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25度の焼酎を、日本酒と同じ度数にの画像」

焼酎と日本酒の違いはなに?

2022-03-20

世界的にも人気が高まっている、焼酎と日本酒。
飲んだことのある人も多いこの二種類のお酒ですが、違いを正しく説明できる人はあまりいないかもしれません。
今回は、「焼酎と日本酒の違い」について、様々な角度から見ていきます。

焼酎と日本酒の違いの画像

焼酎と日本酒の違い

焼酎と日本酒の原料

焼酎と日本酒は、まず原料から異なります。
「焼酎」は、米や芋、麦などの穀物類を原料に使用。
「芋焼酎」「麦焼酎」などは酒屋でもよく目にする表記です。
一方「日本酒」は、米のみを原料として使用します。
米は焼酎でも使用されますが、製造方法が異なります。

焼酎と日本酒の仕込方法

「仕込み」は、原料を発酵させて「醪(もろみ)」をつくる作業です。
醪とは、日本酒や焼酎になる前段の液体で、この醪をつくる工程が焼酎と日本酒では異なります。

焼酎の場合は、「一次仕込み」と「二次仕込み」の二段階で行われます。
まず一次仕込みで、麹、仕込み水、酵母を混ぜ合わせ、5〜6日かけて発酵させて「一次醪」をつくります。
次の二次仕込みでは、先程の「一次醪」に仕込み水、主原料(芋焼酎は蒸し芋、米焼酎は蒸し米)を加え、1〜2週間かけて発酵を進めます。こうして「二次醪」が完成します。

日本酒の場合は、通常「三段仕込み」という仕込み方法で行われます。
まず麹、蒸米、仕込み水を混ぜ合わせ、酵母を入れて「酒母(しゅぼ)」をつくり、ここから4日間かけて仕込んでいきます。

まず1日目「初添(はつぞえ)」。
タンクに先程の酒母、蒸米、麹米、水を入れて混ぜ合わせ、発酵させます。
2日目「踊り」では、何も加えずにかき混ぜ続け、酵母菌を増殖させます。
3日目「中添(なかぞえ)」では、全量が初添で入れたものの2倍になるように、麹、蒸米、水を加えていきます。
最終日となる4日目「留添(とめぞえ)」で、中添のときの2倍程度となる麹、蒸米、水を加えます。
留添のあとも発酵作業はつづき、おおよそ3週間〜1ヶ月程度かけて醪が完成します。

このように複数回に分ける理由は、酒母の酸素濃度にあります。
酒母は酵母菌がたくさん含まれる酸性の液体ですが、一気に発酵をすすめると、酒母のなかの酸素が薄くなります。
酸素がうすくなると、酵母菌の増殖が間に合わなくなり、酸性を保てなくなってしまい、雑菌が増殖してしまうのです。

そのため、複数回にわけて仕込みをし、酸性の状態を保って発酵を進めるのです。

焼酎と日本酒の製造方法

焼酎と日本酒では、製造方法も異なります。
焼酎は、蒸留酒といってウイスキーやジン、ウォッカ、テキーラ、ブランデーの仲間に分類されます。

焼酎の製造方法は、先程の仕込みでつくった「二次醪」を加熱し、出た蒸気を冷やして液体にしてつくります。
二次醪にはアルコールと水が含まれますが、水よりもアルコールの方が早く蒸発しはじめるため、この蒸留によりアルコールと香り成分を抽出することができます。

日本酒は、醸造酒といってビールやワインなどの仲間に分類されます。
製造方法は、先程の醪に火入れや貯蔵、ろ過などをすることによってつくられます。
焼酎のように蒸留して成分を抽出することがないので、基本的に焼酎よりもアルコール度数は低くなります。

焼酎と日本酒の味わいの違い

このように仕込み、製造方法が異なるため、味わいも大きく異なります。
焼酎は、原材料の特徴が味わいを変化させます。芋焼酎は芋の甘みやふくよかさ、麦焼酎は軽やかさ、米焼酎は米の香りや甘みが特徴となります。

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日本酒は原材料が米なので、米の香りや甘みがあります。
また日本酒には「精米歩合」というものがあり、この割合によっても風味が大きく異なります。
焼酎と日本酒のアルコール度数の違い
焼酎と日本酒では、製造方法の段階でアルコール度数に大きな差が出ます。

焼酎は、醪を加熱してアルコール成分を抽出するために、日本酒よりもアルコール度数が高いものが一般的。
そのため日本酒はアルコール度数が15度前後なのに対し、焼酎は20〜25度のものが主流となっています。

しかし、焼酎でもアルコール度数をおさえた商品があります。黒木本店の「球」は、アルコール度数がなんと14度。
日本酒並みのアルコール度数に抑えられているため、大変やわらかな口当たりに仕上がっています。

焼焼酎と日本酒の仕込方法の画像

焼酎と日本酒の共通点

割水

「割水(わりみず)」は、出来上がった原酒に水を加えて、アルコール度数などを調整することです。
焼酎と日本酒どちらも、基本的にはこの割水をして調整したものを出荷します。

日本酒の場合は、もともとアルコール度数が高くないため、この割水をせずに「原酒」として出荷することもあります。

焼酎の場合は、原酒のアルコール度数が42〜43度程度とウイスキー並みの高さとなるため、割水をします。
近年では、アルコール度数が20度を下回るものを「割水焼酎」として売り出しているものもあります。

