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黒糖焼酎の新しいスタイル!マルシカで乾杯

黒糖焼酎は「マルシカ」で決まり!歴史からおすすめの飲み方まで紹介します

鹿児島県の南の海に浮かぶ奄美諸島は、黒糖焼酎の名産地。
甘い香りと味わいの黒糖焼酎は、根強いファンが多いお酒でもあります。
今回は、話題の黒糖焼酎「マルシカ」を、製造元の歴史や伝統からおすすめの飲み方などを紹介します。

黒糖焼酎はどこで生産される?の画像

「まる鹿」から「マルシカ」へ

「マルシカ」を製造するは松永酒造場は、奄美諸島を構成する徳之島にあります。
創業地である鹿浦にちなみ「マルシカ(まる鹿)」と名付けられました。
もともと昭和27年の創業時より「まる鹿」として造られていましたが、1965年(昭和40年)に製造中止になります。
その理由は、徳之島にあった6つの酒蔵が共同でビン詰め会社を設立することになり、各蔵の単一銘柄の販売が難しくなったためです。

戦後の奄美諸島や鹿児島、宮崎といった九州の焼酎製造業者は、家族経営の零細企業がほとんどでした。
焼酎製造業以外の業種に目を向けても、中小企業の生産性はまだまだ低く、設備の近代化も遅れていた時代。
そこで当時の政府は、「中小企業近代化促進法」という法律を制定し、国内の中小企業の競争力強化を目指します。
焼酎製造業者も1964年(昭和39年)に同法の指定業種と認定されることに。
多くの焼酎製造業者は「協業化」または「廃業」を迫られ、徳之島では「協業化」を進めます。
徳之島にあった6つの蔵によって、奄美酒類という共同瓶詰め会社が設立されることになったのです。

そんな経緯によって製造中止となった「まる鹿」を、令和2年12月に松永酒造場3代目の当主である晶子氏が「マルシカ」として復活させたのです。
今では創業時と同様、松永酒造場を代表する銘柄として全国的に人気が広がっています。

黒瀬杜氏の仕事の画像

松永酒造場の伝統

松永酒造場のお酒造りの責任者である杜氏(とうじ)は、創業時から現在も女性が担当しています。
創業時は、初代当主の松永清氏の奥様であるタケ子氏が務めました。

焼酎造りは、鹿児島や宮崎といった他のエリアでは男性が務めることが多いですが、奄美諸島では女性が担当することが多かったといいます。
明治から昭和初期にかけての奄美諸島では自家製の焼酎が造られていたため、味噌などを造るのと同じく、家庭内の仕事の一環として焼酎が造られていたためです。
焼酎の製造に必要な麹造りや醪(もろみ)の管理は、細かな目配りと丁寧な手入れが求められているので適任という訳です。

初代のタケ子氏から2代目玲子氏、3代目の晶子氏と女性が杜氏を継承。
「熱を出したら冷ましてやり、寒くなったら温めてやる」と愛情が詰まった焼酎造りの伝統は、今も引き継がれています。

黒糖焼酎の特徴は ?の画像

「マルシカ」と長寿の関係

「マルシカ」を製造する松永酒造場は徳之島にあります。
徳之島といえば、奄美諸島の中でも2番目に大きな島。
また、かつて徳之島には、男性の世界最長寿とされていた泉重千代氏が住んでいた島としても有名でした。

長寿の秘訣は黒糖焼酎にあるといわれ、泉重千代氏が愛飲していた焼酎は「マルシカ」だったといいます。
泉重千代氏は、毎晩欠かさず「マルシカ」を一合、ゆっくりと自分のペースで楽しんでいたそう。

そのため黒糖焼酎に含まれる成分が空腹ホルモン「グレリン」を増強する可能性があるとされ、一部の研究機関が黒糖焼酎と長寿の関係に注目をしたことも。

今では、黒糖焼酎と長寿の関係は不明ですが、「マルシカ」の持つ芳醇な甘い味わいと香りは、今後も多くの人を癒し続けていくことでしょう。

おすすめの飲み方

「マルシカ」のおすすめ飲み方3選

「マルシカ」のアルコール度数は25度。ハイボールがよく合いそうです。
それでは、「マルシカ・ハイボール」のおすすめ飲み方3選を紹介します。

「マルシカ・レモンハイボール」

レモンハイボール
焼酎と炭酸水をベースにレモンを加えたお酒は、一般的にレモンサワーまたは、レモンハイと呼ばれます。
レモンサワーやレモンハイは甲類焼酎で造りますが、「マルシカ」にレモンを加えたお酒は敢えて「マルシカ・レモンハイボール」と呼びたいです。
「マルシカ」のボトルは透明でスタイリッシュ。カクテルに使用されるお酒のようだからです。
炭酸の発泡した心地よさとレモンの酸味は、「マルシカ」のすっきりした香りによく合います。

「マルシカ・グレープフルーツハイボール」

グレープフルーツハイボール
グレープフルーツと焼酎は、人気の組み合わせです。
グレープフルーツサワーが有名ですよね。
レモンやオレンジより一際大きいので、その分香りも豊かに。
豊かな酸味と穏やかな苦味は、「マルシカ」が持つ甘さとのバランスが良いです。

「マルシカ・オレンジハイボール」

オレンジハイボール

「マルシカ・オレンジハイボール」は、オレンジを加えたハイボール。
「マルシカ」とオレンジの甘さが相乗効果になって、華やかさが一層引き立ちます。
レモンやグレープフルーツと違って焼酎との相性は馴染みがありませんが、ジュースを数滴垂らすと、見た目にもおしゃれなカクテルのよう。
黒糖焼酎を飲み慣れていない人に、おすすめの飲み方です。

「マルシカ」おすすめのおつまみ3選

「マルシカ」の味わいはキリッとしているので、食中酒としても活躍しそう。
それでは、定番から意外なおつまみ3選を紹介します。

イカの塩辛

イカの塩辛

イカの塩辛といえば、お酒のおつまみの定番ですよね。
心地よい塩味につられて、杯を重ねる方も多いと思います。
ただ、独特の苦味と生臭さは、お酒選びにあたっては注意が必要。
そこで、イカの塩辛のお伴として「マルシカ」をおすすめします。
イカの塩辛の苦味や臭みは、「マルシカ」によって深い味わいに変わっていくことでしょう。

黒豚のしゃぶしゃぶ

黒豚のしゃぶしゃぶ

黒豚といえば鹿児島ですよね。
風味の豊かなコクと、脂の上品な甘さが特徴。
そんな黒豚は、シンプルにしゃぶしゃぶで味わいたいもの。
「マルシカ」のスーッとした酒質に、黒豚のしゃぶしゃぶの上品な味わいがよく合います。
ぽん酢や胡麻といったタレを変えて「マルシカ」の風味を楽しむのもおすすめです。

ラーメン

ラーメン
ラーメンといえば、締めの食事という印象ですが、焼酎のおつまみとしてもおすすめです。
特に、ほうれん草、海苔、チャーシューなど具材が豊富な家系ラーメンはいかがでしょうか。
「マルシカ」の持つふんわりとした甘味と、コッテリとした中にも旨味が凝縮した家系ラーメンは、やみつきレベルの組み合わせといえそうです。

マルシカ

いかがでしたか。
「まる鹿」から「マルシカ」へ、見た目はスタイリッシュに変貌を遂げましたが、製造元である松永酒造場の歴史がギュっと詰まった黒糖焼酎なのでした。
今も3代目晶子氏が、愛情が詰まった一本を送り続けています。
機会があったら、「マルシカ」をじっくりと味わってみてください。

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