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本格焼酎ってどういう意味?

本格焼酎ってどういう意味?

焼酎はその製造方法の違いによって、「本格焼酎」(焼酎乙類)と「焼酎甲類」の2つに分類されています。
今回は、個性的な味わいや香りが特徴といわれる「本格焼酎」をご紹介します。

本格焼酎とは?

「本格焼酎」(乙類焼酎)は、単式蒸留器を使った昔ながらの製法でつくられる焼酎のことです。最初に原材料をアルコールに変えるための麹を作り、芋や麦、米といった主原料を仕込んでできた醪(もろみ)を蒸留させて造ります。
単式蒸留器は単純に蒸留されるので、原料の味わいや香りがお酒に移ります。
その濃厚な味わいを楽しむため、昔からストレートやお湯割りで飲まれています。

一方、「甲類焼酎」は、連続式蒸留機を使用し、何度も蒸留を繰り返して純粋なアルコール分を取り出すことによって造られます。
アルコールの練度が高くなるため、材料の味わいは感じられずクリアな酒質が身上。
ロックやストレートというよりは、シロップや果汁を加えた炭酸で割って飲むことが多いお酒です。

焼酎が「本格焼酎」と「焼酎甲類」に分類された理由は?

焼酎が2つに分類されたのは、1949年(昭和24年)の酒税法によるものです。しかし、そのきっかけは明治後期の近代化にあります。

明治後期は様々な産業で、機械化・大量生産化が始まった時代ですが、その波が焼酎業界にも訪れ、焼酎を2つに分類したのです。

かつての焼酎といえば、九州を中心にして飲まれていたローカルなお酒。
小さな単式蒸留機で蒸留されているため、生産量はきわめて少量です。
原料も今ほど洗練されているとはいえず、その独特の味わいは九州以外のエリアでは「クセがある」といわれました。

明治後期に入るとそれまでの焼酎とは違った、新しい焼酎が誕生します。
焼酎造りに、ドイツから連続式蒸留機という大きな機械が導入されたからです。
連続式蒸留機は、大量生産が可能なので、焼酎が安定して全国に流通。
また、繰り返して蒸留するため、クセがなくピュアな味わいになります。
そのため、飲みやすいお酒として全国的な評判を獲得します。

それまでの焼酎を「在来式焼酎」と呼び、新しい焼酎を「新式焼酎」と呼んで2つに分類するようになりました。

「甲類焼酎」「乙類焼酎」とは?

1949年(昭和24年)の酒税法では、新式を「甲類焼酎」、在来式を「乙類焼酎」と呼ぶようになります。

当時、在来式焼酎の生産量は約2万キロリットルでしたが、新式焼酎は約15万キロリットルの生産量があり、圧倒的な差がありました。
在来式焼酎は少量生産であるのに対して、新式焼酎の連続式蒸留機は大量生産が可能だからです。

酒税法を管轄する国税局にとっては、大量生産が可能な新式焼酎の方が税収入的なメリットがあるので、新式焼酎を「甲」、在来式焼酎を「乙」にしたのといわれています。

乙類焼酎は、一般的には醪(もろみ)といわれるアルコール含有物を、単式蒸留器を使って蒸留したアルコール度数が45度以下のもの。
甲類焼酎は、連続式蒸留器を使って蒸留したアルコール度数が36度未満のもの、として分類しました。

「連続式蒸留焼酎」、「単式蒸留焼酎」とは?

甲類、乙類の分類は、南九州で焼酎造りをしている伝統的な焼酎蔵にとって、納得のいかないものだったといいます。
昭和初期の日本では、学校の成績の優劣を「甲」、「乙」、「丙」・・・で評価した歴史があるので、自分たちの造った焼酎が劣っているような違和感があったためです。

そして,九州旧式焼酎協議会で当時の霧島酒造の社長であった江夏順吉氏が本格焼酎の呼称を提唱。
これが九州地方に多い焼酎メーカーの賛同を経たといいます。

2006年(平成18年)には、酒税法が改正になり、焼酎の正式名称は、甲類焼酎は「連続式蒸留焼酎」、乙類焼酎は「単式蒸留焼酎」に変更されました。

◆「単式蒸留焼酎」
「単式蒸留焼酎」とは、乙類焼酎(=在来式)のことです。
ただ、従来の表記も認められているので、銘柄のボトルに貼られたラベルには「焼酎乙類」「単式蒸留焼酎」「本格焼酎」と様々な表記をみかけることがあります。

◆「連続式蒸留焼酎」
「連続式蒸留焼酎」とは、甲類焼酎(=新来式)のこと。
ただ、従来の表記も認められているので、銘柄のボトルに貼られたラベルには「焼酎甲類」と今までの表記をみかけることがあります。

本格焼酎の定義とは?

2002年の改正で、本格焼酎が定義されるようになります。
下記の条件を満たさない限り本格焼酎を名乗ることができなくなりました。

(1)単式蒸溜で仕込む。
(2)「穀類(米、麦など)」「芋類」「清酒粕」「黒糖」と、以下の49品以外の原料は使用できない。
あしたば/あずき/あまちゃづる/アロエ/ウーロン茶/梅の種/えのきたけ/おたねにんじん/かぼちゃ/牛乳/ぎんなん/くず粉/くまざさ/くり/グリーンピース/こならの実/ごま/こんぶ/サフラン/サボテン/しいたけ/しそ/大根/脱脂粉乳/たまねぎ/つのまた/つるつる/とちのきの実/トマト/なつめやしの実/ にんじん/ねぎ/のり/ピーマン/ひしの実/ひまわりの種/ふきのとう/べにばな/ホエイパウダー/ほていあおい/またたび/抹茶/まてばしいの実/ゆりね/よもぎ/落花生/緑茶/れんこん/わかめ

(3)水以外の添加物は一切使わない。

本格焼酎は日本の「國酒」に

2012年、内閣府によって本格焼酎は、日本酒と並び日本の「國酒」として定められました。
麹を使用する本格焼酎は、日本特有の麹文化の所産であり、世界に誇る伝統民族酒。
米麹を使った日本酒を造る技術は1300年以上前といわれますが、本格焼酎も500年以上の歴史があります。

むかしから本格焼酎造りが盛んな南九州では、今でも土地の気候や風土、農作物などの影響を色濃く受けながら、伝統が大切に受け継がれています。

本格焼酎は、日本を代表する「國酒」。
ぜひ一度、日本らしさが詰まった本格焼酎を楽しんでみてください。

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