また焼酎、日本酒どちらも、有名酒造は名水を使用しているのも共通点で、そのために名水といわれる水がある場所には、有名な酒造メーカーが多く存在します。

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社氏

「社氏(とうじ)」とは、酒造りの現場を取り仕切る現場責任者、リーダー的存在。
この社氏さんの力量で、その酒の味が決まります。

ちなみに、社氏以外の酒職人は「蔵人(くらびと)」と呼びます。

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焼酎と日本酒、どちらの製造方法にも登場したのが「麹(こうじ)」でした。

焼酎には、現在は黒麹や白麹という麹が使われます。
黒麹は、もともと沖縄で泡盛をつくる際に使用されていたもので、白麹はその変異種。

日本酒には、黄麹という麹が使われます。こちらは高温や多湿に弱いのが特徴で、冬に仕込みをする日本酒には適していますが、8月〜12月ごろに仕込みを行う焼酎には適していないため、焼酎には黒麹や白麹を使うようになりました。

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焼酎と日本酒の飲み方の違いの画像

焼酎と日本酒の飲み方

ここからは、焼酎と日本酒のおいしい飲み方についてご紹介します。

焼酎と日本酒の共通の飲み方

お燗

「お燗(おかん)」は、お酒をそそいだ徳利を湯煎し、温めて飲む方法。
温度によって10種類ほどの区別があり、それぞれ味わいも異なります。
一般的に「熱燗(あつかん)」と呼ばれるのは、50℃前後とされています。

温度が高くなるほど香りがシャープになり、キレのよい辛口となります。
あまり辛口を好まない方は、35〜40℃前後の「人肌燗」「ぬる燗」が良いでしょう。

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ストレート

何も入れず、そのまま飲む飲み方です。
その酒本来の味わいを楽しめます。

日本酒は、アルコール度数もそこまで高くないため、ストレートが一般的です。
焼酎もストレートで飲むことがありますが、アルコール度数が高いため、5〜15℃ほどに冷やすと味が引き締まり、飲みやすくなります。

焼酎の飲み方の画像

焼酎の飲み方

ロック

グラスに氷を入れて、焼酎を冷やして楽しむ飲み方です。
焼酎本来の香りがしっかり引き立ちながらも、氷が溶けてくると水割りのようにやわらかな味わいとなっていきます。
氷は、水道水のものは消毒につかわれるカルキの匂いがあるため、なるべく市販の氷など不純物の少ないものを使用しましょう。

お湯割り

お湯で焼酎を割る飲み方です。温度は40〜45℃程度、焼酎とお湯の割合は6:4や5:5が主流。
香りが立ち、コクやうまみが引き立ち、まろやかな口当たりになります。

お湯割りは、器に注ぐ順番が重要。
先にお湯を注いで器を温めながら温度を下げ、その後に焼酎を注ぎます。
お湯が熱すぎるとアルコールが揮発してしまうため、この順番で注ぐと、焼酎のアルコール成分が失われずに味わうことができます。

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ソーダ割り

ソーダで焼酎を割る飲み方です。
焼酎が苦手な方でも、味わいやすい飲み方となっています。

ソーダ割りをつくる際は、グラスに氷をたっぷりと入れ、先に焼酎を入れて冷やし、その後冷やしたソーダをゆっくり注ぎます。
ソーダの炭酸は温度差に弱いため、先に焼酎を冷やすことで炭酸が抜けるのを防ぐことができます。

アアルコール度数の違いの違い

焼酎と日本酒、どちらが体に良いの?

焼酎は低糖分、さらに善玉コレステロールを増やす効果も

焼酎は、原料を加熱してアルコール・香り成分を抽出しているため、原料由来の糖分が含まれません。
そのため、日本酒やビール等と比べて低糖質・低カロリーで、糖質制限などをしている方にはぴったりです。

また、血液をサラサラにするのに必要な「ウロキナーゼ」の分泌を促進する効果もあります。
これは、匂いをかぐだけでも分泌を活性化させる効果があるようです。

さらに、「善玉コレステロール」を増やす効果もあると言われています。
善玉コレステロールは、心筋梗塞・狭心症・脳卒中などを引き起こす「悪玉コレステロール」の働きを抑える効果があります。

日本酒は、アミノ酸やビタミンB6が豊富

日本酒には様々な栄養素が含まれていますが、特に「アミノ酸」「ビタミンB6」が豊富に含まれています。
「アミノ酸」は、たんぱく質の元となる成分。
筋肉の合成やホルモン、血液、酵素、抗体など生命の様々な働きに不可欠です。

「ビタミンB6」は、タンパク質の分解を助け、免疫機能の正常化や皮膚の抵抗力の増進にも関わる成分です。
人体の約20%はタンパク質でできているため、この2つの成分を摂取できる日本酒は、体に良いといえるでしょう。

まとめの画像

まとめ

今回は、焼酎と日本酒の違いについて、製造過程から飲み方、栄養成分など様々な角度で見ていきました。
こうして見ると、もちろん違いも多くありましたが、仕込み方法など共通する部分も。
一方で、味わいの違いや身体によい成分など、それぞれの魅力も再確認できたのではないかと思います。
この記事を参考に、焼酎と日本酒ふたつの良さをより深く知って頂ければ幸いです。

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