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【芋焼酎】八幡 | 高良酒造(鹿児島県南九州市川辺町宮)

高良酒造の歴史とこだわり

高良酒造は家族で営む小さな蔵

高良酒造は、鹿児島県南九州市川辺町宮にある小さな焼酎酒蔵。蔵の4代目当主の高良武信氏が自ら杜氏を務め、家族経営で手掛ける芋焼酎は、サツマイモ本来の香りや味わいを堪能できると多くのファンに親しまれています。

1907年(昭和4年)の創業以来、伝統的な芋焼酎の製造工程で作られているため、生産量は限られています。しかし当酒蔵では、大量生産で作られる焼酎では表現できない昔ながらの芋焼酎の味わいを引き出すべく、麹やお米、サツマイモなどの原料を最大限に生かした焼酎造りにこだわり、高品質の焼酎造りを続けています。

割り水とはの画像

高良酒造の焼酎を育む清水の湧水

鹿児島県南九州市は、鹿児島市の市街地から約30km南西の薩摩半島の南部に位置しています。南は東シナ海が広がります。もともとこの地域は川辺町・知覧町・頴娃町と呼ばれていましたが、2007年に南九州市として合併されました。

高良酒造が蔵を構える川辺地域は、「清水岩屋公園」と「八瀬尾の滝」などがあり、水資源の宝庫であることが想像つきます。

酒元の周辺には、名水百選として有名な「清水の湧水」が湧き出ています。仕込み水や割り水に使用しているのは、この鹿児島を覆ったシラスによって長い年月をかけて濾過された清らかな軟水。この名水は地下から汲み上げるのではなく、蔵の裏庭に湧き出ている池から入手しているそうです。

先祖代々の味を守るの画像

先祖代々の味を今も守る

高良酒造の芋焼酎は、伝統的な鹿児島の芋焼酎です。クセが少なく、すっきりとして飲みやすい芋焼酎が多くなった中、コクがあってサツマイモ本来の甘い香り、蒸したお米の味わいといった、芋焼酎の個性を前面に押し出した飲みごたえのある芋焼酎を多く製造しています。

高良酒造の焼酎造りは、地元で栽培したサツマイモを地元で消費するという考えがベース。地元の質の良いサツマイモと銘水の湧き水を使って、先祖代々の味を今も守っているのです。

新しい設備を導入し、タンクで大量に均一な味をつくり出す大手メーカーが増えたなか、高良酒造がこだわっているのは、塾練の技術を生かした製法です。長年の技術と経験を働かせながら、麹やお米、サツマイモといった原料を素直に引き出していくのだといいます。

昔ながらの手造りの製法が育む、サツマイモの本来の味わいと香り。高良酒造の芋焼酎には、伝統的な焼酎の魅力に溢れています。

すべて手作りの画像

高良酒造の焼酎造り

高良酒造の焼酎造りは、サツマイモの洗浄から瓶詰め、ラベル貼りまで手作業

高良酒造では、原料処理から麹作り、仕込み、発酵、蒸留、貯蔵・熟成、そして瓶詰めやラベル貼りに至るまで、すべて手作業で焼酎造りをしています。サツマイモを洗浄したり、形を整えたり、蒸し上がった米に麹菌を繁殖させたり、もろみを育てたり、蒸留や熟成などが手作業で行われています。

酒母に原料のサツマイモと酵母を加える2次仕込みでは、醪(もろみ)の量がグッと増えます。米麹1に対して、サツマイモを5の割合で加えるのが一般的。その量は数トンにも及ぶため、大容量タンクのほうが作業はずっと楽です。実際、多くの蔵では、1次仕込みは甕を使い、2次仕込みではタンクを使うそうです。
しかし、高良酒造では量が増えても2次仕込みでは甕を使います。甕の容量は大きいものでも550Lしかありませんが、多くの甕に分けて仕込んでいます。手間隙かけた焼酎造りにこだわることで、完全手造りでなければ表現できない味わいを引き出しているのです。

黄金千貫の画像

高良酒造ではサツマイモの仕入れは、その日の仕込み量だけ

高良酒造は地元で生み出したものを、地元で消費するという考えを基本にしているので、地元で栽培されたサツマイモのみで作られています。

芋焼酎造りは、サツマイモが収穫できる9月中旬から始まり、12月上句で終わります。その時期には毎日仕込みをしますが、地元の農家から納品されるサツマイモは、その日の仕込み量だけです。サツマイモを保存することはせず、収穫した後は洗浄して、形を整え、当日に仕込みます。蔵元は、原料であるサツマイモに細やかに配慮しながら、焼酎をていねいに作っています。

高良酒造の代表銘柄の画像

高良酒造の代表銘柄「八幡」

「八幡」は、高良酒造の代表銘柄です。「八幡」という名前は、高良酒造の代々の当主である高良家が、近隣にある「飯倉神社」の宮司を務めてきた家柄であることが由来。伝統的な甕で仕込まれた芋焼酎です。

「八幡」はプレミアム焼酎としても人気

「八幡」はプレミアム焼酎として人気の焼酎です。
プレミアム焼酎とは、流通量が少なく、なかなか手に入らないの焼酎とのこと。本来の定価が1700円〜2000円(4合瓶)と安いのが特徴です。
1980年代の樫樽麦焼酎の人気となり、入手困難になったのが最初といわれていますが、近年では「3M」や「4M」といわれる焼酎が代表するように、「小規模」で「鹿児島」の「芋焼酎」がプレミアム化する傾向が強いです。

「八幡」は、お米の蒸した香りとサツマイモの甘さがしっかりと引き出されています。伝統的なコクある味わいと白麹のすっきりとした余韻、頬を膨らませるような清水の湧水が楽しめます。特別な日に味わいたいです。

飲み方は、サツマイモの甘い味わいを楽しみたいならお湯割りが良いです。ロクヨンで割って、食中酒としてもおすすめです。

〈銘柄データ〉

【八幡 (はちまん)】
高良酒造/鹿児島県南九州市
主原料/芋(黄金千貫)
麹/白麹(米)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留

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