
アルコール誕生から焼酎へ|酒の歴史から読み解く焼酎の本質
焼酎とはどんな酒なのか。
その答えは、アルコール誕生の歴史と酒類全体の進化をひも解くことで、より明確になります。本記事では、醸造酒・蒸留酒の違いから始まり、焼酎がどのような歴史と技術の積み重ねによって生まれたのかを解説。焼酎の本質と魅力を、酒の歴史という視点から分かりやすく紹介します。
目次
酒は人類最古の文化装置だった
酒は「人のいるところに必ず存在する」と言われるほど、古くから人類と共にありました。
アフリカの未開民族にも酒の文化があり、酒はしばしば文化の成熟度を測るバロメーターとも表現されます。
それぞれの民族・地域は、気候や作物に適した酒を生み出してきました。
日本における清酒、ヨーロッパのワイン、中国の黄酒などは、その代表例です。
酒は3種類に分類される|醸造酒・蒸留酒・混成酒
酒は製造方法の違いによって、次の3つに大別されます。
醸造酒とは
米・麦・果実などを発酵させ、その液体を絞った酒です。
代表例は、日本酒、ビール、ワイン、中国酒(紹興酒など)。
発酵とは、酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する作用を指します。
自然界では、熟した果実が自然発酵し、それを動物が口にする「原始的な酒」も存在していました。
混成酒(リキュール)とは
蒸留酒をベースに、果実・香草・甘味料などを加えた酒。
梅酒や薬草酒もこの分類に入ります。
もともとは中世ヨーロッパで、医薬・媚薬・長寿の薬として発展しました。
蒸留酒の誕生は約5000年前にさかのぼる
焼酎が属する「蒸留酒」は、醸造酒をさらに進化させた酒です。
蒸留とは、液体を蒸発させ、再び冷却して凝縮することでアルコールを抽出する技術。
この技術は、紀元前3000年頃のメソポタミア文明ですでに存在していたと考えられています。
蒸留によって誕生した酒には、
・ウイスキー(ビール由来)
・ブランデー(ワイン由来)
・ラム(サトウキビ由来)
・ジン、ウォッカ、テキーラ
・中国の白酒(高粱酒、茅台酒)
そして、日本の焼酎・泡盛があります。
「焼酎」という名前の由来
焼酎は中国では「焼酒」「火酒」とも呼ばれ、日本でも古くは「焼酒」と表記されていました。
「焼」は煮ること、「酎」は濃く醸した酒を意味します。
つまり焼酎とは、
“煮て、凝縮された濃厚な酒” という意味を持つ言葉なのです。
東洋と西洋で異なる酒造りの思想
アルコール発酵には「糖化」が必要です。
この糖化の方法に、東西の決定的な違いがあります。
・西洋:麦芽(発芽した麦)による糖化
・東洋:麹(カビ)による糖化
日本の焼酎や日本酒は、この「麹文化」の延長線上にあります。
焼酎には2つの系統がある|甲類と乙類
焼酎は蒸留方法の違いにより、次の2つに分類されます。
甲類焼酎(新式焼酎)
・連続式蒸留
・高純度アルコール(90%以上)を抽出
・無味無臭に近い
主に果実酒用・チューハイベースに使用
乙類焼酎(旧式焼酎)
・単式蒸留
・原料の香味が残る
・熟成によって味わいが変化
現在「本格焼酎」と呼ばれる中心的存在
※甲・乙は税法上の区分であり、優劣を示すものではありません。
単式蒸留が生む“焼酎らしさ”
単式蒸留は、一釜ずつ蒸留を行う伝統的な製法です。
この方法では、原料由来の香味成分がそのまま酒質に反映されます。
蒸留直後は白濁や荒さがありますが、
貯蔵・熟成を経ることで、
・白濁が消える
・味に丸みが出る
・芳香が生まれる
この変化こそが、焼酎を「生き物」と呼ぶ理由です。
粕取り焼酎と醪取り焼酎の違い
乙類焼酎はさらに2つに分かれます。
・粕取り焼酎:清酒の酒粕を蒸留(副産物)
・醪取り焼酎:焼酎専用に仕込んだ醪を蒸留
現在「本格焼酎」と呼ぶにふさわしいのは、醪取り焼酎だと考えられています。
焼酎は原料で優劣が決まる酒ではない
米、麦、芋、黒糖、そば、雑穀。
焼酎は原料によって個性が変わりますが、品質の上下が最初から決まるわけではありません。
仕込み、麹、発酵、蒸留、熟成。
そのすべてに人の技が介在し、焼酎は完成します。
焼酎は「酔うため」ではなく「味わうため」の酒
合理性を突き詰めた甲類焼酎に対し、乙類焼酎は香り・旨み・余韻を楽しむ酒です。
焼酎は、静かに心地よく酔い、日常に寄り添う蒸留酒。
それが、アルコール誕生から続く歴史の中で、日本が選び取った蒸留酒のかたちなのです。
まとめ
焼酎は、単なる「安い酒」でも、「強い酒」でもありません。
人類が酒を生み出し、蒸留という技術を獲得し、風土に根ざした原料と向き合ってきた――その積み重ねの先に、焼酎はあります。
甲類焼酎には、合理と清潔さという技術の結晶があり、
乙類焼酎には、原料と時間が生む香味と個性があります。
どちらが優れているかではなく、
焼酎は〈文化〉であり、〈技術〉であり、そして〈日常酒〉である。
静かに喉を潤し、ときに自尊心をそっと慰めてくれる。
焼酎とは、そんなふうに人の暮らしに寄り添ってきた酒なのです。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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