
芋焼酎の味は芋で決まる|さつまいも品種と味わいの違いを徹底解説
芋焼酎の味わいを語るとき、欠かすことのできない存在が「さつまいも」です。
同じ芋焼酎でも、甘みが強いもの、すっきり軽快なもの、華やかな香りを放つものまで、実に多彩な表情を見せます。
その違いを生み出している最大の要因こそが、原料となるさつまいもの品種です。
芋焼酎は「芋の酒」と言われながら、その中身は決して一様ではありません。
本記事では、日本におけるさつまいもの歴史から、焼酎造りに適した品種の特徴、味わいへの影響までを丁寧に解説します。
芋焼酎をもっと深く知りたい方も、これから選び方を学びたい方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
芋焼酎の個性を生む素材の秘密を知る
日本を代表する醸造酒が日本酒であるなら、日本を代表する蒸留酒は焼酎と言えるでしょう。
焼酎の大きな魅力のひとつは、原材料の選択肢が非常に広いことにあります。
米、麦、芋、そば、黒糖など、素材の違いによって味わいや香りは大きく変化し、そのバリエーションはまさに無限大です。
なかでも近年、人気が高まり続けているのが芋焼酎。
原料である「さつまいも」の品種によって、個性が違います。
近年は特に、芋焼酎用の品種改良が進んでいます。
一様に、芋焼酎といっても品種によって味わいや香りといった個性が、違ってくるのです。
日本に伝わったさつまいもの歴史と種子島
1698年3月、琉球王・尚貞から種子島島主・久基公のもとへ一籠の甘藷(かんしょ)が届けられました。
これが、日本にさつまいもが伝来した最初の記録とされています。
それから300年以上。
現在も種子島では、自然の恵みを受けた良質なさつまいもが栽培され続けています。
海底の隆起によって形成された堆積岩の土壌はミネラル分が豊富で、糖度やでんぷん質を多く含む芋が育ちやすい環境です。
この土地の特性を活かし、自社農園でさつまいもを栽培し、焼酎造りを行う蔵も存在します。
畑を切り拓き、土を整え、休耕をはさみながら土地をいたわる――
その積み重ねこそが、芋焼酎の品質を支えています。
芋焼酎とでんぷん価の関係
さつまいもは、甘藷(かんしょ)、唐芋(からいも・とういも)、琉球藷(りゅうきゅういも)などとも呼ばれます。
一般的に芋類はでんぷんが多い作物と思われがちですが、実際のでんぷん含有量は約25%前後。
米や麦などの穀類(60〜70%)と比べると、決して多くはありません。
でんぷんはアルコールのもととなる重要な成分です。
そのため芋焼酎では、米麹や麦麹を併用する仕込み方法が一般的となっています。
とはいえ、芋焼酎特有の甘く芳醇な香りは、さつまいもなくしては生まれません。
近年では、でんぷん含有量の多い焼酎用品種が次々と開発され、芋焼酎の品質向上に貢献しています。
九州・薩摩地方と芋焼酎文化
さつまいもの生産量がもっとも多い地域は、九州・薩摩地方。
桜島の火山灰によって形成されたシラス台地は、決して肥沃な土地ではありませんが、さつまいもはその厳しい環境でも安定して育つ作物でした。
この「育てやすさ」こそが、薩摩地方で芋焼酎文化が発展した大きな理由のひとつです。
一方、千葉県や茨城県で生産されるさつまいもは、主に食用として流通しています。
芋焼酎の仕込み時期と鮮度の重要性
芋焼酎の仕込みは、さつまいもの収穫期である8月末から11月に集中します。
さつまいもは非常に傷みやすく、劣化した芋を使うと雑味や臭みが出てしまうためです。
良質な芋焼酎を造るためには、収穫した芋をすぐに蒸し、仕込みに入ることが不可欠。
この時期、蔵は一年で最も忙しい季節を迎えます。
食用品種と醸造用品種の違い
一般的に、醸造用さつまいもは表皮が白〜淡黄色で、太く丸みを帯びた形状をしています。
でんぷん含有量が多く、ほくほくとした質感が特徴です。
一方、食用品種は表皮が赤く、細長い形状のものが多く、水分と糖度が高いため、焼き芋にするとクリーミーな食感になります。
近年では、安納芋のように、食用として人気の品種が焼酎原料に使われるケースも増えています。
芋焼酎に使われる主な焼酎用品種と味わい
コガネセンガン
芋焼酎の代表的品種。
でんぷん含有量が高く、アルコール歩留まりに優れ、甘みとコクのある王道の芋焼酎を生む。
シロユタカ
収穫量が多く、すっきりとした淡麗な味わいが特徴。
南九州を中心に作付け面積が増加中。
コナホマレ
でんぷん含有量が非常に高く、まろやかで柔らかな口当たり。
スッキリした香りと甘みが楽しめる。
ダイチノユメ
比較的新しい品種。
柑橘系の香りを感じさせる、フルーティでキレのある酒質。
ジョイホワイト
華やかな香りと淡麗な味わいが特徴。
芋焼酎が苦手な人でも飲みやすいタイプ。
ときまさり
芋の風味が強く、甘みとコクが際立つ。
個性派の芋焼酎を好む人に支持される品種。
芋焼酎・品種別 味わい早見表
| 品種名 | 味わいの傾向 | 香りの特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| コガネセンガン | 甘み・コクが強い | 芋らしい香ばしさ | 王道の芋焼酎を楽しみたい人 |
| シロユタカ | すっきり・軽快 | 控えめで穏やか | 食中酒として飲みたい人 |
| コナホマレ | まろやか・柔らか | やさしい甘い香り | 飲み疲れしにくい芋焼酎が好きな人 |
| ダイチノユメ | キレが良い | 柑橘系のニュアンス | モダンな芋焼酎を試したい人 |
| ジョイホワイト | 淡麗・軽やか | 華やかでフルーティ | 芋焼酎初心者 |
| ときまさり | 濃厚・力強い | 芋の存在感が強い | 個性派・芋感重視の人 |
芋の違いが、芋焼酎の個性をつくる
芋焼酎の個性は、造り手の技術だけでなく、原料であるさつまいもの品種によって大きく左右されます。
でんぷん含有量、香り成分、育つ土地の特性――それらが重なり合うことで、一本一本に異なる表情が生まれるのです。
芋焼酎を選ぶ際に、ラベルに記された品種名に目を向けてみる。
それだけで、焼酎の楽しみ方はぐっと広がります。
好みの味わいを探す旅は、きっとあなたにとって新しい一杯との出会いをもたらしてくれるはずです。
原料を知ることは、芋焼酎をより深く味わうための第一歩。
ぜひ、自分好みの「芋」を見つけて、焼酎の奥深い世界を堪能してみてください。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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