1. HOME
  2. 焼酎を覚える
  3. 銘柄の紹介
  4. プレミアム焼酎「佐藤」の特徴からおすすめの飲み方までご紹介します!
プレミアム焼酎「佐藤」の特徴からおすすめの飲み方までご紹介します!の画像

プレミアム焼酎「佐藤」の特徴からおすすめの飲み方までご紹介します!

佐藤酒造の紹介

佐藤酒造は鹿児島空港から車で約15分の霧島市牧園町にあります。この一帯は霧島連山のすそ野に広がる風光明媚な高原リゾート。また、霧島連山に降った雨水が長い年月をかけてろ過されながら、大地のミネラル成分をたっぷりと含んだ天然水が豊富で知られています。
焼酎造りは、仕込みや加水、蒸留など良質で豊富な水が必要なので、最適なエリアといえます。実際、焼酎酒蔵も点在。霧島の天然水からプレミアム焼酎が数多く生まれています。

創業は、1906年(明治39年)。創業の地は近隣の加治木町。現在の霧島市牧園町に移転したのは、霧島連山の天然水を求めたからだそうです。

かつての佐藤酒造は、創業地の加治木町の加治木酒造協業組合(現:国分酒造協業組合)の一員として主に共同銘柄の芋焼酎を製造していました。そのほか未納税で他県のメーカーに納める麦焼酎を製造。
加治木酒造協業組合とは、行政が進めていた協業化によって10社の酒蔵が統合されて設立された組合のことです。焼酎が全国的なブームになる以前、南九州の焼酎専業蔵は不安定な経営が続きました。そのため行政指導のもと、小規模な酒蔵の協業化を進めていたのです。

プレミアム焼酎「佐藤」の画像

プレミアム焼酎「佐藤」

佐藤酒造がプレミアム焼酎「佐藤」を発売して、全国的に有名な焼酎酒蔵になったのは5代目の佐藤誠氏が焼酎蔵に戻ってから。佐藤誠氏は東京の大学の醸造科を修学後、サラリーマンを経て1990年(平成2年)に入社します。
当時の佐藤酒造は、加治木酒造協業組合を離脱していましたが問屋との取引はなく、「さつま」という代々から続く芋焼酎を製造していました。
佐藤誠氏は入社後、自身が営業担当として売り歩いたそうです。その一方で焼酎造りにも関わり、タンクを洗浄するなど基本的なことから改善し、徐々に酒質も変えてくようになります。
1991年(平成3年)に「佐藤」、1993年(平成5年)には「黒麹仕込 佐藤」を開発。
小さな改善をコツコツと進めた結果、酒質も向上して素晴らしい焼酎が誕生したのです。
平成13年には杜氏の退職に伴って、佐藤誠氏は杜氏も兼任するようになります。

プレミアム焼酎「佐藤」の特徴は、「白麹」と「黒麹」がセットで人気があること。1980年代後半に「黒〇〇」ブームとなった黒麹焼酎のプレミアム焼酎版として人気が広がったのでした。クラシックな字体とともに、「佐藤 黒麹仕込」は黒、「佐藤」は白、とわかりやすいラベルも印象的です。

佐藤酒造のこだわり

佐藤酒造のこだわりは、主原料である芋の鮮度。
朝に収穫された芋をていねいに洗浄。芋のくぼみの間までブラシを使って土埃を洗い流し、繊維が多い端はカット。そのあと芋を蒸しあげます。これら芋の下処理を午前中に済ませて、午後から仕込みを始めます。

一般的な酒蔵では、人手と時間がかかるため朝に収穫した芋の下処理は午後にまわし、仕込みは翌日に持ち越されことが多いといいます。当日に仕込むのは、主原料である芋の鮮度にこだわっている佐藤酒造だからこそ。

