1. HOME
  2. 最新ニュース
  3. 連続式蒸留焼酎と世界の蒸留酒 世界の連続式蒸留のお酒〜 ウイスキー・ブランデー編〜
連続式蒸留焼酎と世界の蒸留酒 世界の連続式蒸留のお酒とは〜 ウイスキー・ブランデー編ー

連続式蒸留焼酎と世界の蒸留酒 世界の連続式蒸留のお酒〜 ウイスキー・ブランデー編〜

連続式蒸留焼酎である甲類焼酎は、コストパフォーマンスに優れたお酒として広く親しまれています。
そもそも連続式蒸留機は、19世紀中頃に開発された蒸留装置で、それまで主流だった単式蒸留による酒造りに大きな変革をもたらしました。

この技術の導入により、大量生産、品質の安定化、そして製造コストの削減という三つの要素が実現。
その結果、連続式蒸留焼酎には大衆的なお酒というイメージが定着していきました。

しかし、世界に目を向けると、連続式蒸留によって造られる酒は、各国の酒文化において重要な役割を果たしてきたことが分かります。
本記事では、日本と世界を比較しながら、連続式蒸留で造られるお酒の位置づけとその魅力についてご紹介します。

日本の単式蒸留と連続式蒸留の違い

連続式蒸留の前には、単式蒸留がありました。
では、日本の単式蒸留と連続式蒸留の違いを改めてご紹介します。

単式蒸留器(ランビキ・カブト釜)の仕組みと特徴

江戸時代を通じて、焼酎の蒸留に使われてきた単式蒸留器は「ランビキ」と呼ばれていました。
酒粕取り焼酎の場合、清酒醸造で用いる大釜の上にせいろを置き、その中に酒粕を詰めます。
釜で湯を沸かすと、蒸気が酒粕の間を通過し、アルコールを含む揮発成分が蒸発します。

この蒸気を集める部分は兜(カブト)に似た形状をしていたため、「カブト」と呼ばれ、単式蒸留器は「カブト釜」とも称されました。
酒粕には籾殻を混ぜ、蒸気の通りを良くする工夫もなされていました。

単式蒸留の最大の特徴は、一回の蒸留ごとに原料を入れ替える必要がある点。
アルコール分が蒸発し尽くすと火を止め、再び仕込みを行います。
また、蒸留の初期にはアルコール濃度が高く、次第に低下していくという性質があります。
この工程こそが「酒を焼く」行為であり、焼酎という名称の由来でもあります。

連続式蒸留機とは何か ― 新式焼酎の誕生 ―

これに対し、連続式蒸留機は近代的かつ効率的な蒸留装置です。
アルコールを含む液体を連続的に供給すると、一定濃度(約95度前後)のアルコールが継続的に留出し、同時に蒸留廃液も排出されます。
この仕組みからコンティニュアス・スチル(連続式蒸留機)と呼ばれます。

この高濃度アルコールを水で希釈することで、連続的に焼酎を製造できるようになり、ここに新式焼酎(連続式蒸留焼酎)が誕生しました。
これにより、従来の伝統的焼酎は「旧式焼酎」と呼ばれるように。

さらに、新式焼酎に少量の酒粕取り焼酎をブレンドした「ハイカラ焼酎」は、その軽快な飲み口から急速に普及しました。
戦後を経て、アルコールを水で希釈した酒も焼酎として広く受け入れられ、現在ではアルコールは「酒類原料用アルコール」として、清酒にも欠かせない存在となっています。

明治時代に起きた、日本酒と焼酎の変化とは

酒税法改正とバクダン・カストリ時代がもたらした連続式蒸留の評価

1949年(昭和24年)の酒税法改正により、新式焼酎は甲類焼酎、従来の単式蒸留による焼酎は乙類焼酎として分類され、それぞれ異なる道を歩むことになります。
この制度改正は、焼酎の製法と評価を大きく分ける転換点となりました。

なかでも、甲類焼酎にとって「安い酒」というイメージが決定的となる不幸な出来事が、戦後に起こります。
それが、いわゆるバクダン・カストリ時代です。
戦後の深刻な物資不足の中で、本来は工業用であるメチルアルコールが闇市に流通し、健康被害や死者まで出す事態となりました。

