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【焼酎の歴史】酎ハイを生み出した居酒屋チェーンの話

【焼酎の歴史】酎ハイを生み出した居酒屋チェーンの話

酎ハイは、クリアで軽快な味わいで、お店でも家飲みでも人気のドリンク。
レモンやグレープフルーツ、梅シロップを加えて自分好みの”カクテル”としても楽しめますよね。

「酎ハイ」は「チューハイ」とも表記されますが、その誕生の由来は諸説さまざま。
戦後の東京下町が有力といわれていますが、居酒屋チェーンが「酎ハイ」という説があるのはご存知ですか?
居酒屋チェーンが「酎ハイ」の元祖だというのです。

今回は、「酎ハイ」の生みの親といわれる居酒屋チェーンの話をご紹介します。

居酒屋チェーンの始まり

日本全国の駅前、または幹線沿いのロードイドには、コーヒー店やラーメン店、ファミリーレストランを始めとした様々なチェーン店を見かけますよね。
利用者にとってチェーン店は、どこにいっても内装やメニュー、サービスが統一されていて安心できるお店でもあります。
そんな、チェーン店ですが、その始まりは意外に浅く、今から50年前の1970年代なのです。

このチェーン店の始まりは、正確には1969年。

契機は、1969年3月第二次資本自由化という措置。
この第二次資本自由化によって、外国資本による日本への直接投資の制限が緩和され、アメリカ企業の進出を加速させるきっかけとなりました。
有名なのは、1971年年7月のマクドナルド1号店、同年11月ケンタッキーフライドチキン1号店の出店。
これ以降もアメリカのチェーン店が進出。
日本の商社や食品メーカーと組んで、日本市場に続々と上陸したのです。

それ以降、その統一性を持った複数店舗の集合体であるチェーン店が注目されます。
当時は高度経済成長の真っ只中。
事業意欲が旺盛な経営者にとって、チェーン店は理想の出店方法だったのです。

居酒屋チェーンのお酒「酎ハイ」

「養老乃瀧」、「村さ来」、「つぼ八」といった居酒屋チェーン店の出店が本格的に始まります。
かつての居酒屋といえば、赤ちょうちんに代表される地域密着型のお店。
店主自慢の料理が提供される地元客に溢れた、個人経営店がメインでした。
複数の店舗を出店するという発想はなく、のれん分け方式で3店舗〜5店舗を展開するのがせいぜい。

ところで、チェーン店というのは前述の通り、第二次資本自由化が由来で、アメリカ発祥のもの。
居酒屋は日本特有の業態なので、アメリカ仕込みのノウハウやレシピはありません。
ハンバーガー店と違って、ノウハウやレシピは、オリジナルで開発するしかないのです。

それらの開発に際し、最初に突きつけられた課題は、お酒の取り扱い。
それまでの居酒屋のお酒といえば、焼酎やビール、日本酒などメーカーが製造したものをコップに注ぐだけ。
価格もメーカーサイドが握っていて、うま味が少ない商品なのです。
そして、原価が高い。

そこで目を付けられたのが、甲類焼酎。
「村さ来」の創始者である清宮勝一氏が、居酒屋のチェーン化を推進する上で生み出したお酒が、「酎ハイ」というのです。

酎ハイを生み出した居酒屋チェーン

居酒屋チェーン化の課題であった、お酒の取り扱い。
そんな中、甲類焼酎が注目されます。
「村さ来」の創始者である清宮勝一氏は、赤ちょうちんのお酒である焼酎の飲み方を、チェーン店の主力商品するのです。

それまでの甲類焼酎は、精製度が悪いため炭酸を加えて、シロップで味つけしないと飲めないお酒。
赤ちょうちんのお酒の代表格で、東京下町においては甘いシロップを加えて氷を入れ、炭駿で割って飲む飲み方が広まっていました。

そのため、居酒屋チェーンを進めるのに、甲類焼酎は赤ちょうちんの表格なので、本来は相応しくないお酒。
そんな中、あえて「村さ来」の創始者である清宮勝一氏は甲類焼酎で勝負したのです。

清宮勝一氏は、「村さ来」をチェーン化する戦略する中で、ターゲットを若者に定めます。
特徴は、ビール用のジョッキを使用したこと。
がブ飲みしても大丈夫なアルコール濃度に設定して、「若者がファッショナブルに飮む」ことを意識したといいます。
飲酒経験が浅く、酔うことを目的にしない若者をターゲットに設定したことで、口当たりのよさ、後に引かない軽さ、アルコール濃度の調整しやすいお酒である「酎ハイ」を訴求。

それまでの酎ハイ同様に、シロップで味付けしますが、注目点はフレーバーの多様さ。
柑橘系のレモン、グレープフルーツといった定番はもちろん、ライム、オレンジ、ミカン、ユズなどもラインナップに加えます。
さらにウーロン茶、日本茶、カルピスといったドリンクも導入して、最終的には120種類に上ったといわれています。

原価の課題も解決します。
甲類焼酎と炭酸、シロップの原価は数十円程度。
課題であったお酒が、原価率の低い高収益の商品となっり、日本オリジナル業態である居酒屋チェーン化推進の原動力となったのです。

この「酎ハイ」誕生のおかげで、居酒屋チェーンは異次元の儲けが得られるビジネスとしてクローズアップされます。
そして、1980年代には空前絶後の居酒屋ブームが発生。
その原動力は、「酎ハイ」だったのです。

まとめ

いかがでしたか。
諸説ある「酎ハイ」の起源ですが、居酒屋チェーン説も興味深いですよね。
今でも、多くの人を惹きつける「酎ハイ」。
街で見かけた居酒屋チェーンの酎ハイを、この記事を思い出して、ゆっくりと味わってみてください。

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