麦チョコ系焼酎とは?
麦焼酎といえば、クリアでクセのない味わいが有名ですよね。
「いいちこ」や「二階堂」といった銘柄は、手軽にコンビニやスーパーで購入できるので、全国的に人気があります。
そんな麦焼酎ですが、コクのある味わいが特徴的な焼酎をご存知ですか?。
クリアでマイルドな銘柄とは正反対に、麦本来の香ばしい甘さがあり、ファンの間では「麦チョコ」系焼酎と呼ばれています。
そんな「麦チョコ」系焼酎をご紹介します。
目次
「麦チョコ」とは?
麦チョコというのは、昭和時代に流行した駄菓子で、小麦や大麦のポン菓子をチョコレートでコーティングしたもの。
麦とチョコがマッチングして、どこか懐かしさを感じる今でも人気のお菓子です。
麦チョコという表現は、大分県の焼酎蔵から発売された麦焼酎がきっかけといわれています。
甘く香ばしいその味わいは、それまでのクリアでマイルドな麦焼酎と違い「麦チョコ」のようだと注目を集めたのでした。
その後、多くの焼酎蔵も麦チョコの味わいを持った焼酎を発売して、”麦チョコ系”焼酎が広がりをみせたのでした。
「麦チョコ」焼酎が開発された背景
1980年代に「二階堂」が発売されて、大分の麦焼酎が注目を集めます。
クリアでクセのない味わいの麦焼酎として、それ以前の焼酎が苦手な層を取り込んでいったのです。
その後、「いいちこ」が発売され、大分の麦焼酎の人気は全国に広がりました。
そんな大分ですが、実は昔から麦の栽培が盛んな地域。
麦について一家言ある人が多く、クリアでマイルドな麦焼酎だけが麦で作った焼酎ではないと考える人が出てきました。
麦は、もともと香ばしく風味が豊かな農作物なので、その特徴を活かした焼酎ができないものかと。
そんな事情が、「麦チョコ」系焼酎が開発される背景だったといいます。
麦チョコ系焼酎の特徴
麦チョコ系焼酎の特徴:1
麦チョコ系焼酎の特徴は、裸麦を使用していること。
裸麦というのは、六条大麦の一種。
昔から日本で栽培され、麦茶や味噌に用いられている国産麦です。
一方、一般的な麦焼酎の原材料は、裸麦ではなく二条大麦という品種が使われています。
粒が大きく、でんぷん価も高いため、ビールの原料としてヨーロッパから明治期に入ってきた外来種ですが、使用する蔵が増えていきました。
二条大麦で造った焼酎はクリアな酒質に仕上がりますが、麦本来の味わいは出にくい品種。
麦本来の香ばしい甘味のある味わいには、裸麦の方が最適なのです。
麦チョコ系焼酎の味わいは、昔ながらの国産麦を使ったために実現したのです。
麦チョコ系焼酎の特徴:2
麦チョコ系焼酎の2つめの特徴は、常圧蒸溜です。
麦本来の味わいは、常温下で蒸留する常圧蒸留だからこそ実現できるのです。
クリア系麦焼酎の蒸留法は、減圧蒸溜ですが、低い温度で調整されるため、麦の香りは抑えられてしまいます。
常圧蒸留というのは、原料の香りや味わいが酒質に反映されやすいので、麦の特徴を出すには最適な蒸留法なのです。
「麦チョコ」焼酎はウイスキー好きにおすすめ
麦チョコ系焼酎の味わいと香りは、ウイスキーのようだといわれます。
麦焼酎とウイスキーの原材料は穀物ですが、中でもシングルモルトウイスキーの原料は同じ大麦です。
蒸留器も単式蒸留器なので、麦焼酎とシングルモルトウイスキーは、類似点の多い蒸留酒。
特に麦を100%使用した麦チョコ系焼酎は、味わい香り共に、シングルモルトウイスキーのようだといわれています。
まわりにシングルモルトウイスキーが好きな人がいたら、麦チョコ系焼酎をおすすめしてみてください。
麦本来の甘さを持ったコクが特徴の麦チョコ系焼酎は、きっとシングルモルトウイスキー好きを虜にするでしょう。
麦チョコ系焼酎を代表する3銘柄とおすすめの飲み方
麦チョコ系焼酎を代表する3銘柄
麦チョコ系焼酎を代表する3銘柄を紹介します。
【兼八(かねはち)】
「麦チョコ」焼酎と呼ばれた先駆けの銘柄です。
大分県宇佐市にある1919年から続く、四ツ谷酒造が造っています。
5代目当主の四ッ谷岳昭氏が兼八を開発。
銘柄名は初代当主である四ッ谷兼八氏が由来です。
それまでのクリア系焼酎とは違った、香ばしい麦本来の味を出すべく、裸麦を最初に使用した銘柄。
香りは強く、はっきりしており、ライ麦パンのような麦焦がしい香りが特徴。
口の中にまろやかな味わいが広がり、余韻にも長く香ばしい香りが残ります。
【特蒸泰明(とくじょうたいめい)】
特蒸泰明は、大分県の家族経営の小さな蔵。
今でも昔ながらの仕込み方法で焼酎を造っています。大分麦焼酎の麹は、原材料と同じ麦を使用しますが、この麹を作る工程も昔ながらの手作業をしています。
この蔵で造る「特蒸泰明」は常圧蒸留で醸された「麦チョコ」の味わいが濃厚。
ロースト系の香ばしさと重厚な旨味を感じます。
また、「特蒸泰明」の最大の特徴は、シングルモルトウイスキーを彷彿させるような、スモーキーさ。
コスパに優れているので、ウイスキー好きにもオススメの一本。
【月の中 三段じこみ(つきんなか さんだんじこみ)】
この麦焼酎は、一次仕込みは米麹、二次仕込みは麦麹、さらに米麹を使って三段階の仕込みを行います。
常圧で蒸留したのち、さらに三年間熟成。
程よい香ばしさと芳醇な旨味は、まさに「麦チョコ」系焼酎ならでは。
麦チョコ系焼酎といえば、大分県が有名ですが、この銘柄の岩倉酒造場は宮崎県にある焼酎蔵。
麦チョコ系焼酎は、今では全国の焼酎蔵で作られていますが、その嚆矢となる逸品です。
ストレートやロックでちびりちびり口に含むと、クリーミーな余韻に浸ることが出来ます。
麦チョコ系焼酎のおいしい飲み方
「麦チョコ」焼酎は、他の焼酎同様に、ストレートやロック、水割りでもおいしくいただけます。
焼酎ならではの多彩な飲み方を楽しんでみてください。
中でも、麦チョコの甘味や香りを存分に楽しみたい人は、ハイボールがオススメ。
同じ麦を原料にしたウイスキーのように、シュワシュワした炭酸と麦の香ばしい味わいは相性が良いのです。
また、「麦チョコ」焼酎はウイスキーのように甘味とコクが特徴的なので、ロックで食事の後にゆっくり味わうのもよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
香ばしい甘さが特徴の「麦チョコ」焼酎。
麦チョコ系焼酎とは、麦本来の香ばしさを前面に出した麦焼酎だったのです。
ウイスキーと特徴が最もよく似ている焼酎としても、ご記憶ください。
みなさんも、ぜひ麦チョコ系焼酎の味わいを楽しんでみてくださいね。
この記事を書いた人
SHOCHU PRESS編集部
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