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焼酎はお燗が王道スタイル?! その飲み方からオススメの酒器までご紹介します

焼酎の飲み方は、さまざま。
お湯割りやロック、ストレートは、焼酎ならでは、の飲み方ですが、実はお燗もオススメ。
熱燗というと、清酒の飲み方として一般的ですが、さにあらず。
今回は、焼酎の熱燗についてご紹介します。

お燗とお湯割りとの違いは?の画像

お燗とお湯割りとの違いは?

お燗は焼酎を温めて飲むということ。
一方、お湯割りは、焼酎をお湯で割って飲むということ。

今ではお湯割りの方が一般的で、馴染みがあります。
電子ポットが良き相棒。
直火でいちいちお湯を沸かしていたのでは、杯を重ねるたびに手間がかかって仕方がありません。

しかし、電子ポットが普及する前は、

焼酎は前日に割り水をして一晩寝かせて、燗をして飲むのが一般的でした。
-引用 「ブームに先駆けて芋焼酎のブランドを確立」
商工ジャーナル2006.12

焼酎のお湯割りは、実は飲み方としては後発だったのです。

お燗が王道スタイルの画像

お燗が王道スタイル

後発は何も、お湯割だけではありません。
ロックやソーダ割りも後発です。

ロックやソーダ割りには、氷が必要。
今でこそ、氷は当たり前のように存在しますが、かつては貴重なものでした。
1970年代になって、ようやく製氷が可能な2ドア式冷凍冷蔵庫の普及がはじまったのです。
それまでの家庭では、冷蔵庫で冷やした水か、常温の水道水しかなかったのです。

お燗の飲み方

歴史的な背景として、焼酎のお燗が王道スタイルだったのです。
ただ、お燗の飲み方には素敵なスタイルがあるのです。

焼酎のお燗は前割りでの画像

焼酎のお燗は前割りで

焼酎は、醸造酒である清酒と違いアルコール度数が高いです。
そのままお燗をしたのでは、辛くて飲みづらいと思う方も多いハズ。
そのため、古くから「割り水」をして飲まれていました。

江戸時代の文献にも

「小水通わざるは焼酎あるいは泡盛を冷水に和して、これを飲するときは、すなわち験あり」-引用:本朝食鑑,人見必大 (著)島田勇雄 (訳),東洋文庫,1976

とあります。

ただ、「割り水」は「水割り」とはニュアンスが違います。
「水割り」は焼酎を飲む直前で割るのに対し、「割り水」はあらかじめ焼酎を水で割り、寝かせておくこと。

そのため「割り水」のことを前割りと呼ぶのです。

前割りの作り方

前割りをすると、水と焼酎がとろりと溶け合って、驚くほどまろやかな味になります。
前日でも十分ですが、3日~1週間寝かせても味の変化があって楽しいかも。
少し手間かねしれませんが、ぜひトライしてみてください。

ミネラルウォーターの画像

ミネラルウォーターで

前割りに使う水は、ミネラルウォーターをおすすめします。
焼酎の成分は、ほとんど水とアルコールなので、割り水は最後の”原料”。
硬水よりは軟水をオススメします。

比率の画像

比率

焼酎をお湯割りで楽しむ場合の比率は、「ロクヨン」が有名です。
そして、この「ロクヨン」は前割りでも応用できそう。
前割りの良い点は、寝かせることによって味がこなれるので、どういう割合で割っても
焼酎の旨さが際立ちます。
アルコール度数の低いほうが好みというのであれば、少し多めの水で割るのもおすすめ。

いずれにしても、自分にあった黄金比率を見つけて楽しむのが一番ですね。

どうやって飲む

焼酎をお燗で飲むには、前割がオススメですが、他のエリアによってもスタイルが違うようです。
それでは、本場九州のエリアごとの飲み方をご紹介します。

鹿児島の画像

鹿児島

鹿児島は温暖なので清酒造りには適していませんでした。
理由は2つ。
・シラス台地で稲作に不向きであったこと
・温暖な気候のため、清酒造りに不向きであったこと(黄麹の腐敗)

そのため、鹿児島では、清酒のようにアルコール度の低いものにするために、焼酎は割って飲むようになり、前割りは鹿児島が発祥だといわれています。

酒器には「チョカ」を使います。
チョカとは正式には「茶家」と書きますが、ルーツは琉球の「茶家」といわれている土瓶の一種。
薩摩焼きの陶器で黒色をした黒薩摩のものを「黒ヂョカ」といいます。
黒ヂョカは、沸かしたお湯で温める徳利と違って、直火で温めるのが特徴。
というのも、昔の熱機器は囲炉火と火鉢が一般的で、その上にただ乗せるための方が、効率が良かったためです。
黒ヂョカは、底が平べったい独特の形をしていますが、その理由は、熱伝導と囲炉火の上でも安定感があったから。