ところで、蒸留酒の中でも鮮度が注目されるのは、芋焼酎の特徴です。ウイスキーやその他スピリッツの原料は穀類ですから、鮮度にこだわることができないのです。

プレミアム焼酎「佐藤」の特徴からおすすめの飲み方までご紹介します!の画像

「佐藤」と「佐藤 黒」の違い

多くの焼酎メーカーのレギュラー酒は白麹。黒麹は銘柄名に「黒〇〇」と表示されます。同様に、白麹を使用した焼酎が「佐藤」、黒麹を使用した焼酎が「佐藤 黒」です。

黒麹と白麹の違いは、黒麹はコクがありスパイシーで辛口な味わい、白麹はクセのないクリアな味わい、といわれています。
かつての主流は黒麹でしたが、まろやかでクリアな味わいの白麹に移行が進み、1970年には、ほとんどの焼酎が黒麹から白麹にバトンタッチされました。南九州の地酒から全国的なお酒に飛躍したのは、白麹のクセのないクリアな味わいも一因ともいわれています。
その後のブームを経て焼酎の人気が定着すると、コクのある辛口の黒麹を使用した焼酎が見直されるようになったのです。

佐藤のオススメの飲み方の画像

「佐藤」のおすすめの飲み方

「佐藤」のオススメの飲み方は熱燗です。同じホットで楽しむ飲み方であるお湯割りより、焼酎のコクが楽しめる飲み方です。専用の容器が必要になり手間がかかりますが、この手間をかけてこそ美味しい焼酎が楽しめるのです。

伝統的な熱燗の飲み方をご紹介します。

「佐藤」と水を7:3で割って3日間、寝かした「前割り」を用意しますの画像

1.「佐藤」と水を7:3で割って3日間、寝かした「前割り」を用意します。

黒ぢょかに注ぐの画像

2.前割りした焼酎を、黒ぢょかに注ぎ入れます。

お燗をするの画像

3.水を張った鍋をコンロにかけ、沸いたら黒ぢょかを鍋に浸けます。

弱火にして、黒ぢょかに温度計を差し込むの画像

4.弱火にして、黒ぢょかに温度計を差し込みます。

50℃になったら引き上げて、できあがりの画像

5.50℃になったら引き上げて、できあがり。

黒ぢょかの「ぢょか」とは正式には「茶家」と書きますが、ルーツは琉球の「茶家」といわれている土瓶の一種。薩摩焼きの陶器で黒色をした黒薩摩のものを「黒ぢょか」といいます。黒ぢょかは、コンロの直火ではなく湯煎がおすすめです。直火だと焼酎の温度が急激に上昇して焼酎の味わいが損なわれてしまうからです。
おすすめの温度は50度。

前割りの画像

また、熱燗にする時は、「前割り」がおすすめ。
焼酎の前割りとは、焼酎をあらかじめ好みの濃度に加水して寝かせる飲み方です。焼酎と水を混ぜ合わせた後、数日間、寝かせてると、焼酎と水がなじんで、通常の水割りやお湯割りよりも格段においしくなると言われています。

味わうの画像

「佐藤」の味わい

おちょこに「佐藤」を注ぐと蒸したての芋の香りが広がります。香りがとてもふくよか。煎ったゴマと焦がした木のような香りが調和します。また、ほのかにロースト香などが広がります。頬を膨らませるような豊かな酒質は霧島の名水が由来。
口に含むと、まろやかでふくらみのある第一印象から、広がりはさらに滑らかな印象が強く感じられ、芋の蒸した香りが鼻腔を突き抜けます。
口の中を通り過ぎたあとの余韻はとても長く感じられます。

豚の角煮の画像

「佐藤」と「豚の角煮」のペアリング

「佐藤」のふくよかでコクのある味わいには、鹿児島の代表的な豚料理の「豚の角煮」のペアリングか良さそうです。豚肉は鉄分が感じられますので、煎ったゴマの香りのようなロースト香が特徴の佐藤とのバランスが良い。醤油で煮込んだ濃い味付けも、佐藤は負けることなく相乗効果で美味しくいただけます。

皆さんも是非、試してみてください。

〈銘柄データ〉
【白麹仕込 佐藤(しろこうじじこみ さとう)】
佐藤酒造/鹿児島県霧島市牧園町宿窪田2063
主原料/芋(黄金千貫)
麹/白麹(米)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留

 

 

 

この記事を書いた人

人気の記事