1. HOME
  2. 記事情報
  3. 新着注目のニュース
  4. 【黒糖焼酎】長雲 一番橋 | 山田酒造(鹿児島大島郡龍郷町)
【黒糖焼酎】長雲 一番橋 | 山田酒造(鹿児島大島郡龍郷町)の画像

【黒糖焼酎】長雲 一番橋 | 山田酒造(鹿児島大島郡龍郷町)

山田酒造の焼酎造り

機械に頼らない手作り

山田酒造は、鹿児島県大島郡龍郷町にある小さな焼酎蔵。二代目当主夫婦と、杜氏を務める息子の家族で手掛ける黒糖焼酎は、黒糖の甘みや香りを堪能できると全国的に評価されています。

1957年(昭和32年)に農協の酒造場で黒糖焼酎造りに携わっていた初代が現在の地で創業。奄美本島10蔵の焼酎蔵の中において最も小規模ですが、機械に頼らない手作りで焼酎を作っている蔵として有名です。

手作りであるため数に限りがあり、生産量は年間約400 石程といいます。黒糖焼酎ファンなら一度は口にしてみたいと思う蔵元の焼酎ですが、時には入手困難になることもあります。

山田酒造の焼酎を育む自然の画像

山田酒造の焼酎を育む自然

山田酒造は亜熱帯の樹木に覆われた奄美大島北東部の山間、本茶峠の麓にあります。本茶峠は奄美名物のひとつである緋寒桜(ひかんざくら)の名所。奄美で桜と言えばこの寒緋桜を意味するほどで、1月~2月の冬期に咲く寒桜です。

気候は海洋亜熱帯性気候でありながら、年間平均気温は約21度。降水量は年間3,000ミリに近く、雨が多いことでも知られています。この豊富な雨量は清らかな水資源を育むベースとなっています。長雲山系の山々に磨き上げられ伏流水が、蔵元の仕込み水や割り水に使われています。

山田酒造の有名な仕込みの画像

山田酒造の有名な仕込み

山田酒造の焼酎造りは、サトウキビの収穫から麹作り、仕込み、黒糖の溶解、発酵、蒸溜、熟成、そして瓶詰めやラベル貼りに至るまで、すべてが手作業です。米を洗ったり、蒸し上がった米に麹菌を散布させたり、黒糖を溶かしたり、蒸溜や熟成を手作業で行います。

山田酒造の有名な仕込みに「醪(もろみ)の泡立ち」があります。一般的に黒糖が泡立つのは雑味があるといって敬遠されますが、蔵元では意図的に泡立たせています。そのことによって「黒糖をかじったような」酒質が生まれるといいます。

長年培った伝統の技術に頼りながら、原料の特性を見極めた柔軟な発想で焼酎造りを続けています。

原料から100%自社産の黒糖焼酎を造る

タイ米から自社米への画像

タイ米から自社米へ

代表銘柄「あまみ長雲」で使用しているお米はタイ米です。焼酎は伝統的に麹用のお米は、タイ米が使われてきました。
タイ米に代表されるインディカ米は、水分が少なくて麹作りが容易といわれています。パラパラとお米同士がくっつかないタイ米は、醸造した際にお米の香りを主張しすぎず、黒糖の香りにも適しているのです。

蔵元では最近になって、地元龍郷町産の有機栽培米イクヒカリを使用して麹造りをしていましたが、2016年の春から自社で米作りを始めました。黒糖焼酎のだけでなく、自社で麹用の原料である米を栽培するのは一般的なことではありません。

製造のみならず、手間を惜しむことなく原料の栽培から収穫まで関わることで、特別な味わいを引き出しているのです。

サトウキビの自社栽培の画像

サトウキビの自社栽培

山田酒造では、黒糖の原料であるサトウキビにおいても、自社栽培に取り組んでいます。
奄美群島はサトウキビの産地として有名ですが、黒糖焼酎に使用されるのは外国産や沖縄産が主流。地元産は焼酎以外に使われることが多く、奄美の多くの焼酎酒蔵では使われていませんでした。

最近では、奄美産のサトウキビを使った黒糖焼酎も製造されていますが、蔵元ではそれに先んじて、栽培を始めました。

蔵元のサトウキビ栽培では収穫作業も機械を使わず、人の手を介して作業されます。そのためサトウキビの酸化を防ぐことができ、サトウキビの持ち味は損なわれることなく風味のある黒糖に仕上がるといいます。1月の収穫期には家族総出で刈り取ります。

米のみならず、サトウキビまで自社で製造。完全自社100%にこだわり、唯一無二の味わいを引き出している山田酒造の焼酎作りは、焼酎のトレンドを見きわめる上でも特筆すべきものです。

3代目当主が開発した「長雲 一番橋」の画像

3代目当主が開発した「長雲 一番橋」

「長雲 一番橋」は、3代目当主で杜氏も務める山田隆博氏が開発した黒糖焼酎です。この焼酎は、「黒糖をそのままかじったより、もっと黒糖味を出したい」という想いをもって造られました。

山田酒造の代表銘柄の「長雲」よりも、黒糖の風味を強く感じます。技術的な秘訣があり黒糖を溶解する際、黒糖を網で引っ張り水の中に浮かせることによって、溶かしやすいように工夫したといいます。

名前は、蔵の付近にある本茶峠のはじめの川に架かっている「一番橋」と呼ばれる小さな橋が由来。
一番橋のたもとには農協の酒造場があり、そこはまさに初代・嶺義氏が焼酎造りを学んだ場所であったといいます。

飲み方は、ソーダ割りがおすすめですの画像

黒糖の甘みをしっかり味わえます。南国のフルーツ香が漂い、そのなかに黒酢のようなシャープさがあります。丸みを帯びつつも重厚感のあるどっしりとした味わいで、舌の上で沈み込むようなパワーも。黒糖焼酎を濃厚に感じるにぴったりの1本です。

飲み方は、ソーダ割りがおすすめです。黒糖の甘みとソーダのスッキリ感が相乗効果で良い飲み心地を演出します。

銘柄データの画像

〈銘柄データ〉

【長雲 一番橋(ながくも いちばんばし)】
山田酒造/鹿児島大島郡龍郷町大勝1373−ハ
主原料/黒糖
麹菌/白麹(米)
度数/30度
蒸留/常圧蒸留

この記事を書いた人

人気の記事