのでした。
ほのかなそばの香りとコクのある味わいは、馴染みのあるもの。
今では、コンビニやスーパーで手軽に購入できます。
みなさんも、是非、そば焼酎を楽しんでみてください。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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