35度の焼酎はどんなの? 焼酎のアルコール度数の多様性を検証!
焼酎のアルコール度数の多くは20度か25度ですが、35度や40度の高アルコール度数の焼酎もあります。
今回は、35度焼酎の特徴、飲み方、メリットなどを紹介します。
目次
焼酎の定義
かつては甲類と乙類
「甲類」「乙類」というのは、1949年に酒税法で定められた焼酎の分類方法です。
これは、「甲乙つけがたい」という表現にあるような「優劣」を意味するものではないのですが、「乙類焼酎」のイメージダウンを懸念した業界からの働きかけもあり、2006年5月の酒税法改正で、「甲類」は「連続式蒸留焼酎」に、「乙類」は「単式蒸留焼酎」に改められました。
●連続式蒸留焼酎の酒税法上の定義
酒税法上の定義(同法第3条第9号)によると、連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)とは「アルコール含有物を連続式蒸留機により蒸留した酒類」で、「アルコール分が36度未満のもの」をいいます。
もっとも、いくつかの除外事由も定められており、これの該当するものが直ちに甲類焼酎というわけではありません。
●単式蒸留焼酎の酒税法上の定義
単式蒸留焼酎(乙類焼酎)の酒税法上の定義は、同法第3条第10号に定められています。
こちらも条文では細かな要件が定められていますが、おおまかには「単式蒸留機で穀類、芋類、米、清酒かすなどを蒸留した酒類」で、「アルコール分が45度以下のもの」です。
厳格な酒税法
これらの定義にあてはまるお酒でも、厳格な酒税法の定義上、他の酒類カテゴリに分類されるものもあります。
●花酒は60度だからスピリッツ
例えば、与那国島のみで製造が許されている伝統的な蒸留酒「花酒」。
泡盛と同じ原料と製法でつくられるので「焼酎」かと思いきや、アルコール度数が60度であるため酒税法上は「スピリッツ」に分類されます。
●チャミスルは添加物が多くてリキュール
韓国焼酎の「チャミスル」は、麦、米、トウモロコシやタピオカなどを混ぜ合わせて仕込み、連続式蒸留機で蒸留、できあがったアルコールに加水してつくられる「希釈式焼酎」です。
韓国では「ソジュ」と総称されるお酒で、「チャミスル」はその中でもトップクラスの人気を誇る銘柄。
一見すると「甲類焼酎」に当たりそうですが、甘味料、酸味料などが添加されているため、「リキュール」に分類されます。
35度焼酎の楽しみ方
甲類焼酎
ここからは、35度焼酎に注目して、その楽しみ方を紹介していきましょう。
まずは甲類焼酎から。甲類焼酎のいちばんの特徴は、なんといっても透明感。その名のとおり何度も繰り返される連続式蒸留によって、雑味や香りが取り除かれ、無色透明の焼酎ができます。
●果実酒のベースとして
そんな甲類焼酎は、果実酒のベースに最適です。35度の甲類焼酎を「ホワイトリカー」として果実酒専用に発売しているメーカーもあります。
透明度の高いピュアな甲類焼酎に果実を漬け込むことで、果実自体の味わいや色味をふんだんに生かしたオリジナル果実酒をつくることができます。
●カクテルベースとして
35度の甲類焼酎は、アルコール感がありつつ余分な香味や色味はないため、カクテルベースにも向いています。
炭酸などの割り材の量を多めに使って爽やかも楽しむこともできますし、果汁やリキュールを加えてフルーティーな一杯、カラフルな一杯に仕上げてもよいでしょう。
乙類焼酎
続いて35度の乙類焼酎について。乙類焼酎は、シンプルな蒸留方法で、蒸留回数も基本1回と少ないです。
純度の高い甲類焼酎とは異なり、香味成分がよく抽出され、原料の個性を表現しやすい焼酎といえるでしょう。
●食後酒として
