
焼酎の蒸留方法とは?常圧蒸留と減圧蒸留の違いを分かりやすく解説
焼酎の味わいや香りを語るうえで、欠かすことのできないのが「蒸留」という工程です。
しかし、この「蒸留」という言葉は、私たちの日常生活ではあまり耳にすることがなく、焼酎が蒸留酒であること自体、意外と知られていません。
そもそも蒸留とは、どのような操作なのか。
そして、なぜ蒸留方法の違いによって、焼酎の香りや味わいが大きく変わるのでしょうか。
実は、焼酎の蒸留は、古くから「煎じる」という言葉で表現されてきました。この日本独自の感覚をひも解いていくと、本格焼酎ならではの個性や奥深さが見えてきます。
ここでは、蒸留という考え方の成り立ちから、常圧蒸留と減圧蒸留の違い、そしてそれぞれが酒質に与える影響までを、順を追ってわかりやすく解説していきます。焼酎の味の違いを、もう一段深く理解するための入り口として、ぜひ読み進めてみてください。
目次
蒸留とは何か?焼酎造りにおける「煎じ」の意味
焼酎の蒸留とは、もろみを加熱して発生した湯気(アルコール蒸気)を集め、冷やして液体に戻す工程です。
もろみをグツグツと煮ることで、原料由来の成分や香味が引き出され、さらに高温下での化学反応によって新たな香味成分が生まれます。
この過程が、まさに「煎じて成分を引き出す」作業に近いことから、江戸時代には「煎じる」という表現が使われていたのです。
圧力と温度が味を決める|蒸留の基本原理
焼酎は湯気を集めるお酒なので、もろみを沸騰させる必要があります。
ここで重要になるのが「圧力と沸騰温度の関係」です。
・圧力が高い → 沸騰温度は高くなる
・圧力が低い → 低い温度でも沸騰する
例えば、通常の台所では水は約100℃で沸騰しますが、気圧の低い環境では、同じ水でももっと低い温度で沸騰します。
焼酎の蒸留も同様で、沸騰は同じでも、温度が違えば香りや味わいは大きく変わるのです。
この圧力の違いを利用した蒸留方法が、「常圧蒸留」と「減圧蒸留」なのです。
常圧蒸留とは?|伝統的でコクのある味わい
常圧蒸留とは、大気圧のまま行う伝統的な蒸留方法です。
「常圧蒸留」という呼び名自体は比較的新しく、昭和48年頃、減圧蒸留が普及し始めた際に、それまでの方法と区別するために使われるようになりました。
かつての蒸留器は、鍋釜や木製の甑(こしき)などを使った素朴な造りで、当然ながら蒸留は大気圧下で行われていました。現在はステンレス製が主流ですが、常圧で蒸留する点は昔と変わりません。
常圧蒸留では、もろみはおよそ90℃前後で沸騰します。
高温でじっくり煎じることで、
・原料由来の香りや旨み
・コクのある濃厚な味わい
・個性的で力強い酒質
が生まれます。
ちなみにウイスキーのポットスチルも、この常圧蒸留と同じ原理です。
減圧蒸留とは?|軽やかで飲みやすい酒質
減圧蒸留は、蒸留機を完全に密閉し、真空ポンプで内部の空気を抜いて低圧状態にして行う蒸留方法です。
圧力を下げることで、もろみは約40〜50℃という低温でも沸騰するようになります。
減圧蒸留機は、
・密閉構造
・圧力に耐える頑丈な造り
・真空ポンプの装備
といった点が特徴で、加熱方法も、蒸気を直接吹き込む常圧蒸留とは異なり、ジャケットなどによる間接加熱方式が採用されています。
また、低温で蒸留するため、
・雑味が出にくい
・香りがクリア
・すっきり淡麗な味わい
の焼酎に仕上がります。
酵母が生み出した繊細な香りが、加熱による成分でマスキングされにくいのも大きな特徴です。
常圧蒸留と減圧蒸留の使い分け
両者は優劣ではなく、目的による使い分けです。
◆常圧蒸留
→ 原料の個性をしっかり出したい
→ 濃厚で骨太な味わい
→ 芋焼酎を中心に多く採用
◆減圧蒸留
→ 飲みやすさや香りを重視
→ 軽快でクリアな酒質
→ 米焼酎・麦焼酎など穀類焼酎で普及
焼酎のラベルや説明文で蒸留方法に注目すると、味わいの傾向がぐっと分かりやすくなります。
まとめ
焼酎の味わいや香りを大きく左右するのが、「常圧蒸留」と「減圧蒸留」という2つの蒸留方法です。
どちらが優れているというわけではなく、目指す酒質によって使い分けられているのが最大のポイントです。
常圧蒸留は、醪を高温でしっかりと煮沸することで、原料由来のコクや力強い香味を引き出す伝統的な製法です。芋焼酎に多く用いられ、濃醇で個性的な味わいを楽しみたい人に向いています。
一方、減圧蒸留は低温で蒸留を行うため、雑味が出にくく、軽やかでクリアな酒質に仕上がるのが特徴です。麦焼酎や米焼酎を中心に広く使われ、すっきりとした飲み口や香りの良さを重視する人におすすめです。
この違いを知っておくだけで、
「なぜこの焼酎は濃いのか」「なぜ飲みやすいのか」が自然と理解できるようになります。
ぜひ次に焼酎を選ぶときは、原料だけでなく蒸留方法にも注目してみてください。
きっと、自分の好みにぴったり合う一本に出会えるはずです。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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