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【焼酎と健康】さまざまなお酒の活用

2022-03-02

食欲増進を促すお酒

お酒には、食欲増進を促す作用があるといわれています。
アペタイザーが(食前酒)がその例です。
フランス料理やイタリア料理などのレストランに行くと、食事の前のお酒としてアペタイザーが供されます。
そのアペタイザーに使われるお酒(リキュール)には、カソパリやチンザノ,デポネなどの苦味が強いものが多い。
古くから、苦味剤は健胃に用いられる薬として知られていました。
そのため、食欲を高めるために飲むアペタイザーには、苦味のある濃度のうすい酒が愛用されているのです。

苦味があるという点では、ビールもアペタイザーとしての役目を果たします。

これに類似した作用として、胃の消化作用全体への効果もあります。
お酒には、アルコール度数に関わらず、胃を刺激して、胃液の分泌を促す作用をもっているといわれます。
アペタイザーが食欲増進としての側面があるのもそのためです。
したがって、軽い消化不良や消耗性の病気からの回復期に、適度にお酒を飲むことは、有害だとは言い切れないです。

カソパリやチンザノ、デポネなどのお酒は、ちょうどよい濃度のアルコールを含み、しかも糖分も含んでいます。
このような回復期に飲むことは、合理的なことだといえましょう。

カロリー源としてのお酒

お酒には、食物の代用、くわしくいえばカロリー源としての効用もあるといわれています。
お酒の成分の中で大切なのは、エチルアルコールすなわちアルコール。
そしてこのアルコールは、何の消化される必要もなく、そのまますぐに、胃や小腸から吸収される特徴を持っています。
そのままカロリー源となって燃えるので、昔はよく発熱して食欲不振時に重宝されていようです。
具体的には、卵酒や温めたブランデーなどが、飲まれていたようです。

アルコール度数が高いお酒を温めて飲めば、体温を高めると同時に、神経も反射的に刺激されます。
そして、吸収されたアルコールがすぐさまカロリー源となりえます。
したがって、あらゆる面から発汗を促し、それに続いて下熱という、回復コースを早めることになると信じられてきたのでした。

体はどんな場合にも、たとえ眠っている時でも、或る程度の糖分を燃やしつづけています。ですから、その糖分の代用になるアルコールか補給されれば、その間は、からだの糖分か消費されなくてすみます。
したがって、因果関係がめぐりめぐって、からだの組成分となっている蛋白質や脂防を破壊して、それらを熱源に使う必要がなくなり、必然的にからだの消耗が防がれることになります。

そのため、注意を払って適度に飲めば、病気による消耗の程度をひくめ、回復を早めるといわれていす。

キュラソーの伝説

南米ベネズエラ近郊の小島が発祥のキュラソーというリキュールがあります。
キュラソーは、この島の特産であるオレンジ果皮に浸けられて造られていました。
オレンジ果皮に浸けられるため苦味があります。
カソパリやチンザノ、デポネなどと同様ですが、アルコール度数が高いのが特徴。
そのため、その島の住民がもともと解熱剤に用いていたお薬だったという伝説があります。

消毒液としてのお酒

夏の暑い日盛りに日射病で倒れたさいなど、水で冷やしてもよいですが、はじめアルコールで皮膚をふいてやれば、いっそう効果があるとされます。
これは、アルコールが蒸発するさい、気化によって熱を奪う力が強く、しかもアルコールの蒸発する速度がはやいので、非常に効果があると信じられたわけです。

例えば、山などで怪我をした場合、50%前後のアルコールをふくんだウィスキーやプランデーなどを消毒剤に使う知恵が、かつてはあったようです。

江戸時代の焼酎

中世のヨーロッパでは蒸留酒は、錬金術と結びついた不老長寿の秘薬や不治の病、外傷、疼痛、眼病などの諸々の薬に使われていました。

一方、焼酎は沖縄(当時は琉球)を経て、日本には室町時代に伝来したといわれています。
1824年(文政7年)版の「江戸買物独案内」には35種の銘酒、産地、一升当たりの代金の記述があり、焼酎についても紹介されています。

「名酒大国酒一升二付三百三十二文、……薩州焼酎同代五白文」
-引用:江戸買物独案内 2巻付1巻. 飲食之部
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8369320

焼酎は多くの酒類の中でも、高額だったようです。
当時はまだ、蒸留酒は高級酒としての地位が保たれていたのでした。

江戸時代には主に、焼酎は医薬品として珍重されたといいます。
江戸時代の有名な食図鑑である「本朝食鑑」(人見必大著、1697年)や、「和漢三才図会」(1712年)に記述があります。
「痞ヲ消ス、積聚ヲ抑へ涅ヲ防グ」
-引用 : 和漢三才図会
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/898160

焼酎は胃痙攣、傷口消毒などに使われたと考えられています。
そのため、医学的にも最高の消毒薬であり、値段も高かったのです。

大陸との窓口であった、長崎の玄界灘に浮かぶ壱岐島は焼酎づくりが盛んでした。
江戸時代、壱岐を領した平戸藩の記録には、武士の刀傷などの薬用、消毒用として、酒屋に焼酎を常備させた記述があるといいます。
1795年(寛政7年)の平戸藩の町方御仕置帳には
「荒生の焼酎、酒屋一軒に壱升あてかこい置かせ、諸士中其の外病用に就き所望これ有り候節は、指紙(指示の書類)相渡し、代銀引替に売波され申すべき事」
と記した条があります。

まとめ

以上のようにアルコールは、古くから酔いの楽しみ以外にも、人の生活に関わってきたのでした。

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