【芋焼酎】知覧 武家屋敷 | 知覧醸造(鹿児島県南九州市知覧町)
目次
原料のサツマイモや伝統製法にこだわる蔵元
知覧醸造は、鹿児島県南九州市にある焼酎蔵です。地元産のサツマイモや伝統製法にこだわった蔵元として、多くのファンに親しまれています。
1919年(大正8年)の創業以来、昔ながらの伝統製法を大切にしています。4代目当主・森暢氏は杜氏も兼任。「小さい蔵だからやれること、やらなければならないこと、そしてやってはいけないことがある」という先代である3代目・森正木氏の信念は今に受け継がれています。
ほかの製法では表現できない唯一無二の味わいを引き出すべく、五感を最大限に生かした焼酎造りにこだわり、高品質の焼酎造りを続けています。
「機械で造るな、五感で造れ」という教え
機械化・自動化が進むなか、知覧醸造では「機械で造るな、五感で造れ」という先代の教えを守っています。
その教えは、焼酎の酒質を決定づけるといわれる麹作りに最も現れています。
現在の麹作りは、昭和40年代に登場した自動製麴機が主流ですが、蔵元は昔ながらの回転ドラムと三角棚を使用しています。
機械ではなく、五感を働かせながら素材と対話し、原料が持つ本来の風味や香り、旨味を素直に引き出していくのだといいます。
知覧地区は薩摩の小京都
南九州市は薩摩半島の南部に位置しています。2007年に頴娃(えい)町・川辺町・知覧町の3つの町が合併して誕生。
東シナ海に面した海岸と、標高466mの大野岳で構成される薩南海岸県立自然公園を擁しており、自然の一大パノラマが広がる景勝地が多くあることでも有名です。
知覧醸造が蔵を構える知覧地区は、江戸時代から続く立派な門を持つ武家屋敷が立ち並んでいるため、「薩摩の小京都」と呼ばれています。武家屋敷は、江戸時代から残る武士の住居。薩摩藩は他藩に比べて武士の数が多く、人口の4分の1を占めていました。多くの武士は本城である鹿児島城周辺ではなく、領地内に分散して住んでおり、江戸時代末期には最大で120箇所もあったといいます。知覧の武家屋敷もその中のひとつというわけです。
知覧醸造の代表銘柄である「武家屋敷」のネーミングの由来はここにあったのでした。
知覧はお茶の栽培が盛ん
知覧はお茶の栽培が盛ん。「知覧茶」は市町村の中で日本一の生産量を誇ります。歴史は古く、伝来は鎌倉時代。江戸時代初期(1659年)には生産が始まり、享保年間(1716〜1736年)には江戸幕府に献上されたといいます。
知覧でお茶づくりが盛んになったのは、焼酎の主原料であるサツマイモと同様の理由からです。それは、桜島の火山灰が堆積したシラス台地によるもの。水はけがよく、ミネラルをふんだんに含んだ土壌は、お茶の栽培にも最適だったのです。
また、シラス台地が濾過した良質で豊富な天然水と、寒暖の差が激しく霧が深い気候もコクのあるお茶の味わいに一役買っています。
知覧の特色ある自然は、サツマイモだけではなくお茶づくりにも大きな影響を与えているのでした。
お茶を原料にした「知覧Tea酎」を開発
知覧醸造は、そんお茶を原料にした「知覧Tea酎」を開発。蔵元はかつて、お茶の栽培を手がけおり、その経験を活かしあ新しい焼酎づくりに挑戦したのです。
2022年東京ウイスキー&スピリッツコンペティション焼酎部門の金賞、2021年Kura Master本格焼酎・泡盛コンクール 芋焼酎部門のプラチナ賞など数々の賞を受賞します。お茶をフレーバーとしてただ添加するのではなく、原料とした発想は焼酎の可能性を広げるものだとして、大きな注目を集めたのでした。
蔵元では、伝統的な製法など、守るべきところは守りながら、新しい試みに「五感を大切」にしたチャレンジを続けていくことでしょう。
「地元の風土と伝統を体現した」芋焼酎造り
蔵元で使うサツマイモは、すべて地元の南九州産です。収穫したばかりのサツマイモをすぐに洗浄し、手作業で下処理。質がよいサツマイモを新鮮な状態で仕込めるのは、地元産を使っているからこそ。出来上がった焼酎は、濃厚なサツマイモ特有の甘みや香り感じられ、とても飲みごたえがあります。
南九州市の肥沃な土地に育まれたサツマイモは、良質であるだけではなく、量も豊か。南九州市のサツマイモの生産量は日本一なのです。蔵元が目指す「地元の風土と伝統を体現した」芋焼酎造りは、豊富なサツマイモによって支えられているといってもいいでしょう。
知覧醸造の代表銘柄である「知覧 武家屋敷」
今回ご紹介するのは、知覧醸造の代表銘柄である「武家屋敷」。この芋焼酎は、南九州産の黄金千貫を使用。伝統的な麹米であるタイ米が使われています。毛筆のような書体で「武家屋敷」と書かれたラベルは、薩摩の芋焼酎ならではの雰囲気があります。りんごやハチミツを思わせる甘い香りが印象的。
口に含むと、さらりとしていて、飲み心地がよいのが特徴。蒸したサツマイモの甘い香りが、しっかりと感じられます。良質な割り水は酒質に奥行きを与え、頬をぽってり膨らませるような重みを感じさせます。後口の渋みがアクセントとなって、しっかりとキレていきます。
飲み方はお湯割りがオススメ。濃厚なサツマイモの香りがアロマ効果となって鼻腔をくすぐります。
また、良質な南九州の水を感じたい場合は、ロックで飲むのも良いでしょう。
〈銘柄データ〉
【知覧 武家屋敷】
知覧醸造/鹿児島県南九州市知覧町塩屋24475
主原料/芋(黄金千貫)
麹/白麹(米)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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