
【産地呼称焼酎⓵】壱岐焼酎とは|米麹が生む、世界が認めた麦焼酎
焼酎を飲み進めるうちに、「この焼酎はどこで、どんな背景から生まれたのか」と気になったことはありませんか。
産地呼称焼酎とは、産地・原材料・製法が法律で厳密に定められ、世界的にも保護された日本の蒸留酒です。
そのひとつが、長崎県壱岐島で造られる壱岐焼酎。
米麹を使った麦焼酎という独自の製法は、柔らかくふくらみのある味わいを生み出します。
本記事では、産地呼称焼酎の基礎とともに、壱岐焼酎の歴史と魅力を紐解いていきます。
目次
産地呼称焼酎とは?世界が認めた日本の蒸留酒ブランド
焼酎を飲み進めるうちに、「この焼酎はどこで、どんな背景から生まれたのだろう」と感じたことはありませんか。
造り方の違い、原材料、そして土地の風土や歴史──。
それらを知ることで、焼酎はさらに奥深い存在になります。
産地呼称焼酎とは、そんな知的好奇心を満たしてくれる、日本が世界に誇る焼酎のカテゴリー。
単なる「産地名」ではなく、法律と国際協定によって守られた“本物の証”とも言える存在なのです。
産地呼称焼酎は4種類だけ|法律で定められた厳格な定義
現在、日本で「産地呼称焼酎」を名乗ることが許されているのは、次の4つのみだ。
・壱岐焼酎(長崎県壱岐市)
・球磨焼酎(熊本県球磨郡・人吉市)
・琉球泡盛(沖縄県)
・薩摩焼酎(鹿児島県 ※奄美地方を除く)
これらは、日本の法律
「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づき、
・産地
・原材料
・製法
が厳密に定められています。
簡単に言うと、
「特定の地域で、定められた原材料と製法によって造られた単式蒸留焼酎」
これが、産地呼称焼酎の定義です。
シャンパーニュと同じ発想|「地理的表示(GI)」による保護
この仕組みを聞いて、フランスのシャンパーニュやボルドーを思い浮かべた人もいると思います。
実は産地呼称焼酎の背景には、WTO(世界貿易機関)のTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)があるのです。
「地理的表示(GI)」とは、その商品の品質や評価が特定の土地に由来する場合に、原産地名を保護する制度のこと。
1995年のTRIPS協定発効を受け、日本でも酒税法が改正され、産地呼称焼酎は国際的にも保護される存在となったのです。
つまり、壱岐焼酎・球磨焼酎・琉球泡盛・薩摩焼酎は、世界中で“真似できない名前”なのです。
なぜこの4つの産地なのか|日本の蒸留酒の源流
この4地域が選ばれた理由は、「焼酎が有名だから」だけではありません。
日本の蒸留酒伝来ルートとして有力な、
・琉球経路説
・南海諸国経路説
・朝鮮半島経路説
これらすべてのルート上に、産地呼称焼酎の地域が位置しているのです。
つまりこの4地域は、
日本の蒸留酒文化の源流そのものと言える土地なのだです。
壱岐焼酎とは|米麹が生む、柔らかくふくらみのある麦焼酎
ここからは、産地呼称焼酎シリーズ第1回として、「壱岐焼酎」にスポットを当てていきます。
壱岐島という土地|日本の玄関口が育んだ酒文化
壱岐焼酎の故郷・長崎県壱岐島は、東西約15km、南北約17km、面積約138㎢の平坦な島です。
博多港から高速船で約1時間。
この島は古くから、日本と大陸を結ぶ海上交易の要衝として栄えてきました。
3世紀末の『魏志倭人伝』には「一支国」として登場して、朝鮮半島との交易拠点だったことが記されています。
朝鮮半島から伝わった蒸留技術
1404年、朝鮮王朝から対馬の領主に焼酎が贈られた記録が残っています。
このことから、焼酎は
朝鮮半島 → 対馬 → 壱岐 → 九州
というルートで伝来したと考えられています。
耕地に恵まれていた壱岐では、14世紀末頃にはすでに焼酎造りの原型があったとしても不思議ではないのです。
壱岐焼酎の誕生|麦焼酎になった理由
当初、壱岐で造られていた酒は米を原料とするものが中心でした。
稲作が盛んで、日本酒や粕取焼酎が多かったからです。
転機となったのは江戸時代。
平戸藩では年貢は米で納める決まりだったが、麦は対象外だったのです。
そのため各家庭で麦を使った自家製焼酎が造られ、これが現在の壱岐焼酎の原型になったとされています。
壱岐焼酎の定義と味わいの特徴
1995年、壱岐焼酎は産地呼称焼酎に指定されました。
壱岐焼酎の定義
・原材料 大麦 2/3
米麹 1/3
・壱岐の水を使用
・壱岐島内で醸造・蒸留
最大の特徴は、米麹を使う麦焼酎であること。
この製法によって生まれるのが、
・柔らかく
・ふくらみのある
・上品で穏やかな味わい
喉をすっと通り、後からほのかに麦の香りが立ち上がる。
まさに食中酒向きの焼酎なのです。
進化を続ける壱岐焼酎
現在、壱岐島には7つの焼酎蔵があり、黄麹だけでなく、黒麹・白麹、常圧・減圧と多彩な造りが行われています。
・伝統を守りながらも、
・個性のある香り
・麦へのこだわり
・若い世代の蔵人
によって、壱岐焼酎は今も進化を続けています。
壱岐焼酎は「日本の食」を支える酒
壱岐島は、米・海産物・壱岐牛など、“日本の食文化の原型”とも言える恵み豊かな土地です。
壱岐焼酎は、そんな食卓に自然に寄り添う酒。
静かに、しかし確かに、料理の味を引き立ててくれます。
まとめ|壱岐焼酎が“麦焼酎の原点”と呼ばれる理由
壱岐焼酎は、単なる「麦焼酎の一種」ではありません。
朝鮮半島との交易の歴史、米どころとしての島の風土、そして米麹を用いる独自の製法。そのすべてが重なり合って生まれた、日本の蒸留酒の源流に近い存在です。
大麦2/3、米麹1/3という原料比率が生み出す、ふくらみのある柔らかな味わい。すっと喉を通り、食事に寄り添うその酒質は、壱岐の豊かな食文化とともに育まれてきました。
産地呼称焼酎として世界的に保護されているのも、こうした歴史と品質が評価された結果といえるでしょう。
伝統を守りながらも、新たな麹や製法に挑戦する若い造り手たちの存在は、壱岐焼酎の未来をさらに広げています。
日本の食卓を静かに、しかし確かに支えてきた壱岐焼酎。その一杯には、島の時間と人の営みが、今も息づいているのです。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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