歴史も相当古く、江戸後期の書物に記述があるほどです。

「質厚く、色も薄黒く、烈火にかけて破るることなし」
-引用 : 橘南谿,東西遊記,東洋文庫,1974

カッポ酒の画像

宮崎

宮崎の焼酎の最大の特徴はアルコール度数が20度であること。
なので、焼酎のお燗は今でも一般的。

また、宮崎県北部の高千穂エリアには、有名なカッポ酒があります。
カッポ酒というのは、お燗の一種で、直径二寸位の青竹の節に小穴をあけ、この中に清酒や焼酎を入れ、焚火で温めて飲むもの。
焚火によって竹の油と香りが焼酎にうつり、豊かな風味と香りが醸し出されるのがなんとも味わいがあります。
焼酎を注ぐとき、中節にあいた小さな穴をとおして空気と酒が入れかわり「カッポ」「カツポ」と音がするので、このような呼び名がつけられたといいます。

鳩間の画像

球磨

熊本県の人吉を中心とする球磨地方は米焼酎が有名。
かつては、25度、40度の焼酎をそのまま薄めず、カラという酒器に入れ、五徳にかけ燗をして飲む習慣があったようです。
そのため、アルコールの蒸気が鼻をささないように、球磨の猪口は、直径二㎝くらいと清酒の杯よりも小さい、口のひらいていないものか使われていました。
今では、25度か普通になっているるので、清酒のお猪口で飲む事が多いそうです。
また、米焼酎は、割り水をしないでそのまま燗につける「直燗」にすると、甘くなって味わい深くなります。

壱岐の画像

壱岐

麦焼酎の発祥の地といわれる壱岐島。
玄海灘に浮かぶ小さな島です。
麦焼酎の歴史は古いのですが以外にも、焼酎独自の酒器はなく清酒用徳利で燗をつけるようです。

酒器のご紹介

お燗の作り方は、豊富な酒器で楽しむのがオススメです。
ただ、お燗の先輩格である清酒にあやかるのも一考かな、と思います。
焼酎、清酒にとらわれない、お燗用の酒器をご紹介します。

 

江戸切子ちろり赤(中子付き)の画像

協力:廣田硝子株式会社

・「江戸切子ちろり赤(中子付き)」/廣田硝子
廣田硝子は1899年に東京で創業。東京で最も歴史のある硝子メーカーの一つです。
近代にヨーロッパから伝わったガラス製造は、日本の美意識と融合し、日本独自のデザインを開花させました。 廣田硝子は、創業より社に伝わる貴重なデザイン資料を元に、江戸切子や吹き硝子など脈々と受け継がれる手仕事による伝統的製造を継承し、 現代のインテリアに調和するプロダクトを作り続けています。
廣田硝子公式HP : https://hirota-glass.co.jp/

酒器セット 風花の画像

協力:大阪錫器株式会社

・酒器セット 風花/大阪錫器
大阪錫器は錫器の製作を専業とする会社です。
「現代の名工」今井達昌(伝統工芸士)を代表とし、国認定の5名の伝統工芸士、20名の男女が従事しています。
大阪錫器の技術は、江戸時代後期に京都から大阪に普及した京錫の流れをくむ初代伊兵衛(錫伊)に発し、代々大阪で隆盛を極めました、 昭和24年、今井弥一郎によって「大阪錫器株式会社」が設立されると、 今日まで伝統工芸の技術と育成が伝承されました。
時代を経ると共に、技術・技法は洗練され、一部は現在生活にマッチした形へと変化しましたが、そのモノづくりの技と精神は今も引き継がれています。
大阪錫器公式HP : http://www.osakasuzuki.co.jp/

・薩摩 一合茶家 無地黒千代香/荒木陶窯
1867年(慶応3年)には、島津藩が単独で出品したパリ万博において、薩摩焼はヨーロッパの人々を魅了し、世界に「SATSUMA」の名を轟かせました。
荒木家は串木野の島平に上陸した渡来陶工、朴家の末裔であり幾多の歴史的苦難を乗り越えて、苗代川焼伝統の技と心を今日に伝えております。
-引用 荒木陶窯HP : https://arakitoyo.com

まとめの画像

まとめ

いかがでしたか。
焼酎の飲み方の中で、実は熱燗が王道スタンダードといえるのでした。
また、前割りのような素敵な飲み方があったのですね。
みなさんも是非、一晩寝かしたまろやかな焼酎で、熱燗を楽しんでみてください。

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