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麦焼酎 特蒸泰明

麦焼酎 特蒸泰明

藤居醸造の焼酎

今回ご紹介する「特蒸泰明」を生産する蔵元は、大分県豊後大野市千歳町にある昭和4年(1929年)に創業した藤居醸造です。
「井田萬力屋」という屋号を持ち「自然の恵みを大切にし、伝統の技を守る」という信念のもと、創業以家族で経営する年間生産量700石の小さな蔵元。
原料の蒸し作業からラベル貼りまでの全工程を手作業で行う、大分県内で唯一完全手造りを続けています。

原料への思い

藤居醸造では、完全無農薬・無化学肥料で栽培した二条大麦「ニシノチカラ」を使用しています。
三代目当主である藤居淳一郎氏が大学時代に有機農法を学び、地元農家で契約栽培された原料にこだわっているからです。
また、仕込みには日本名水百選に選ばれた竹田名水を使用。
安心・安全な焼酎造りと、飲み易さよりも飲み応えを追求し常圧蒸留にこだわるのもこの蔵の特徴です。

手造りにこだわる

多くの焼酎蔵では、製麹機(せいきくき)という機械で麹を造りますが、藤居醸造では手造りにこだわっています。
蒸した麦に麹菌を振りかけ石造りの室(むろ)に運び、室蓋という木箱を使い、人の手を介して麹を造っています。

「うちの蔵でしか、できないことがある」という想いから、昔ながらの道具にこだわり、完全手造りで仕上げているのです。
そのため、機械化された大手焼酎メーカーとは一味違う深い味わいが、この蔵元が手がける焼酎の特徴。

大分の麦焼酎とは

かつての焼酎造り

大分県は、美しい海や雄大な山々に囲まれた自然に恵まれた土地。
国内有数の温泉地として広く知られていますが、清らかな水も豊富で、お酒造りに最適な場所とされています。
古くは、日本酒造りが盛んで、豊臣秀吉の治世時代には醍醐の花見の宴にこの地方の麻地酒が出されたという記録が残っているほど。
焼酎といえば、日本酒造りの副産物である酒粕や白糠を使った粕取り焼酎が造られていました。
粕取り焼酎の生産量は、戦前には福岡県に次ぐ規模だったといいます。

1970年以降の大分焼酎

1970年代に、県内の酒造メーカーが麦を100%使用した焼酎を開発。
それまでの麦焼酎は、麹にお米を使用していたので麦焼酎といっても麦が100%というわけではありませんでした。
麦で100%造られた焼酎は、クリアで軽やかな味わいとして人気を博し、大分県の焼酎が全国に知られるようになったのです。

今の大分麦焼酎は、クリアで軽快で飲みやすいものから、麦のコクを楽しむものまで幅広いバリエーションがあります。
1970年代に焼酎をけん引した「二階堂」と「いいちこ」は今でも人気ですが、他の焼酎蔵も順調に生産量を増やし、大分の麦焼酎の人気を支えています。

藤居醸造のような大規模とはいえない地元の蔵元が、独自の味を追求し高品質な酒を生み出し、それにより日本中で愛される銘柄が知られるようになりました。

「特蒸泰明」のご紹介

「特蒸泰明」開発以前

1973年に「二階堂」で知られる老舗の酒蔵である二階堂酒造が、麦と麦麹を原料にした麦100%の本格麦焼酎を発売。
続いて、三和酒類から麦麹100%の「いいちこ」が登場し、それまでにない軽やかな香りとクリアな味わいに、全国から注目が集まりました。
以来、日本全国に進出して、二大銘柄に代表される飲み飽きしない日常酒が大分麦焼酎の主流となります。

時代と地域のニーズによって生まれた銘柄

一方、大分県は、昔から麦麹を使った味噌や醤油の製造が盛ん。
そのため麦に対するこだわりが非常に高い地域でもあります。
麹も原料も麦100%で作った焼酎は、クリアな味わいだけではないと、麦本来の香りを感じる焼酎造りを地元の酒蔵が作り始めたのでした。
ナショナルブランドとなった二大銘柄とは別に、原料特有のコクを生かした麦焼酎が徐々に注目を集めることになります。

ただ、それには機械による大量生産ではなく、昔ながらの丁寧に行われる仕込みが生命線。
この「特蒸泰明」は、そんなクリアな味わい焼酎とは対極をなす時代と地域のニーズによって生まれた銘柄なのです。

「特蒸泰明」の飲み方

「特蒸泰明」は、ハイボールが似合います。
「特蒸泰明」の蒸留法は常圧蒸留。
1970年代にブームとなった軽やかな香りとクリアな味わいの焼酎は、減圧蒸留だからこそ実現しましたが、常圧蒸留はその対極にあります。
常圧蒸留で作られた麦焼酎は、麦特有のコクのある味わいが特徴なのです。

その常圧蒸留で造られた麦焼酎の中でも、特に香ばしいタイプがこの「特蒸泰明」。
その味わいと香りは、往年の銘菓「麦チョコ」のようだと表現され、ウイスキーのようだといわれます。

「特蒸泰明」とウイスキー

ウイスキーも麦焼酎もどちらも同じ蒸留酒。
中でも味わいと香りが唯一無二といわれるシングルモルトウイスキーは、麦焼酎と同じ二条大麦が原料。
麦焼酎とシングルモルトウイスキーはどちらも丁寧に造られたこだわりのお酒。
特に「特蒸泰明」は、シングルモルトウイスキーの持つ、スモーキーな味わいが感じられます。
野性味あふれるスモーキーな味わいの香ばしさを感じられる「特蒸泰明」は、シングルモルトウイスキーと双璧をなすお酒といってもよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか。
飲みやすさより、飲みごたえのある焼酎を追求する「特蒸泰明」。
蔵元である藤居醸造は、クリアで軽やかな味わいと対極の大分焼酎を造り続けています。

今後もウイスキーに対抗しうる日本を代表する蒸留酒として、麦焼酎を牽引し続けることでしょう。

今夜、「特蒸泰明」をハイボールで飲んでみてはいかがてしょうか。

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