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【芋・米焼酎】川越 | 川越酒造場(宮崎県東諸県郡国富町)

川越酒造場の歴史

川越酒造場は宮崎県東諸県郡国富町にある焼酎酒蔵です。3銘柄を大切に製造する酒蔵ですが、代表銘柄の名声は全国に響いており、その酒質はまろやかで飲みやすいと多くのファンに親しまれています。

1690年(元禄3年)から現在地に蔵があったといわれ、近隣の寺社に酒を奉納していたのが創業のはじまり。
機械に頼らず、昔ながらの人の手によって焼酎作りを守っています。伝統に裏付けされた工芸品のような味わいが人気の秘訣。

川越酒造場の伝統的銘柄である芋焼酎「金の露」の画像

川越酒造場の伝統的銘柄である芋焼酎「金の露」

川越酒造場では、伝統的に「金の露」という芋焼酎が作られてきました。宮崎の焼酎は、北部は麦やそば、西部は米、南部では芋焼酎といった具合に原料が多彩。それぞれ近接する地域の影響を受けたためですが、鹿児島が近い国富町は伝統的に芋焼酎の製造が盛んでした。

蔵元では、かつて日本酒も作っており、明治から大正にかけて焼酎専業蔵になったといいます。1920年(大正9年)に開催された、第1回九州沖縄焼酎鑑評会で金杯を受賞。昔から高い評価を受けてきた藏として有名でした。

現代の当主は、19代目。先代では200石だった生産量が800石(1石=180リットル)まで増加します。また、家族経営から、法人化も果たし従業員は7人在籍しています。

川越酒造場が蔵を構える国富町

川越酒造場が蔵を構える国富町は、宮崎県の中央部に位置する内陸地域。江戸幕府には天領だった土地で現在の人口は21,000人ほどの町。温暖な気候が特徴で、照葉樹帯の上質の地下水に恵まれています。

付近を大淀川水系の本庄川が流れています。本庄川から湧き出る豊かで良質な水は、焼酎造りに最適といわれています。

川越酒造場の焼酎造り

仕込みでは米を使用の画像

仕込みでは甕を使用

川越酒造場の仕込みでは、大正時代に埋め込まれた備前焼で作られた甕が使われています。甕を土の中に3分の2くらい埋めて、土の温度が仕込みの決め手になります。甕の仕込み量は、タンクに比べて少ないので、それがかえって独特のまろやかな風味や香りが出てるといわれています。

現在は、仕込みの容器には一般的にステンレスやホーローのタンクが使われています。温度管理や微生物管理が機械で容易に制御できるためです。

蔵元は、「機械やコンピューターに頼らずに人の手による職人性の高い焼酎造りを目指す」という想いを胸に、原料や甕の違い、気候の変化などに五感を研ぎすまし、機械に頼らない手造りを続けています。

麹作りの原料は伝統的なタイ米の画像

麹作りの原料は伝統的なタイ米

川越酒造場は、麹作りの原料にタイ米を使用しています。タイ米は、焼酎作りが伝来して以来使われていた伝統的なお米の種類。焼酎づくりの最も大切な行程である麹作りのお米は、長い間、タイ米がメインだったのです。

麹菌に原料であるお米を散布して麹を作りますが、その良し悪しが焼酎の酒質を決定づけるといいます。今では、その重要性は認識されています。様々な検証が進み、タイ米だけでなく山田錦といった日本酒の酒造好適米も使われています。

酒蔵では、タイ米を使用して伝統的な焼酎作りをしています。

全国的な人気銘柄「川越」の画像

全国的な人気銘柄「川越」

川越酒造場を語る上で欠かせないのが、全国的な人気銘柄となった「川越」です。
川越酒造場は歴史の長い老舗蔵ですが、この「川越」の開発は蔵のターニングポイントだったといっても過言ではありません。

きっかけは、「福岡で喜ばれる焼酎を作りたい」との思いで福岡の酒販店約10店舗とともに製品開発したことしから。
「若い女性でも飲める芋焼酎、都市圏でも売れる芋焼酎」というのもコンセプトの一つ。芋焼酎に米焼酎を混ぜるという発想は、伝統の技術と知識に裏付けられた蔵元でありながら、囚われることのない革新性といえます。

2002年には全日空(ANA)の国際線ファーストクラスの焼酎に選ばれます。女性の客室乗務員に好評だったのが決定につながったといわれています。

原料のサツマイモとお米の個性をしっかりと引き出した常圧蒸溜焼酎が身上。芋焼酎の入門としてぴったりの一本です。

香りの特徴は、白い花やマンゴスチンやライチなどの果実、蒸したサツマイモや米。その香りにミネラルやスモーキーな味わいが調和しています。

飲み方はお湯割りがおすすめです。伝統的な芋焼酎に米焼酎が調和した味わいは、唯一無二のものです。

銘柄データの画像

〈銘柄データ〉

【川越(かわごえ)】
川越酒造場/宮崎県東諸県郡国富町大字本庄4415-1
主原料/芋(黄金千貫)、米
麹菌/白麹(米)
度数/25度
蒸留/常圧蒸留

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