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明治時代に起きた、日本酒と焼酎の変化とは

明治時代に起きた、日本酒と焼酎の変化とは

明治時代は、日本の酒文化が最も大きく姿を変えた転換期です。
江戸時代まで続いてきた日本酒・焼酎中心の酒の世界は、明治維新による近代化とともに、製造技術、流通、制度のすべてが再編されていきました。
とくに見逃せないのが、「アルコール」という存在。
本記事では、明治時代の日本酒と焼酎の関係を軸に、江戸から明治、そして現代へと続く酒の変化を歴史的背景とともにわかりやすく解説します。

明治日本に定着した「アルコール」という存在

アルコールという言葉は、酒の主成分であると同時に、工業原料、燃料、医薬品、化粧品原料としても使われる物質です。
明治以降、日本ではこのアルコールが早い段階から「酒の原料」として利用されるようになりました。

やがてアルコールは、ビールと本格焼酎を除く多くの酒類に不可欠な存在となり、日本の酒の内部に深く組み込まれていきます。
その第一段階が、まさに明治時代だったのです。

明治初期の日本酒が抱えていた深刻な問題

日本酒は、日本の風土が生んだ民族の酒であり、明治初期においても酒の中心的存在でした。
しかし当時の清酒造りには、どうしても解決できない重大な技術的課題がありました。

それが、
・発酵中にもろみが腐る「腐造」
・貯蔵中に酒が劣化する「火落ち※」
という課題です。

火落ちした日本酒は白く濁り、強い酸味と悪臭を放ち、商品価値を完全に失いました。
こうなった日本酒は、捨てるか、酢の原料にするか、蒸留して焼酎にするしかなかったのです。
※火落ちは、製成酒が貯蔵中に変敗すること

焼酎の役割――「救済」と「補強」の酒

この時代の焼酎は、日本酒の副産物でした。
新酒の粕や、酸敗してしまった清酒を蒸留することで作られ、全国の日本酒産地で製造されていたのです。

さらに焼酎は、
・弱い日本酒に加えてアルコール度数を補強する
・火落ちを防ぐ

という用途でも使われ、「柱焼酎(はしらしょうちゅう)」と呼ばれました。
ただし、蒸留時に発生する焦げたような香りが日本酒の品質を損なうため、このやり方には限界があったのです。

輸入アルコールがもたらした日本酒の激変

そこで登場したのが、高純度の輸入アルコールです。
その頃のヨーロッパでは、連続式蒸留機が導入され、安価で高品質な飲用可能なアルコールが製造されていたのです。

この輸入アルコールを日本酒に加えても、不快な香味は生じません。

そのアルコール添加によって、
・火落ちを防げる
・酒量を簡単に増やせる
・原価を大幅に下げられる
という利点が生まれました。

明治30年代には、アルコールを混和した日本酒が急増。
混成酒と呼ばれ、市場を混乱させます。
本来の米だけで造る真っ当な日本酒製造者は、そのあおりを受けて深刻な経営難に追い込まれてしまいます。

政府による規制と酒税政策

この状況を看過できなかった政府は、次々と対策を打ち出しました。

・自家製濁酒・焼酎の禁止
・通商条約改正によるアルコール関税引き上げ
・酒税法・酒精含有飲料税法の制定

これにより、混成酒は急速に姿を消し、日本酒産業は一定の安定を取り戻します。

戦争とともに進んだアルコール添加

太平洋戦争期、食糧不足、特に米の供給は極端に悪化。
当然、日本酒造りに回すお米も足りません。

そこで、明治期に規制した混成酒が復活します。
1943(昭和18)年から、アルコール添加による日本酒の増産が行われ、アルコール添加酒は広く普及されることとなります。
また、戦争が終わった1949(昭和24)年からは三倍増醸法が導入。

そして、この”アルコール添加した”日本酒は現代においても、続いているのです。

このアルコールは、水で薄めて商品化したものが、甲類焼酎。
つまり、現代の日本酒と焼酎は、原料レベルで密接につながっているのです。

よくある質問|アルコールと日本酒に関するFAQ【Q&A】

Q1. 明治時代の日本酒はなぜ腐りやすかったのですか?

A. 温度管理や衛生技術が未熟で、火落菌による変敗を防ぐ手段が限られていたためです。

Q2. なぜ焼酎が日本酒造りに使われたのですか?

A. 火落ち防止や酒質補強のため、「はしら焼酎」として添加されていました。

Q3. 混成清酒とは何ですか?

A. 日本酒に輸入アルコールなどを混和して増量した酒で、明治後期に急増しました。

Q4. 現代の日本酒にもアルコールは使われていますか?

A. 醸造アルコール添加酒には使用されていますが、純米酒には使用されていません。

明治がつくった「現代日本酒」の原型

ぃかがでしたか。
私たちが飲んでいる日本酒の多くは、明治時代に確立された「アルコールと共存する酒」の延長線上にあったのです。
日本の酒の歴史を理解するうえで、明治時代は「日本酒と焼酎、そしてアルコールが家族になった時代」だったと言えるでしょう。

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