
焼酎の味を決める「水」の重要性とは|仕込み水・割り水と香味の関係
焼酎の味わいを左右する要素といえば、芋や米、麦といった原料に目が向きがちですが、実はそれと同じ、あるいはそれ以上に重要な存在があります。
それが「水」です。焼酎の成分の約7〜8割は水で構成されており、仕込みから割り水、さらには熟成に至るまで、水はあらゆる工程で焼酎の香味に深く関わっています。
本記事では、焼酎造りにおける仕込み水の役割や水質の違いが味わいに与える影響、軟水と硬水の特徴、さらには美味しく飲むための割り水の考え方までを、分かりやすく解説していきます。
焼酎をより深く知り、より美味しく楽しむための「水の基礎知識」を、ぜひ押さえておきましょう。
目次
焼酎の味わいを決める「水」という重要な素材
焼酎造りにおいて、原料である芋・米・麦と並び、決して忘れてはならないのが「水」の存在です。
焼酎の成分の約7〜8割は水で占められており、仕込み水の性質が、香りや口当たり、後味に大きな影響を与えます。
そのため、水は焼酎の味わいを左右する“隠れた主役”ともいえる素材です。
焼酎蔵が立地する地域には、良質な河川や地下水系が存在することが多く、たとえば球磨焼酎の産地・球磨地方には、清流として名高い球磨川水系があります。
また、焼酎造りに使用される水は、食品としての安全性を確保するため、厚生労働省(都道府県の保健所)が定める食品衛生法の基準を満たす必要があり、各蔵では日常的に厳格な水質管理が行われています。
なぜ焼酎は「割り水」をするのか
焼酎は、蒸留後の原酒をそのまま製品にすることはほとんどありません。
一般的には、蒸留した原酒を水で割り、アルコール度数を調整してから商品化されます。
たとえば、原酒を約44度で蒸留し、それを割り水して25度の焼酎に仕上げるのが一般的な手法です(本格焼酎は酒税法により45度以下と定められています)。
蒸留段階で25度まで度数を下げてしまうと、蒸留時間が長くなり、原料由来の雑味まで抽出されてしまいます。
そのため、比較的高い度数で蒸留し、後から割り水で整えるほうが、香味のバランスがよい焼酎になります。
一方で、原酒の度数を必要以上に高くすると、香味成分の割合が相対的に少なくなり、単純に水で薄めると風味の弱い焼酎になってしまいます。
焼酎においては、蒸留時の度数設定と割り水のバランスが、品質を左右する重要なポイントなのです。
焼酎の香味と水の深い関係
焼酎の香味成分は、全体のごくわずかな割合にすぎません。
しかし、質の高い焼酎ほど、その微量な香味成分が強い印象を残し、割り水をしても個性がはっきりと感じられます。
割り水は、単にアルコール度数を調整するだけでなく、焼酎の味わいをシャープにしたり、まろやかに整えたりする役割も担っています。
ブランデーやウイスキーでは、ミネラル分を含まない蒸留水を割り水に用いることが一般的ですが、焼酎では、微量のミネラルを含んだ伏流水が使われるケースが多く見られます。
この違いにより、同じ原料・同じ製法であっても、地域ごとに風味の個性が生まれるのです。
焼酎にとっての水は、ウイスキーやブランデー以上に「風味づけ」の役割を果たしているといえるでしょう。
焼酎造りで使われる主な水の種類
焼酎造りでは、工程ごとにさまざまな用途で水が使われています。
【洗芋・洗米・洗麦/浸漬用水】
原料を洗浄し、蒸し工程の前に適度な水分を吸わせるための水です。
【一次仕込み用水】
麹に水と酵母を加え、発酵の土台をつくります。
【二次仕込み用水】
一次もろみに水と主原料を加え、本格的な発酵を進めます。
【割り水】
蒸留後、アルコール度数を調整するための水です。
【洗瓶用水】
瓶や容器を洗浄するために使用されます。
このように、焼酎造りは水を使う工程の連続であり、水質の安定性が品質を支えています。
焼酎の仕込みに適しているのは軟水?硬水?
水は、ミネラル分の多い「硬水」と、少ない「軟水」に大別されます。
海外の天然水には硬水が多い一方、日本の水の多くは軟水に分類されます。
そのため、焼酎造りに使われる水のほとんども軟水です。
ミネラル分が少なく、クセのない軟水は、原料の風味を素直に引き出すため、焼酎造りに適した水とされています。
割り水を変えて、焼酎をもっと美味しく
焼酎の楽しみ方として知られているのが「前割り」です。
これは、焼酎をあらかじめ水で割り、1〜2日ほど寝かせてから飲む方法で、味わいがなじみ、まろやかになります。
また、割り水を軟水・硬水で変えることで、味の変化も楽しめます。
軟水と硬水の特徴
【軟水】
ミネラル分が少なく、クセのない味わいが特徴です。香りを楽しむ飲料に向いており、軟水で割った焼酎は、まろやかで口当たりが柔らかくなる傾向があります。
【硬水】
ミネラル分が多く、シャープな印象を与えます。硬水で割ると、味わいが引き締まり、キレのある飲み口になります。
焼酎にとって水は、単なる仕込みの素材ではなく、香味や熟成、飲み心地にまで影響を及ぼす重要な存在です。
原料や製法だけでなく、「どんな水で造られ、どんな水で割られているのか」に目を向けることで、焼酎の奥深さはさらに広がります。
次に焼酎を手に取るときは、ぜひその背景にある「水」にも注目してみてください。
焼酎と水は切り離せない関係
焼酎造りにおいて、水は単なる「仕込みに使うもの」ではなく、味わい・香り・熟成にまで深く関わる重要な要素です。
焼酎の成分の大半を占める水は、原料や製法と同様に、その土地ごとの個性を形づくります。
仕込み水や割り水に使われる伏流水の性質、軟水・硬水の違いは、焼酎の口当たりやキレ、香味の印象を左右します。
また、飲み方においても、割る水を変えることで味わいの変化を楽しむことができます。
焼酎をより深く知り、より美味しく味わうためには、「水」に目を向けることが欠かせません。
原料だけでなく、水の違いを意識することで、焼酎の奥深さと土地の個性を、より鮮明に感じ取ることができるでしょう。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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