
焼酎はなぜ「食中酒」なのか?世界の蒸留酒文化から見える本当の姿
「焼酎は食中酒です」と言うと、意外に思う方もいるかもしれません。
ウイスキーやブランデーのイメージから、「蒸留酒=食後酒・強い酒」という印象を持っている人も多いからです。
しかし実は、世界の蒸留酒の多くは、もともと“食中酒”として飲まれてきました。
焼酎もその大きな流れの中にあります。
この記事では、焼酎を含む世界の蒸留酒文化をたどりながら、「なぜ焼酎は食中酒として定着したのか」をひも解いていきます。
目次
蒸留酒のはじまりは「食事とともに飲む酒」だった
蒸留酒(スピリッツ)がいつ誕生したのかは、実ははっきりしていません。
ただ、日本の焼酎や沖縄の泡盛は、大陸から沖縄を経由して伝わったという説が有力です。
興味深いのは、アジアに広がった蒸留酒文化が、ほぼ例外なく「食中酒」として発展してきたという点です。
一方、西洋では蒸留酒は「生命の水(アクア・ヴィタエ)」と呼ばれ、もともとは医薬品として扱われていました。その後もヨーロッパでは蒸留酒は食後酒としての位置づけが強く、料理と合わせて飲む文化は主流にはなりませんでした。
この違いが、アジアとヨーロッパの蒸留酒文化を大きく分けています。

中国・韓国に見る「蒸留酒=食中酒」という考え方
中国では古くから宮廷料理文化が発達し、「満漢全席」に代表されるように、非常に品数の多い食事が楽しまれてきました。
そこで重視されたのは、料理との繊細なマリアージュというよりも、食事をしながら消化を助けること。
その結果、アルコール度数の高い白酒(茅台酒など)が、食中酒として定着していきます。
焼酎は中国から朝鮮半島にも伝わり、現在の韓国でも焼酎はビールに次ぐ国民的なお酒です。
韓国焼酎は連続式蒸留で造られ、度数は20度前後。やや甘みがあり、ストレートで料理と一緒に飲まれるのが一般的です。
キュウリを入れた容器で焼酎を飲む習慣もあり、青い香りが加わることで、風味が変化し、脂の多い料理とも合わせやすくなります。
ここでも焼酎は、完全に「食事の酒」なのです。

世界を見渡すと、蒸留酒はむしろ食中酒が主流
東南アジア・中近東・インド周辺・東ヨーロッパには、アラックと呼ばれる蒸留酒の原型があります。
原料は米、ヤシ、穀類などさまざまで、沖縄の泡盛もこの流れをくむ酒といわれています。
油分の多い料理を食べる地域では、消化を助けるために、アルコール度数の高い酒を食中に飲む文化が根づきました。
東ヨーロッパでは、前菜とともにラキア(果実系蒸留酒)を飲み、
ロシアやポーランドではウォッカ、
北欧ではアクアヴィットが食中酒として飲まれてきました。
北欧の場合は、料理との相性以上に「体を温める」目的も大きく、寒冷地ならではの生活の知恵ともいえます。

フランスにもあった「蒸留酒を食事中に飲む習慣」
ヨーロッパでも例外は存在します。
フランス・ノルマンディー地方には、「トルー・ノルマン(ノルマン人の胃袋の穴)」という風習があります。
これは、メイン料理とメイン料理の間に、リンゴの蒸留酒カルヴァドスを一気に飲み、胃を刺激して食欲を呼び戻すというもの。
現在フランス料理で出される「ソルベ」は、この習慣が形を変えたものだといわれています。
ここでも蒸留酒は、「食後の酒」ではなく、「食事を進めるための酒」だったのです。

蒸留酒が食中酒になる地域の共通点
蒸留酒を食中に飲む地域を大きく分けると、共通点が見えてきます。
・暑い地域
・寒い地域
暑い地域では、香辛料の効いた脂っこい料理を消化するため。
寒い地域では、体を温めるため。
どちらもアルコール度数は40〜60度前後と高く、生理的な必要性と結びついて発展した食中酒文化といえます。
南米にもある「食中に飲まれる蒸留酒」
南米でも蒸留酒は食中に楽しまれています。
ペルーのピスコサワーは、ブドウの蒸留酒ピスコをベースに、卵白・レモン・砂糖・炭酸を加えたカクテルで、食事と一緒に飲まれます。
ブラジルのカイピリーニャは、サトウキビの蒸留酒カシャーサにライムと砂糖を加えたもの。
日本で泡盛にシークワーサー、焼酎にカボスを合わせる感覚に近い存在です。

焼酎が食中酒であることは、世界基準
日本や韓国の焼酎は、度数を20〜25度ほどに抑えて造られています。
これは温帯地域に適応した結果であり、料理と一緒に長く飲むための酒質設計ともいえます。
蒸留酒=食後酒というイメージは、実は一部の国の文化にすぎません。
ロシア、中国、東欧、東南アジア、南米を含めて見れば、蒸留酒の大半は食中酒として飲まれてきたのです。
焼酎を食事とともに楽しむスタイルは、日本独自どころか、むしろアジアから世界へと広がった、きわめて自然な飲み方だといえるでしょう。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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