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焼酎と味わいの正体の写真

焼酎の「味わい」の正体とは

人間の五感

人間が感じる五感は、視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚ですよね。
つまり、「視て」、「聴いて」、「嗅いで」、「味わって」、「触れて」のことです。

料理やお酒を楽しむ際にも、とても大事なもの。

料理とお酒が、テーブルに運ばれてくると、
お皿に盛りつけられた料理、グラスに注がれたお酒を、「視て」、「聴いて」、
顔を寄せて「嗅いで」、口に入れて「触れて」、舌で「味わって」楽しむ。
そのように五感を全開にして至福の時間を過ごします、よね。

焼酎の成分

焼酎は、「焼酎の造り方」で説明した通り、蒸留という製造工程を経ます。
蒸溜は、焼酎の形を造っているほど重要な工程で、日本酒と焼酎の決定的な違いでもあります。
日本酒は蒸留をしないが、焼酎は蒸留をする、のです。

蒸溜すると、アルコール以外についての成分は、ほとんど気化しません。
アルコールの沸点は78,3℃。アルコール以外の成分は、蒸留によっては僅かにしか獲得できないのです。
ですので、蒸留後の原酒の成分は、ほとんどがエチルアルコールと水なのです。
その割合は99%以上!
残りのごく微量のI%未満の成分が、焼酎としての個性を発揮し、原料による風味の違い、コクやクセをつくり出しているのです。
原料や製法へのこだわりのすべてが、この微量成分に凝縮されているのです。

微量成分の正体

この微量成分は、ほとんどが香りでしか感じることができません。
前述の五感で言うと、「嗅いで」楽しむ、臭覚の部分。
これは皆さんも意外に思うハズ。
芋焼酎や黒糖焼酎を「甘い」と感じた経験もあると思いますから。
ですが、この甘いと感じるのは、舌にある「味蕾」という器官で感知される成分ではないのです。

この成分の正体は、フーゼル油といいます。
蒸留によって、イソブタノール、イソアミルアルコール、n-プロパノールなどの高級アルコール類と、そのエステル類を主成分とする混合物と呼ばれる揮発性成分によって生まれます。
それらの組成の比率に応じてさまざまな香りを生むと言われており、焼酎がそれぞれ個性ある香りを生むのは、焼酎の原材料の種類によって、フーゼル油の組成の比率が異なるためであるといわれています。


【余談】西欧の醸造酒と蒸留酒

西欧の醸造酒であるワインは、豊かな香りがあり、酸やエキス分、渋みをもっています。
ちなみに、日本を代表する日本酒にも、旨味を代表するアミノ酸があって、味わいを感じることができます。
それは、蒸留されることはないので、原材料の成分が多く抽出されているからです。

食中酒としてワインが選択されてきたのは、このような「味わう」要素が深く豊富で、料理との相乗効果が高いからなのです。

一方、西欧の蒸留酒であるウイスキーは、蒸留後は、「無味無臭」。
ほとんどが、エチルアルコールと水。
ただ、ウイスキーは蒸留後に、樽で貯蔵熟成します。
それはつまり、無味無臭に近いウイスキー原酒を、1%の個性を補完させるために、樽材の香りを人工的につけていたわけです。

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