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焼酎の一般的なアルコール度数は? 20度の焼酎を検証!

2022-02-12

焼酎の度数は20度か25度が主流ですが、40度近い原酒や10度台の低アルなど、じつは多様です。
今回は、度数の違いに注目しながら、20度の焼酎について探っていきましょう。

焼酎のアルコール度数のデフォは?

焼酎のアルコール度数のデフォルトは、20度と25度といってもよいくらい多いです。
メーカーによっては、同じ銘柄の焼酎で20度と25度の両方を発売しているところもあります。

焼酎はアルコール度数が多様

20度と25度の違いの画像
20度と25度の違い

20度と25度の違いは、一言でいうと希釈度の違いです。
蒸留したての焼酎のアルコール度数は、通常36~38度程の「原酒」。
多くの焼酎メーカーは、原酒に加水して薄めることで、20度ないし25度にアルコール度数を調整しています。

ところで、焼酎のアルコール度数に20度と25度が多いのはなぜでしょう?
諸説ありますが、有力なのは酒税法によるという説です。
まず20度について。酒税法では、酒類ごとに税率が加算される基準のアルコール度数が定められています。
これを下回る度数なら一律同額の課税ですが、これを上回ると1度ごとに一定額が課税されます。
蒸留酒類では、その基準が21度未満。
つまり、税率が加算されないギリギリのラインが20度なのです。

酒税法の画像

25度についても諸説ありますが、有力説はやはり、酒税法に関係するもの。
昭和15(1940)年に制定された旧酒税法では、基本税率の基準が26度未満でした。
26度を超えると1度上がるごとに1キロリットルあたりの税額が上がってしまうため、25度の焼酎が主流になりました。
これが定着し、法改正後もなお25度が多いのではないかといわれています。

-参考 「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達」国税庁

割り水とはの画像
割り水とは?

割り水とは、焼酎の原酒を薄める際に使われるの水、またはその工程のことです。割り水には、焼酎を仕込むときの水と同じ水が使われるので、原酒とよく馴染みます。
例えば、「黒霧島」(霧島酒造)の割り水には「霧島裂罅水(きりしまれっかすい)」、「大自然林」(本坊酒造)の割り水には屋久島の天然水が使われています。

20度・25度以外の焼酎

焼酎は、20度や25度以外にも、40度近い度数の原酒から14度程度の醸造酒並みの商品まで幅広い度数のものがあります。

原種の画像
原酒とは

割り水されていない焼酎を、焼酎の「原酒」といいます。厳密には、蒸留後に一定期間の貯蔵熟成を経て、割り水されずに瓶詰されて出荷される焼酎です。
原酒のいちばんの特徴は、度数が高いこと。割り水をしていない分、原材料の香味をダイレクトに感じることができます。

割らない焼酎の画像
割らない焼酎

最近では、割らない焼酎も登場しています。
焼酎業界は、20~30代の新規ユーザーの開拓に苦戦しています。これを打開するべく、低アルの手軽に飲める商品の開発が盛んになっています。
本格麦焼酎「百年の孤独」で知られる黒木本店は、加水して度数を14度まで下げた本格芋焼酎「球(きゅう)」を発売しました。
また、「黒伊佐錦」の大口酒造は、カップの蓋を開けてそのまま飲める「ショットバー」シリーズを展開しています。薩摩酒造も、2021年2月に「さつま白波」「黒白波」「さくら白波」の12度PET商品を発売しました。少量で価格帯も税別180円なので、気軽に試すことができますね。

20度は宮崎の焼酎に多い

20度は宮崎の焼酎に多いの画像

宮崎に多いのはなぜ?

宮崎では、20度の焼酎が圧倒的によく飲まれていることをご存知でしょうか?
宮崎で20度が多いのはなぜか。その背景には、戦後の密造酒や酒税法の歴史があるようです。

バクダン・カストリ焼酎

戦後の物資不足の時代に横行した密造酒が、「バクダン」「カストリ」です。酒税が高く商品価格も高い25度以上の焼酎は、庶民には手の届かないものでした。
庶民の間で飲まれていた「バクダン」「カストリ」は、密造酒業者が造った粗悪な焼酎。技術が低く、度数も20度程度のものが多かったそうです。密造酒業者の拠点が宮崎だったことも、宮崎で20度の焼酎が親しまれるようになったきっかけといわれています。

酒税法

このような密造酒の廃絶を目的として、酒税法改正で正規業者も25度以下の焼酎を製造できるようになりました。すでに20度の焼酎が親しまれていた宮崎では、こうして20度焼酎が定着したのです。

プレミアム系の画像
プレミアム系

宮崎には、プレミアム焼酎が多いです。
そのプレミアム焼酎にも「県外用25度」と「県内用20度」があります。
ただ、「県内用20度」はなかなか県外でみかけることはないですが、

チャミスルとの類似点の画像

チャミスルとの類似点

 

20度の焼酎は、どこかチャミスルに似ています。
「チャミスル」は、誰もが知る韓国の希薄式焼酎。
希薄式焼酎は、60年代には30度だったのが、90年代には健康志向を反映して23度、今では15度台の商品も登場するほど、低アル化が進んでいます。
低アルなうえに甘味料が入っており、「『焼酎』と呼ぶのもはばかられる」とする向きもあります。
実際、日本では「リキュール」に分類。
しかし、度数の低い焼酎が市場を広げ、「チャミスル」のような商品が生まれたことも事実です。
すでに韓国の文化といっても過言ではありません。
密造酒の「カストリ」を背景に生まれた比較的度数の低い“20度焼酎”も、今や宮崎の文化として定着し、愛されています。

その他のエリアの画像

その他のエリア

宮崎県北部に隣接する大分県でも、20度の焼酎がよく飲まれています。
「いいちこ」の三和酒類や「二階堂」の二階堂酒造も、主要銘柄にはだいたい20度をラインアップしていますね。

20度焼酎の強み

味わい

20度焼酎の強みのひとつが、飲み口の軽さ。
25度の焼酎と比べて口当たりが軽やかなので、夏でもスッキリと楽しめます。

飲み方はロックがオススメ

20度焼酎の飲み方は、断然ロックがオススメです。
仕込み水と同じ水で割ってある20度焼酎は、25度焼酎を自前の水道水やミネラルウォーターで割って飲むよりも馴染みが良く、なめらかな口当たりになるのです。
ペアリングの画像

ペアリング

20度の焼酎は、宮崎のローカルな地酒ともいうべき蒸留酒。地酒はその土地の食べ物とよく合います。
ぜひ、地鶏の炭火焼き、チキン南蛮、カツオの炙りなど、宮崎のご当地グルメや郷土料理とのペアリングを試してみてください。

健康面の画像

健康面

本格焼酎は、糖質・プリン体がほぼゼロ、カロリーも他の酒類と比べて控えめなので、「健康が気になるけどお酒は飲みたい!」という方にとって嬉しいお酒です。中でも20度の焼酎は、25度に比べて健康面でのメリットが大きいといえます。

カロリー

焼酎25度の100mlあたりのカロリーは、約140キロカロリー。一方、焼酎20度の場合は約112キロカロリー。約28キロカロリーの差があります。もともと低カロリーな本格焼酎、20度だとさらにカロリーを抑えることができます。

二日酔い

20度の焼酎は25度と比べてアルコール度数が低いので、二日酔いもしにくい。
翌日の酔い覚めも爽やかさも、メリットといえるでしょう。

まとめ

アルコール度数20度の焼酎について、25度との違いや地域性、強みについて見てきました。
健康面のメリットも大きい20度焼酎を、ぜひ楽しんでみてください。

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