【焼酎の歴史】バクダン・カストリ時代

この時代の記憶が強く残ったことで、連続式蒸留に対するイメージは大きく損なわれ、甲類焼酎の社会的評価は次第に低下していくこととなったのでした。

連続式蒸留機が世界の蒸留酒に与えた影響

1932年にイーニアス・コフィーが開発した連続式蒸留機は、日本だけでなく世界の蒸留酒に大きな影響をもたらします。
それでは、スコットランドで作られるスコッチ・ウイスキーとアメリカ・カナディアンウイスキー、ブランデーにスポットを当ててご紹介します。

スコッチ・ウイスキーに与えた影響

スコッチ・ウイスキーに与えた影響

連続式蒸留機が開発される以前のスコッチ・ウイスキーにおいては、単式蒸留器がメインでした。
今でもモルト・ウイスキーは、単式蒸留器で製造されています。

一方、連続式蒸留機で製造されたお酒は、「グレーン・ウイスキー」と呼ばれます。
連続式蒸留機によるグレーン・ウイスキーは不純物が少なく軽快な味わいが身上。
香味の強いモルトウイスキーを和らげる役割のお酒として注目されます。

単式蒸留器で造られるモルト・ウイスキーに、連続式蒸留機で造られるグレーン・ウイスキーをブレンドする方法が確立されます。
これにより、スコッチ・ウイスキーの代名詞であるブレンデッド・ウイスキーの「酒質の安定化」、「コスト削減」、「大量生産」が可能となりました。

アメリカン・カナディアンウイスキーの蒸留法

アメリカン・カナディアンウイスキーの蒸留法

アメリカおよびカナダでは、連続式蒸留機が積極的に活用されています。
スコッチ・ウイスキーに比べて歴史は浅いものの、連続式蒸留機の導入によって大量かつ安定した生産が可能となり、その結果、アメリカンウイスキーやカナディアンウイスキーは世界的に広く普及していきました。

アメリカンウイスキーでは、効率的な大量生産と、ウイスキーらしい力強い味わいを両立させるために、二段階の蒸留工程を採用するのが一般的。
この蒸留方法は、連続式蒸留機と単式蒸留機の特性を組み合わせた、アメリカ独自の合理的な製法といえます。

その中でも、連続式蒸留機の留出時のアルコール度数が、”80度以下”に抑えることが法律で定められいる点に注目。
連続式蒸留機の最大出力では、100度に近いアルコールが留出されるので、その抑止のためだと言われています。
これによりウイスキー本来のフレーバーが保持されるのです。

カナディアンウイスキーは、蒸留には主として連続式蒸留機(コラムスチル)が用いられ、効率的かつ安定した酒質が実現されています。
主にトウモロコシを主体とした軽快な「ベースウイスキー」と、ライ麦を主体とした芳醇な「フレーバリングウイスキー」の2種類を、それぞれ別個に蒸留・熟成し、後にブレンドする製法が大きな特徴。

そのため連続式蒸留機による。低濃度留出によって香り豊かなウイスキーが生み出されるのです。

ブランデーと連続式蒸留 ― 完全否定と限定的利用 ―

ブランデーと連続式蒸留 ― 完全否定と限定的利用 ―

一方、ブランデーの世界では連続式蒸留に対する姿勢は対照的です。
フランスのコニャックをはじめ、多くの伝統的ブランデー産地では、現在も単式蒸留器(アランビック)のみが使用されています。
これは香味を重視するため。

ただし、ワインを蒸留したアルコールを補強用として用いる場合には、連続式蒸留機が使われることもあります。
この場合は中性ブランデー(ニュートラルブランデー)と呼ばれます。

ちなみに、日本の酒税法において、ブランデーはウイスキー類に分類されており、「ウイスキー類ブランデー」として扱われています。
また、かつてはワインを蒸留したブランデー原酒は特級とされ、そこに連続式蒸留による酒類原料用アルコールが加わると等級が下がっていきました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
日本の連続式蒸留機で造られる酒と、世界の蒸留酒における連続式蒸留機の役割には、興味深い違いがあります。

日本では、連続式蒸留機で造られた酒は、大容量のペットボトルに代表されるような、コストパフォーマンスに優れた酒というイメージを持たれがちです。
しかし世界に目を向けると、連続式蒸留機はバーボンなどのアメリカンウイスキーや、スコッチ・ウイスキーにおいても重要な役割を果たしてきました。

この点は、意外に感じられた方も多いかもしれません。
ぜひこの機会に、連続式蒸留焼酎をあらためてじっくりと味わい、その魅力を再発見してみてください。

この記事を書いた人

人気の記事