本格芋焼酎の生産が盛んな南九州には、一日のおわりに焼酎を飲んで疲れを癒す「だれやめ(だいやめ)」という習慣があります。
ぜひ、原料の個性を存分に味わえる35度の乙類焼酎を、ストレートやロックで食後酒として楽しんでみてください。
●>今風に、ハイボールとして
割ってもアルコール感をしっかり味わえるのも、35度の焼酎の醍醐味です。炭酸で割って、人気のハイボール風に楽しむのもいいですね。
最近では、軽やかな口当たりやフルーティーな香りを重視した、炭酸割りに合う焼酎も登場しています。
さつま無双の「烏天狗しゅわしゅわ 36度」は、炭酸割りで美味しい芋焼酎を目指して造られた炭酸割り専用焼酎。
原料に安納芋を使用し、オーク樽で長期熟成させた原酒です。
炭酸で割ると、トロピカルフルーツや紅茶のような風味が弾けます。
限定商品の「烏天狗しゅわしゅわ 白豊 36度」は、原料にシロユタカを使用。オーク樽で短期間だけ熟成しており、バニラや柑橘系の香りと甘みが感じられます。
今後は35度がトレンド?
焼酎はなぜアルコール度数が多様?
スタンダードな25度と20度から、そのまま飲めるワンカップ風の12度~15度、原酒の35度~40度程まで、焼酎のアルコール度数は実に多様。
その理由のひとつは、「割り水」にあります。
●割り水が特長
「割り水」とは、焼酎の原酒を薄める際に使われるの水、またはその工程のことをいいます。
蒸留後の乙類焼酎のアルコール度数は約35~40度、甲類焼酎は96度に上ります。
商品となる焼酎は通常、原酒に割り水することで、度数を調整しているのです。
蒸留段階における調整ではなく割り水による調整なので、柔軟に調整できます。
●世界の蒸留酒の中では低い度数
焼酎のアルコール度数は、世界の蒸留酒の中では低いほうです。
乙類焼酎の原酒の中には、40度前後のものもありますが、これも世界的にみればどちらかというと低いです。
ジン、ウォッカ、ラムなど高アルコール度数のスピリッツに親しんでいる海外の文化においては、20度や25度の一般的な焼酎はなかなか馴染みにくいのでしょう。
2020年2月にバー業態向けに開発・発売された「SG SHOCHU」は、「KOME」「MUGI」の度数を40度、「IMO」は38度に設定し、カクテルに適した本格焼酎を打ち出しています。
樽熟成酒はアルコール度数が高め
長期樽熟成した焼酎は、アルコール度数が高めに設定される傾向にあります。
宮崎県のあくがれ蒸溜所の「日向あくがれ樽仕込み」は、アルコール度数30度。
シェリー樽で3年以上寝かせた本格芋焼酎で、ストレートで飲んだときの強いインパクトや、ハイボールで飲むことを意識して度数設定したのだとか。
鹿児島県の西酒造のプレミアム本格芋焼酎「天使の誘惑」は、7年以上オーク樽で寝かせた原酒を瓶詰めしたもの。
こちらも、アルコール度数は40度と高めの設定です。
●「六調子」の野望
熊本県で球磨焼酎を製造する六調子酒造は、とりわけ熟成酒に大きな期待をかけています。
焼酎を長期間寝かせることにリスクはともなうものの、貯蔵熟成が「焼酎の脱大衆酒への最後の切り札」になると信じ、貯蔵熟成の技術研鑽と体制構築に励んできました。
断熱加工を施した貯蔵室には、24時間体制で温度管理できる空調設備を導入し、「スコットランドの高地に似た条件」で焼酎を樽熟成しています。
まとめ
35度の焼酎の世界を深く知ると、焼酎の楽しみ方も一層広がりそうですね。
気分や体調に合わせて、35度の甲類焼酎や乙類焼酎を、ぜひ試してみてください。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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