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黒麹や白麹の味わいの違いとは? | 焼酎に使われる麹をご紹介します

麹は、焼酎の主原料と共に大切な原料です。
芋や麦、米といった野菜や穀物がアルコールに変わるのは、麹の力があってこそ。
また、麹はお酒作りのみならず、日本の伝統的な食文化に欠かせません。
今回はそんな麹についてご紹介します。

麹とはの画像

麹とは

麹は、カビの一種である麹菌に蒸した米や麦などの原料を付着させて、適切な温度管理のもと培養したものです。焼酎・日本酒・味噌・醤油・みりん・漬物など、日本を代表するお酒や調味料、発酵食品を作る上で欠かせないものです。

麹と一口に言ってもそれぞれの用途によって働きが異なります。麹菌を付着させる原料を使い分けており、それぞれ米麹・麦麹・豆麹などと呼ばれます。

麹菌は2006年、有名な学会で日本を代表する菌に選ばれました。伝統的な日本人の食生活を支えている、健康と美容を支えている微生物なのです。
麹は健康に良いの画像

麹は健康に良い

麹は、「酵素の百貨店」といわれています。アミラーゼやリパーゼ、プロテアーゼなどの消化酵素をはじめ、30種類以上もの酵素が含まれています。

酵素は、食物中のデンプンやたんぱく質を分解する力があります。そのため体内での消化・吸収の効率をアップさせます。腸内環境においては、酵素が生み出すオリゴ糖が、腸内の善玉菌の働きを促進させるといいます。疲労回復や美容促進にも効果的で、豊富なビタミンやミネラルなどの栄養素を作るためといわれています。

麹が昔から調味料や発酵食品に使われてきたのは、味や香りだけではなく、健康や美容に関わってきたからといえるでしょう。

焼酎に使われる麹とはの画像

焼酎に使われる麹とは

焼酎に使われる麹は、伝統的に米麹が使われてきました。
麹菌に蒸した米を付着させて、「麹室(こうじむろ)」と呼ばれる部屋で2日間かけて繁殖させます。繁殖の期間中は適切な温度管理が大切。蔵元では寝ずに番をするといいます。

昔から酒造りにおいて、「一麹(いちこうじ)、二酛(にもと)、三造り(さんつくり)」といわれるように、麹作りは焼酎の酒質を決める上で、大切な製造工程であるのは確かです。

麹の主な働き

麹の主な働きは、焼酎の主原料になる芋や麦のデンプンをブドウ糖に分解することです。芋や麦にはアルコール発酵に必要なブドウ糖がありません。芋や麦の主成分であるデンプンを、麹の酵素の力によってブドウ糖に分解するのです。
このブドウ糖が酵母の働きによってアルコールに変わっていきます。

ウイスキーとビールは麹が必要?の画像

ウイスキーやビールに麹は必要?

ウイスキーやビールに麹は使われません。アルコール発酵には原料である麦の麦芽が使われます。また、ワインやブランデーの原料である葡萄、ラムやジンの原料である糖蜜にはもともとブドウ糖があるので、麹や麦芽が不要です。

どのようなお酒もアルコール発酵するにはブドウ糖が必要。調味料や発酵食品に欠かせない麹は、アルコール発酵においても欠かせないものだったのです。

黒麹・白麹・黄麹 それぞれの特徴

焼酎に使われる麹菌は、「白麹」「黒麹」「黄麹」の3種類。種麹と呼ばれています。
ちなみに、ここでいう麹菌とは、米や麦に付着し繁殖する前の菌のことです。

焼酎造りが始まった江戸時代では、日本酒と同じ黄麹を使っていました。その後、泡盛造りに使われていた黒麹が琉球から伝わると、黒麹が主流に。
このように、種麹には時代ごとのトレンドがあるのです。味わいの違いとともに紹介します。

黒麹の画像

黒麹 どっしりとしたコクのある甘み、キレのよさが特徴

黒麹仕込みの芋焼酎は、どっしりとしたコクのある甘み、そしてキレのよさが特徴です。伝統的な芋焼酎は黒麹が合うといわれています。

黒麹菌は、明治43年に鹿児島税務監督局の河内源一郎氏によって発見されました。焼酎酒蔵から、焼酎のベースとなる醪(もろみ)が腐るという相談があり、河内源一郎氏は泡盛に着目。温暖な沖縄で醪が腐らないのは麹菌に原因があると突き止め、研究の末、黒麹菌の分離に成功します。
その後、ほとんどの焼酎蔵は、黒麹菌を使うようになります。黒麹菌は大量にクエン酸を生産して醪が腐りにくいため、安定した焼酎造りができるのです。

1970年頃には、白麹菌に主役の座を奪われます。個性的で濃厚な黒麹焼酎が敬遠されたのでした。しかし、焼酎ブームが一段落すると、クリアでさっぱりした焼酎よりもコクのある伝統的な焼酎に注目が集まります。新しい黒麹菌の開発もあって、黒麹焼酎の人気が復活しました。

ラベルに「黒〇〇」と表記され、重厚な存在感が漂わせている黒麹焼酎。濃厚でコクのある伝統的な焼酎の魅力が詰まっています。

白麹の画像

白麹 軽快でマイルド、爽やかさが特徴

白麹仕込みの焼酎は、軽快でマイルド、爽やかさが特徴です。現在、レギュラー焼酎といわれている焼酎のほとんどは白麹で作られています。

白麹菌は、黒麹菌の突然変異から誕生しました。黒麹菌を発見した河内源一郎氏が、さらなる研究を続け、黒麹の胞子の中にポツンと色の異なる胞子を発見したのです。黒麹と同じように大量のクエン酸を作るため、安定した醪造りが可能。

白麹を使った焼酎は、軽快でマイルドな味わいのため飲みやすく人気を集めます。ロクヨンという飲み方と同時に、全国的な本格焼酎ブームを牽引したのです。また、蔵元では黒麹は仕込みの際、胞子が飛び散って蔵や着衣を黒く汚すのという問題もあり、白麹へのシフトも進みました。1970年にはほとんどの焼酎が白麹を使うようになります。

白麹焼酎は、軽快でマイルド、爽やかな飲み飽きしない味わい。本格焼酎の代表といってもいいでしょう。

黄麹の画像

黄麹 フルーティでさわやかな香りが特徴

黄麹の特徴はフルーティでさわやかな香り。黒麹や白麹では表現できない華やかさを持っています。

日本酒造りに使われる黄麹も、かつては沖縄から黒麹が伝わるまでは焼酎造りに使用されていました。クエン酸を含まないため醪が腐りやすく、九州のような温暖な地域では使用が難しかったため明治後期には黒麹が主流になりました。

現在、黄麹を使った焼酎も増えてきています。入手困難で、定価より高く取引されているプレミアム焼酎の中には、黄麹の使った焼酎も。
黄麹を使った、今後のトレンドを左右するような焼酎の出現に期待です。
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まとめ

いかがでしたか。
麹は日本の伝統的な食生活を支えるお酒作りや調味料、発酵食品に欠かせないものでした。
焼酎作りにおいては、米麹や麦麹、芋麹が使用されます。
麹のもとになる麹菌は3種類あり、味わいや香りの決め手に。
黒麹、白麹、黄麹の特徴を知って、自分に合った焼酎を探してみてください。

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