
【焼酎と麹の文化】焼酎の味をつくる“見えない主役”──日本の麹と黒麹・白麹の物語
焼酎の香りや甘み、やわらかな口当たり。
その奥には、必ず「麹(こうじ)」の存在があります。
焼酎は蒸留酒でありながら、どこか“やさしさ”や“ふくらみ”を感じさせるお酒。
それは、日本独自の麹文化によって育まれてきた味わいです。
この記事では、焼酎と麹の関係、日本の麹文化の特徴、そして黒麹・白麹誕生の物語をひもといていきます。
目次
焼酎は「微生物の酒」である
酒はすべて、微生物の力によって生まれます。
ブドウ酒もビールも日本酒も、そして焼酎も例外ではありません。
人類が微生物の存在を科学的に知ったのは、わずか300年ほど前。
けれど人は、それよりはるか昔から、経験的に“発酵の力”を使いこなしてきました。
とくにモンスーン地帯である東南アジアから日本にかけては、高温多湿の気候がカビや酵母の繁殖に適し、独自の発酵文化が発展しました。
焼酎は、まさにその風土が生んだ酒なのです。
日本の酒造りは「麹の使い方」が違う
世界には大きく分けて
・麦芽を使う酒の文化圏
・カビ(麹)を使う酒の文化圏
があります。
日本酒や焼酎が属するのは、後者の「カビ酒文化」。
中でも日本は、アスペルギルス属という独自の麹菌を発展させた、世界でも稀な地域です。
焼酎や日本酒に使われる黄麹・黒麹・白麹は、日本の気候と長い試行錯誤の中で磨かれてきた“国菌”ともいえる存在。
焼酎の個性は、ここから始まっています。
なぜ焼酎には「黒麹・白麹」が使われるのか
もともと焼酎造りには、日本酒と同じ黄麹が使われていました。
しかし南九州の温暖な気候では、もろみが腐りやすく、安定した酒造りが難しかったのです。
転機は沖縄の泡盛。
泡盛に使われていた黒麹菌は、クエン酸を大量に生み出し、雑菌の繁殖を抑える力を持っていました。
鹿児島の蔵元がこの黒麹を取り入れたことで、焼酎は飛躍的に安定し、品質も収量も向上します。
さらに明治末期、河内源一郎氏によって黒麹から突然変異した「河内白麹菌」が発見されます。
扱いやすく、香味に優れ、南九州の焼酎造りを支える存在となり、やがて全国に広がっていきました。
今日、私たちが親しんでいる本格焼酎の多くは、この白麹文化の上に成り立っています。
麹がつくる、焼酎の「甘み」と「やさしさ」
蒸留酒である焼酎は、もともと糖分をほとんど含みません。
それでも焼酎にやわらかな甘みを感じるのは、原料成分と麹・酵母の働きによって、多様な香味成分が生まれるからです。
近年は、
・黒麹によるコクと立体感
・白麹による軽快さと透明感
・黄麹による華やかさ
といった違いも楽しまれるようになり、焼酎の表現はますます広がっています。
焼酎の「飲みやすさ」も「奥行き」も、すべて麹の仕事。
まさに麹は、焼酎の味を設計する“見えない主役”なのです。
焼酎と麹文化は、これからも進化していく
かつて黒麹が焼酎を救い、白麹が焼酎を広めました。
そして今、新しい麹菌の研究や、香味設計への挑戦が続いています。
原料・麹・酵母・蒸留・熟成。
そのすべてをつなぐ起点にあるのが、麹です。
一杯の焼酎の奥には、日本の風土と微生物と人間の知恵が折り重なった、長い時間の物語が流れています。
まとめ|焼酎を飲むとき、麹に少しだけ想いを馳せてみる
焼酎は、透明なお酒に見えて、とても複雑な文化の結晶です。
その中心にあるのが、日本が育ててきた麹の存在。
次に焼酎を口にするときは、
「この香りも、このやさしさも、麹がつくったんだな」
そんなふうに思い出してみてください。
一杯が、きっと少しだけ深く、美味しくなるはずです。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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