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甲類焼酎の歴史を紹介します!

チューハイやレモンサワーに欠かせないお酒といえば甲類焼酎。
クリアでピュアな味わいは、どんなドリンクで割っても期待を裏切ることはありませんよね。最近は、お酢やトマトジュースで割って楽しむ健康志向の人もいるようです。
そんな人気者の甲類焼酎ですが、いつから飲まれるようになったかご存知ですか?
今回は甲類焼酎の歴史を紹介します。

焼酎の歴史

焼酎は蒸留酒の一種ですが、蒸留酒を作る上で欠かせないのが蒸留技術。
蒸留の歴史は意外と古く、古代メソポタミアの時代にはその技術が発明されたといいます。その証左として、花やスパイスを蒸留した道具が、かの地で発見されています。
哲学者として有名なアリストテレスも、論文の中で蒸留について言及してるのも有名な話。

中世になると蒸留酒が作られるようになります。ヨーロッパでは当時、猛威をふるったコレラを予防する飲み物として需要が殺到。
また、ヨーロッパだけでなくアジアにも広がります。アラビア商人によるところが大きいとされ、蒸留酒はアラビア語で”汗をかく”という意味のアランビックと呼ばれます。江戸時代の蒸留機はランビキという名前でしたが、アランビックが転じたものといいます。

ところで、焼酎には甲類焼酎以外に、乙類焼酎があるのはご存知ですよね、その大きな違いは蒸留方法。
甲類焼酎:連続式蒸留機で蒸留
乙類焼酎:単式蒸留機で蒸留
連続式蒸留機は19世紀に入ってから発明されたもので、この時代の蒸留酒は単式蒸留機しかありませんでした。単式蒸留機は醪(もろみ)を入れた耐熱容器に火をかけて、蒸発した気体を冷却する単純な構造。単純な構造のために蒸留機の製造が容易で、世界に普及したといえるでしょう。

連統式蒸留機が登場するのは1826年。スコットランドで開発されました。
1832年にその蒸留機をアイルランドのイーニアス・コフィが改良してパテント(特許)を得たことから、以降はパテント・スチルと呼ばれるようになります。
コフィのこの蒸留装置は、醪塔と精留塔の二塔式で、エチルアルコール、高級アルコール、水その他の成分の沸点や比重の差を利用して蒸気を集め、別々に凝縮させる構造をしたとても複雑なもの。
スコットランドやアイルランドでは、ブレンド用のグレン・ウィスキーの蒸留に使われるようになります。

甲類焼酎が誕生前

甲類焼酎が誕生前のアルコールは、江戸時代後期、蘭学を通じて紹介されていました。
宇田川榕庵(うだがわ ようあん)という人が書いた『遠西医方名物考(えんせいいほうめいぶつこう)』の中で、アルコールについての初めての記述があります。当時の当て字は「亜爾個児」。

それ以降は明治6年、大阪府立病院が発行した『日講記聞』にアルコールの薬効が書かれています。コレラや毒蛇に咬まれた時に効果があるものとして紹介されています。
初期のアルコールの用途は主として医薬品向けです。大部分が輸入品で、大阪を中心とした薬問屋からの全国に流通していました。

明治20年代に入ると、アルコールはお酒に加えて度数を補強したり、不安定だった製造量を補完するために使用されるようになります。当時、このような行為は法的に認められていました。銘酒といわれた清酒もアルコールで調整したお酒がほとんどといわれています。

販売にいたっては法的規制もなく、酒屋や居酒屋ではお酒にアルコールを加えたものが提供されていたといいます。戦後のカストリ・バクダンといわれる時代の萌芽はこの頃からあったといっていいでしょう。

甲類焼酎の誕生

連統式蒸留機が初めて登場したのは日清戦争の最中の1894年(明治27年)。酒蔵ではなく、陸軍の火薬製造所に導入されます。火薬製造の原料としてアルコールが必要で、輸入だけでは賄えなくなったのです。日清戦争の後、日露戦争に突入するとアルコールの増産が始まり、全国各地でアルコール工場が造られるようになります。

連統式蒸留機で造られたアルコールは火薬原料としてだけでなく、お酒として流通するようになります。明治43年に愛媛県宇和島の日本酒精が「日の本焼酎」を世に出しだのが最初といわれています。

連続式蒸留機で作ったお酒は、連続して蒸留するので不純物がどんどん除去され、無味無臭でクリアな酒質が特徴。市場に出回ると、人々の人気を集めるようになります。
それまでの単式蒸留機で作られた雑味が多く、臭いの強烈な焼酎と比較され、酔い覚めの良い新しい焼酎として「新式焼酎」と名付けられブームを起こします。

まとめ

いかがでしたか。
甲類焼酎の歴史は、連続式蒸留機の導入によって始まったのでした。
クリアでピュアな酒質は、当時の人々は驚いたことでしょう。
大量かつ、コスパ良く製造が可能な甲類焼酎は、現代だけでなく、昔の人からも今も愛されたお酒だったんですね。

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