【麦焼酎】閻魔 | 老松酒造(大分県日田市)
麦焼酎は、クセもなくクリアな味わいが人気。
ウイスキーのような木樽熟成の焼酎も見かけます。
ハイボールのウイスキーの代わりベースとしても優秀ですよね。
また、コンビニで手軽に購入できるのも魅力。
今回は、老松酒造の「閻魔(えんま)」をご紹介します。
水、麦100%、木樽長期熟成をキーワードにして大分焼酎の魅力に迫ります。
老松酒造の水
老松酒造は、大分県日田地方にあります。
創業は、寛政元年(1789)と古い蔵元です。
酒造りを始めたのは、日田地方にある老松神社の泉の清浄な水がきっかけといいます。
老松酒造がある大分県の日田市は、今でも古い街並みが残り、九州の小京都として人気の観光スポット。
かつて、江戸時代には幕府の直轄地である天領でした。
その理由は、阿蘇山を水源とした筑後川が育む水資源を保護するためだったといいます。
今でも、豊かで質の良い水を求めて、大手ビールメーカー醸造所や大手焼酎メーカーの蒸留所が集まっています。
焼酎の味わいや香りに影響を与えるのは、原料である芋や麦、米だけでなく、水も重要。
実際、焼酎の成分は7〜8割は水、2〜3割がアルコールといわれています。
焼酎の仕込みに使用する水は、焼酎の酒質に大きな影響を与えるのです。
そのため、焼酎を製造する地域には、日田市のように例外なく高品質の水源が存在するのです。
大分県の麦焼酎
今では麦焼酎作りが盛んな大分県ですが、もともと清酒の生産が主流。
焼酎といえば、江戸時代に、清酒の搾り粕が原料に作られる粕取り焼酎でした。
明治時代中期から、他の穀物を使った焼酎生産が行われるようになり、麦焼酎も米麹で作られるように。
1973年に二階堂酒造が大麦麹を使用した、大麦100%の麦焼酎を開発し、翌年に発売。
その後、この二階堂酒造や、「いいちこ」などを展開する三和酒類によって、大分発の麦焼酎が日本中で大きく注目を集めるようになります。
2007年1月には「大分麦焼酎」、6月には表記を変えた「大分むぎ焼酎」が、地域団体商標(地域ブランド)として登録。
大分県は、単式蒸留麦焼酎の出荷量で全国1位となっています。
鹿児島県などで芋焼酎をメインに製造しているメーカーの中には、芋の生産のない時期に麦焼酎を醸造し、大分県のメーカーにいわゆる「桶売り」をしている蔵もあるといいます。
麦焼酎とは
麦は、古代から人類にとって重要な食材であり、世界中で酒づくりにも利用されています。
イギリスではウイスキーの原料として有名ですが、日本でも古くから焼酎が作られていました。
中でも、長崎県の壱岐島と大分県が有名。
壱岐島では、16世紀に蒸留の技術が大陸から伝わり独自の発展を遂げ、麦焼酎の発祥地とされています。
その壱岐の麦焼酎は、麦を2/3、米麹を1/3の割合で使用しますが、1970年代に大分県から始まった100%麦焼酎のブームでは、麦麹が注目を集めました。
麦を主成分とした麦焼酎は、麦特有の香りと軽快な風味が楽しめ、今でも多くのファンに支持されています。
一方、芳醇な麦の味わいが楽しめる個性的な麦焼酎も多く登場。
木樽で長期熟成した焼酎も人気になるなど、多彩な品質の製品が提供されています。
最近の麦焼酎
麦焼酎の原材料である麦には、二条大麦が使用されることが圧倒的に多いです。
二条大麦は明治初頭にビールの原料として、ヨーロッパから持ち込まれた品種でビール麦とも呼ばれています。
食用として使われる六条大麦よりもでんぷん含有量が多く、醸造特性に優れているのが特徴。
そんな麦焼酎ですが、最近では、麦焼酎は主にすっきり系、香ばし系、樽貯蔵系の3タイプに分けられるといっていいでしょう。
すっきり系はロックか水割りがおすすめです。
水割りはクセがないので、食中酒としてどんな料理とも好相性。
香ばし系はロックで飲めば焦がした麦のような香りを楽しむことができます。
木樽で熟成させた樽貯蔵系はウイスキーのような味わいが魅力。
炭酸で割って今流行のハイボール風にするのもおすすめです。
今では、バーボン樽やシェリー噂、ブランデー樽といったバラエティ豊かな樽の香りを使った焼酎が販売されています。
それぞれの良さを楽しめるのも魅力です。
閻魔とは
今回、ご紹介するのは「閻魔」。
「閻魔」とは、冥界の王の名前です。
この「閻魔」をはじめ、プレミアム焼酎の「魔王」や「魔界への誘い」、「天使の誘惑」といった銘柄名が多いのは、焼酎が違う世界に誘う飲み物だといわれているからです。
焼酎は、アルコール度数が高いため、強酔することが多いお酒。
日本酒のアルコール度数は15度前後ですが、焼酎は25度が一般的で、酔いの強さも相当なもの。
焼酎を飲んで酔って変わり果てた様子を、この世の者ではないと表現していたかつての名残りのようです。
閻魔の味わい
閻魔の蒸留法は、減圧蒸留を採用しています。
大分麦焼酎の人気に火がついたのは、この減圧蒸留タイプの麦焼酎が登場してからといわれています。
それまでの蒸留法は、発酵液である醪(もろみ)を100度近い温度に沸騰させていました。
減圧蒸留は沸騰温度が低いため、焦げ臭などの少ないすっきりとした焼酎ができるようになったのです。
麦焼酎が、九州だけでなく全国的に広がったのは、麦100%焼酎の開発と併せてこの減圧蒸留が大きく寄与したのです。
このタイプは、華やかで上品な香りと、柔らかく後味にシャープな印象を含んだ味わいが特徴。
熟成焼酎とウイスキー
閻魔は、木樽で3年超熟成した長期貯蔵の麦焼酎。
木樽で長期熟成した焼酎は、ウイスキーのようにハイボールがよく似合います。
ウィスキーと麦焼酎は、同じ麦を原料にしているので、比較されることが多いです。
共通点として、焼酎は、単式蒸留と連続蒸留で乙類と甲類に区別されますが、ウイスキーも蒸留方法と原料麦の種類でモルトとグレーンに分けられること。
また、違いといえば、焼酎は醪を造るのに麹を使いますが、ウイスキーは麦芽を使うことが挙げられます。
ちなみに、焼酎が長い間、熟成を必要としなかったのは、発酵期間の長さのためといいます。
麦芽を使うウィスキーでは、数日程度の発酵でアルコール分が得られるのに対し、麹を使う焼酎は、3週間程度にわたる長期発酵が必要。
長期発酵の焼酎は、「ガス臭」と呼ばれる独特の臭みが発酵中に消えてしまうため、造りたての新しい酒でもおいしく飲むことができるのです。
まとめ
いかがでしたか。
今回は「閻魔」とともに、大分焼酎の魅力をご紹介しました。
ウイスキーも良いですが、長期熟成の麦焼酎もおすすめです。
今夜は「閻魔」で、ハイボールを楽しんでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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