
焼酎ブームの歴史|九州の地酒から全国的人気酒へ
日本人は、いつから焼酎を飲み始めたのでしょうか。
焼酎の歴史は古く、約500年以上前にさかのぼります。
16世紀にはすでに焼酎の存在が記録されており、1546年に書かれた宣教師への書簡にもその名が登場しています。
長いあいだ焼酎は、鹿児島や熊本など九州を中心に飲まれる地域の酒でした。
しかし時代の流れとともに少しずつ広がり、やがて全国の酒好きに愛される存在へと成長します。
ここでは、焼酎がどのようにして日本全国へ広がり、何度ものブームを経て現在に至ったのか、その歴史をたどります。
目次
1960年頃まで|焼酎は九州の地酒だった
かつて焼酎は、主に南九州で親しまれていた酒でした。
芋や穀物を原料に造られる焼酎は、鹿児島や熊本などの地域で日常的に飲まれていたのです。
当時の芋焼酎は、芋と米麹、水を同時に仕込み、単式蒸留機で蒸留。
こうして生まれる酒は、原料の風味をしっかりと感じる力強い味わいが特徴でした。
明治時代後期になると、日本に連続式蒸留機が輸入されます。
この技術によって高度に精製されたアルコールが造られるようになり、水で割った

新しいタイプの焼酎
が誕生しました。
クセが少なく大量生産が可能なこの焼酎は、全国で広く飲まれるようになります。
酒税収入の増加にもつながり、当時の国家財政にも大きく貢献したといわれています。
戦後の1949年には酒税法が改正され、焼酎は次のように分類されました。
◆甲類焼酎:連続式蒸留機で造る焼酎
◆乙類焼酎:単式蒸留機で造る焼酎
当時、都市部で人気を集めていたのは甲類焼酎でした。
東京の下町では、梅などのシロップを加えて飲むスタイルも流行し、庶民の酒として親しまれていました。

「レモンサワー」
一方、芋焼酎などの乙類焼酎は、九州では地元の蔵元の酒を飲むのが一般的でした。
1970年代|本格焼酎が東京へ進出
1970年代、日本では地方文化への関心が高まりました。
そのきっかけとなったのが、旧国鉄が展開した「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンです。
この流れの中で、1975年に鹿児島の芋焼酎「さつま白波」が東京へ本格的に進出しました。

「さつま白波」
当時話題になったのが、焼酎を6:お湯4で割る「ロクヨン」のお湯割り。
テレビCMでも紹介され、焼酎の飲み方として広く知られるようになります。
同じ頃には
・雲海(そば焼酎)
・二階堂(麦焼酎)
・白岳しろ(米焼酎)
などが登場し、焼酎の世界は大きく広がりました。
減圧蒸留機の導入によって、よりマイルドな味わいの焼酎が生まれたことも、人気拡大の大きな要因です。
さらに「乙類焼酎」という呼び方が「本格焼酎」へ定着したことも、イメージアップに貢献しました。
1980年代|チューハイブームで焼酎が大衆化
1979年に登場した麦焼酎「いいちこ」は、日本の焼酎史に残る大ヒット商品となりました。
「下町のナポレオン」という印象的なキャッチコピーと、飲みやすい味わいが人気を呼び、1980年代には全国的なブームを巻き起こします。
同じ頃、焼酎の新しい飲み方として広まったのがチューハイです。
1980年には焼酎割り用の炭酸飲料「ハイサワー」が登場。

「ハイサワー」
さらに缶入りのチューハイ商品も発売され、居酒屋や家庭で気軽に焼酎を楽しむ文化が広がりました。
この時期、焼酎は「庶民の酒」として日本中に定着していきます。

「タカラカンチューハイ」
2000年前後|芋焼酎の空前の大ブーム
21世紀に入ると、本格焼酎は再び大きなブームを迎えます。
中心となったのは、香り豊かな芋焼酎でした。
このブームを支えたのが、
・黒麹を使った新しい酒質
・原料芋コガネセンガンの品質向上
・蔵元による品質管理の徹底
といった、長年の技術革新です。
この時期には、
・黒霧島
・佐藤
・富乃宝山
などの銘柄が人気を集め、入手困難になるほどのブームとなりました。

右から「黒霧島」、「佐藤」「富乃宝山」
2003年には、本格焼酎の出荷量が日本酒を上回るという歴史的な出来事も起こります。
都市部では焼酎専門バーが次々と誕生し、若者から女性まで幅広い層が焼酎を楽しむようになりました。
現在|焼酎は日本の定番酒へ
在、焼酎ブームは落ち着いたように見えるかもしれません。
しかし実際には、焼酎は日本の晩酌文化にしっかりと根づいています。
酒販店やスーパー、コンビニでも多くの銘柄が並び、全国どこでも気軽に購入できるようになりました。
さらに近年では、鹿児島大学の研究によって芋焼酎が食後の血糖値の上昇を抑える可能性が示されるなど、健康面からも注目されています。
また、焼酎は
・お湯割り
・水割り
・ソーダ割り
など、自分好みの濃さで楽しめる自由度の高い酒でもあります。
また、原料となる芋の品種も増え、飲み比べの楽しみも広がっています。
まとめ|焼酎ブームは進化し続けている
焼酎はもともと九州の地酒でした。
しかし技術革新や時代の流れの中で、日本全国へ広がり、何度ものブームを生み出してきました。
「地域の酒としての時代」〜「本格焼酎の全国進出」〜「チューハイブーム」〜「芋焼酎ブーム」
こうした歴史を経て、焼酎は今や日本の定番酒のひとつになっています。
そして現在も、原料や製法の多様化によって、焼酎の世界はさらに広がり続けています。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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